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第4章
護衛依頼【4】
しおりを挟む──────本当に人間ですか?
いきなりそんなことを言われたもんだから、思わず食べる手が止まる。
え?なんで?どうして?
もう私の頭の中はぐっちゃぐちゃだ。
「な、にを言ってるんです?」
なんとか言葉を絞り出す。
もしかしたら、ただのカマかけかもしれない。慎重を期さねば。
「その通りの意味です。マリーナさん……いえ、マリーナ様」
「……っ!」
その言葉で確信した。カマかけなどではない。私が神龍……つまり、高位の存在であると気づいている。
ひとまず私とサーニャさんを防音結界で覆う。リナさん達に聞かれる訳にはいかない。
「……なぜ、です?」
それは私が人間ではないと、どうやって知ったのかということだ。
「簡単なことです。……私が同じようなものだからです」
同じ……?
急いで神眼を発動し、ステータスを覗き見る。
┠ステータス┨────────────────
名前:サーニャ・バーニア・ベルムント
種族:混血種(エルフと火龍のハーフ)
年齢:102
レベル:94
職業:薬草研究員
ステータス:魔力 54300 HP 42580
魔法:草属性 Ⅶ 風属性 Ⅶ 火属性 Ⅷ
ユニークスキル:火龍の護り 森人の護り
スキル:魔力制御 Ⅷ 魔力操作 Ⅷ 状態異常耐性 Ⅵ 鑑定 Ⅴ 木工 Ⅳ 料理 Ⅴ
称号:族長の孫 異端の存在
────────────────────────
お、おう……中々にインパクトがあるステータスだなぁ…
……それにしても、
「ハーフ、か…」
「…っ!さすが、ですね」
私が思わず呟いた言葉に、驚きつつも感心した様子のサーニャさん。
「ということは……私がどういう存在かも分かってるんですね?」
「はい……神龍様」
もうそこまで言われると、誤魔化すことは出来ないよね。
…というか、私ステータス上では(多分神龍)ってなってたんだけどなぁ?なんで分かっちゃうの?
『それは"格"です』
格……?
『はい。龍族の血が入っている場合、それぞれ格を認識することができます。格、とは、強さの目安と理解していただければ』
なるほどね。つまり、サーニャさんは火龍のハーフだから、私の格が上……つまり神龍だと分かったのね。
『そういうことです。桁違いの格上など、神龍以外いませんから』
なるほど。理解できた……けど、今それを言う必要があったのだろうか?
「なぜ、今になって聞くんです?」
「…実は、会った時から薄々気づいてはいたんです。マリーナ様が格上の存在である、と。…しかしながらマリーナ様はバレないよう生活していらっしゃるようだったので、聞くに聞けず……」
な、なるほど。つまり最初からバレバレだった訳だ。
「なのでマリーナ様がおひとりになられた時に、挨拶を行おうかと」
「別に挨拶どうこうはいいんですけど……それだけではないですよね?」
そう、サーニャさんは挨拶をするためだけに来た訳では無い。それは顔を見れば分かる。
「…なんでもお見通し、という訳ですか」
「なんでもはさすがに言い過ぎです。話してくれますか?」
サーニャさんは一瞬困ったような表情になったけれど、意を決して内容を話してくれた。
……ただ、その内容については、ちょっと相談が必要かもしれない。
「少し、待って貰えますか?相談したいので…」
「そう、ですよね…厚かましいお願いをしました。すいません」
深々と頭を下げる。
「いや別に気にしてませんから!?頭上げてください!」
私が必死に説得?すると、なんとかサーニャさんは頭を上げてくれた。
「…マリーナ様は、違うのですね」
「なにがです?」
「その態度です。私なんかよりも遥かに高位のお方な筈なのに、上からでもなく対等に接してくださる」
……ちょっと面と向かって言われるとむず痒いな。
「…正直、私は成り立てですし。そこまで上から目線になるのはちょっと私的にもよろしくないな、と……そう言う訳ですから、別にいつも通り接してくれるとありがたいです」
「…わかりました。マリーナさん」
うん、そっちの方が落ち着く。だって正直神龍ってことも実感無いんだもん。~様って言われるのは、ちょっと、ね…。
「明日も早いですから、先に寝てください」
「はい。そうさせてもらいます。では」
サーニャさんが馬車に戻ろうとしたところで、防音結界を解除しておく。しっかし、リナさん達遅いなぁ?
「あっ。そう言えば眠らせてるんでした……」
……原因はサーニャさんだったらしい。サーニャさんと共に馬車に向かうと、皆ぐっすり眠っていた。これは朝まで起きそうにないなぁ……
「…後片付けしときます。それと、私は外で…」
「それはだめです!それなら私が「サーニャさん」っ!…」
私は声に魔力をのせて名前を呼んだ。それだけでサーニャさんは私がなにを言いたいのか理解したようだ。
「そう、でしたね。いつも通りに…」
「はい。心配は要りません。寝具ならありますから」
幸い無限収納庫にベットなり寝袋なりがある。外でも問題あるまい。
「では、おやすみなさい」
「はい。おやすみなさい、マリーナさん」
私はサーニャさんが馬車で寝転がったのを確認し、魔法で眠らせておいた。強制的な睡眠ではなく、睡魔が襲うようにする魔法。これでゆっくり眠れるだろう。
鉄板とギルさん達が使った皿を片付けつつ、食べかけだったステーキを食べる。……硬い。でも無駄にはしたくないので食べきり、その皿も綺麗にしてから無限収納庫に収納。
そして馬車の隣にベットを取り出し、簡易的な壁を土魔法で創り出して、結界が機能していることを確認してから、眠りについた。
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