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第3章

武器を作ってくれるそうです

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 お昼はそこら辺で買い食いする事にした。

「あ、お肉が焼ける匂いがする」

 匂いを頼りに、店を探す。
 そして、屋台が立ち並ぶ大通りへと到着した。

「へー。こんなとこあったんだ」

 まだまだこの街のことしらないね。
 とりあえずその屋台のうち、肉の串焼きを売っている店があったので、買って食べる。

「うーん、美味しい…けど、ちょっと寂しい?」

 お肉自体は美味しいんだけど、塩味しかないのが残念。
 串焼きのタレでも作ってみようかな?
 あ、酵母も作らないと。色々やりたいことが多い。

「うん。教会にいこっと」

 串焼き1本でお腹も脹れたので、教会へと向かう。

 道を教えて貰いながら教会へと到着。
 いつ見ても綺麗。
 中に入って、神様たちの像の前でお祈りする。すると、すうっと意識が遠のく、いつもの感覚がした。
 目を開けると、いつもの草原にきていた。でも、グランパパはいない。

「あれ?」

 キョロキョロと見回す。すると、遠くから土埃を起てて走ってくる誰かの姿が見えた。
 ……いや。そんなことする神様って1人しか心当たりないけど。

「マリーナちゃーん!」

 やっぱり走ってきていたのは、アニスお姉ちゃんだった。
 そのままの勢いで抱きついてくる。ぐぇ。

「ひ、久しぶりです」
「そう?あぁでも、人からしたら久しぶりなのかしら?」

 ……うん。時間の感覚が神様だね。
 そのままアニスお姉ちゃんの膝の上に乗せられる。いやまぁいいけどさ。

「今日グランパパは?」
「グランは今頃他の神に捕まってるわ」

 なぜ!?

「なんでですか?」
「えーっと……話していいのかしらね」

 考え込む仕草をする。私が聞いちゃいけないこと?

「だめならいいですけど」
「あぁ。別にダメではないけど…その、グランが仕事をね、サボってたから、その仕事をさせられてるのよ」

 なるほど。神様も暇じゃないのね。でも、それだけなら別に言うのを躊躇わなくてもいいんじゃ?

「サボってた理由がねぇ……」

 ……あ、察し。

「……私を見てたんですね」
「そういうこと。だってマリーナちゃんがいきなり神力解放しちゃって倒れちゃったんだもん。グランが心配してたわ」

 なんと!夢であったときはそんな様子なかったのに。

「時間がなかったし、そもそも神力がなんなのかも分かってなかったですから」
「そうね。グランがちゃんと言っておかないからこんなことになるのよ。はぁ…マリーナちゃん、大変だったでしょ?」
「うーん、確かに大変だったけど、瑠璃がある程度教えてくれたから」
「瑠璃?」
「私の新しい…眷族?になるのかな」
「そうなの。でも、神力の使い方を知ってたっていうのは…不思議ね」

 私もそれは思った。けれど、多分聞いても教えてくれなかったと思う。

「とりあえず、神力の制御は出来ているようで安心したわ」

 そう言いながら頭を撫でる。なんか恥ずかしい。けど、嫌な気分じゃない。

「私、これから神力はどうすればいいんですか?」
「そうねぇ。マリーナちゃんの力は"生"だから、枯れかけている森とかを再生してくれると有難いかしら?」
「分かりました」

 1番不安だったことを相談できて良かった。
 神力の使い方は魔力とはかなり異なるし、難しい。だから、どう使えばいいのか分からなかったんだよね。森の再生なら聖域で同じようなことをしてるから、問題ないかな。


「ふぅ…やっと終わりました」

 ポンッと空中からグランパパがいきなり現れた。
 あれ。簡単にそう来れるなら、アニスお姉ちゃん走ってこなくても良かったんじゃあ……

「だってそれだと盛り上がりに欠けるじゃない」

 あ、そうですか……

「なんの話です?」
「なんでもないわ」
「それより、来て欲しいって言われたから来たけど、具体的になんでですか?」

 色々と話すことがあるって書いてあったけど。

「えっと…とりあえず他の神に会ってもらおうかと」

 なるほど。確かに私も他の神様とは会ったことないから、会いたい。

「となると、エアリーズ様と、イシュワーム様ですか?」

 会ってないのはその2人。

「エアリーズは今仕事をしているので、イシュワームを呼びます」

 エアリーズ様は忙しいようだ。
 ちなみにアニスお姉ちゃんは水、エアリーズ様は風、イシュワーム様は火を司るらしい。

「なんかイシュワームがマリーナさんと話したいことがあるとかなんとか…」

 あれか。初めまして的なことを話すのかな?

「とりあえず呼びますね」

 呼ぶってどう「おーい」……かなり原始的だった。

「呼んだかー」

 早っ!ついさっきだよ!?
 グランパパと同じように…いや、ちょっと違うか。空間が裂けて出てきたみたい。

「よう。お前さんがマリーナか?」
「はい」

 姿は、教会の像とまったく同じ姿。筋肉ムキムキのちょっと褐色に焼けてる。服は古代ローマ人が着てたような服。涼しそうな格好。

「そうか。思ったより小さいな」
「それは…まぁ」

 私もそれは思うよ。もうちょっと身長が欲しい。5歳児にしては高い方らしいけど。

「それで、話があるって聞いたんですけど?」
「あぁ。お前さん、森で武器作ったろ?」

 武器?

「はい。確かに作りましたけど…」
「木でできたやつ見せてくれないか」

 木っていうと…木刀かな?鉄刀を出せとか言われなくてよかった。だってもうないんだもん。
 ……うん。力加減ミスって壊しちゃったんだよ。

「これですか?」

 とりあえず無限収納庫インベントリから木刀を取り出す。

「見ていいか?」
「どうぞ」

 私はイシュワーム様に木刀を手渡した。
 イシュワーム様は木刀をまじまじと見つめる。

「どうかしたんですか?」
「いや…これ、どうやって作った?」
「えっと…確か魔力で木を包んで作りました」
「1本からか?」

 あら?そう言えばおかしい。結構でかい木から作ったのに、1本しか木刀作れてない。

「これ…相当強いぞ」
「え、そうなんですか?」
「あぁ。1本の木、しかも深淵の森の魔素を吸収した木を圧縮して作られているから、強度としては鋼よりあるな」

 まじか!知らなかったわ。

「…ちょっと借りていいか?」
「いいですけど…何に使うんです?」
「どうせなら、木じゃなく、しっかりとした武器が欲しくないか?」

 えっとー…それって作ってくれるってこと?

「欲しいです」
「なら、作ってやるよ。ちょっと待ってろ」

 そう言って木刀を持って空間の裂け目に消えていった。

「イシュワームが自分から作りたがるなんてね」
「珍しい?」
「ええ。イシュワームは自分の武器造りに誇りを持っているから、そんなにホイホイ作らないのよ」

 へぇー。じゃあ楽しみ!
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