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第4章

ストック作り

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 とりあえず時間も惜しかったから、初めて聖域に直接転移したんだけど……

「……なんか、ごめん?」

 〈これくらい大したことありませぬよ。……はぁ〉

 いや明らかため息ついてるじゃない……。なんで私が謝って、瑠璃がため息をついているのかっていうと……

「聖域に結界張ってるとは思わなかったんだもん…」

 そう、この聖域には部外者が入れないように結界が張ってあったのだ。もちろん私は普通に入れるんだけど……それは歩いて外から入る場合なんだよね。だから転移みたいに空間を捻じ曲げて侵入した場合、結界に負荷がかかってしまう。そして今回はその結界に亀裂が生じてしまったのだ。

「ほんとにごめんなさい……直すね」

 〈あ、いえ。それくらい…〉

「終わったよ」

 〈早っ!?〉

 ふふふっ。瑠璃が驚くなんて珍しいね。
 伊達に神龍やってないよ。修復するくらい朝飯前だ。……結界の構造はハクから教えてもらったけどね。

『それが私の役目ですからね』

 うん。ありがとうね。

「さて。プレナは……」

 《主様!!》

「へぶっ?!」

 いきなりプレナが顔面に飛びついてきた。変な声でちゃったじゃん…。
 とりあえず顔面からプレナを引き剥がす。

「もう、いきなり来たら危ないじゃない」

 《ごめんなさい…でもでも、寂しくて…つい》

 プレナがしゅんとしてしまった。
 ……そんな態度されたら怒るに怒れないじゃない。

『マリーナ様が本来怒られるべきだと思いますけどね』

 う、うるさいやい!ちょっと、ほんのちょっと忘れてただけでしょ!?

 《?どうしたの?》

「なんでもないよ」

 もしそんなこと言ったら、怒るか拗ねるのは分かりきっている。絶対言えない……。

「プレナ、どうだった?」

 《あ、うん!だいぶ出来るようになったよ!》

 プレナは元々魔法を使えない種族だったので、魔法に慣れていなかった。主に、魔力操作、制御面でね。
 魔法は込める魔力は変えられる。プレナは魔力操作、制御が甘く、そのせいでいつも全開の魔法を使っていたのだ。そらすぐ魔力切れになるよね……。

 《レーザー以外にも使えるようになったよ!》

「そう。また今度見せてね」

 どうやらプレナは私が来るまで魔法を使っていたようで、残っている魔力が少なかった。だから今度見せてねって言った。

「じゃあちょっと小屋に…いやもう屋敷でいっか。行っていい?」

 《なにするの?》

「料理のストックを作っとかないと。もう無くなりそうだから」

 私1人で食べるならかなりの量があったんだけどね。ギルさん達がいたからすぐに無くなっちゃったんだよね。
 私はプレナを肩に乗せて、屋敷へと向かった。




「さてと。作りますか」

 まずは仕込んでおいたパン生地を型に入れ、オーブンへ。食パンの型はあれから改良して、かなり近づいた……と思う。

「スープとサンドイッチ。あとは、おにぎりかな?」

 とりあえずサーニャさんにも好評だったポトフを作る。
 まずじゃがいもと玉ねぎ。白菜に人参などを刻む。そして寸胴鍋に水とコンソメを入れて火をかける。そこに刻んだ野菜を投入。本来硬い野菜からだと思うんだけど、このシステムキッチンのコンロって、何故かそれ考慮しなくていいんだよね。さすが神様が作ったものだ……。

 サンドイッチは食パンの耳を切って、なんちゃって照り焼きチキンを挟む。なんでなんちゃってなのかっていうと……みりんとか、片栗粉とかがないんだよ。酒は…まぁあったけど。ていうか未成年でも買えたよ。こっちには年齢制限がないらしい。飲みたいとは思わないけど。

「…あー。片栗粉じゃがいもから作れたな……でも在庫がないや」

 じゃがいもはあまり流通してないからねぇ……芽を取るとかの知識がない影響だね。食中毒起こしちゃうから。

「まぁそれはまた今度」

 土鍋にお米を入れて炊く。水吸うのを待つの暇だなぁーって思って、思いつきで魔法で圧力をかけたら水を吸わせる時間を短縮できた。

『普通そこまでピンポイントで圧力かけれないんですけどね……』

 なんかハクが呆れてるみたいだけど無視!

 土鍋も火にかけて……ポトフはソーセージがないから、ぶつ切りにしたビックボアの肉を入れる。ひと煮立ちしたら完成。すぐさま無限収納庫インベントリへ。

 前に炊いていたご飯でおにぎりを握って、味噌バージョンと醤油バージョンの焼きおにぎりを作る。

 《主様、そろそろお昼だよ?》

「あ、本当?じゃあお昼にしましょうか」

 作りたての焼きおにぎりと、パン。
 ……見事に炭水化物だな。まぁいいけど。

 《私はこれがいい!》

 プレナのお気に入りは焼きおにぎりの醤油らしい。瑠璃は味噌らしい。
 私?私は……パンかな。

 軽く昼食を終え、調理を再開。


「……唐揚げつくれる、か?」

 一応片栗粉なくてもつくれる…し、ニンニクはある。生姜はないけど、臭みはほぼないからなくても問題ないかな?

「作ってみるか」

 まずボウルに醤油とニンニクをすりおろして入れる。鶏肉は魔物の肉だけど……まぁ問題ない。はず。なんの魔物だったかな?

『……コカトリスです』

 あぁ…そうだった。そろそろ無くなってきたから、狩りたいけど……

『そうそういる魔物ではないですね』

 そうなんだよね……まぁいいや。
 ボウルに入れて味を馴染ませつつ、揚げる準備をする。

「油はこのくらいかな……」

 あまり無駄にしたくはないので、最低限の油だけフライパンに入れる。

 バットに卵を割ってとく。卵はもちろんコカトリスのやつ。ダチョウの卵くらいある。それと小麦粉を用意して……馴染ませ終わった肉を揚げる。

「熱っ!……ってなるのがお決まりだと思うんだけどね」

『まず有り得ませんね。マリーナ様が熱さを感じるなど』

 気温は分かるんだけど、炎の熱とかは感じないのよねぇ…さすが神龍。私の事だけど。

「……できた!」

 さてさて早速味見……うん。現時点では上出来なんじゃないかな。片栗粉と生姜があればもっと良くなるはず。やっぱり必要だね……。
 とりあえず冷める前に無限収納庫インベントリに収納する。
 その後日が暮れるまで、料理のストックを作り続けた。




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