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第3章

神力とお昼ご飯

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 ひとまず、余った食事なんかを無限収納庫インベントリに片付けて、神力の制御の練習を始める。
 ……って、何をすればいいの?

『……世界の記憶…閲覧権限を取得……閲覧権限レベル5までの情報の閲覧が可能になりました。神力の制御方法についての情報を取得しますか?』

 ……うん?ちょっと待ってね。
 まず閲覧権限レベルって?

『閲覧権限レベルとは、世界の記憶の秘匿性を表しています。レベルが高いほど秘匿性が高いものになります。最大レベルは5です』

 ……頭痛い。もうなにがなんだか分からないよ!

『……簡単に言うと、今まで秘匿事項になっていたことをお教えすることが出来るようになりました』

 あーうん。もうそれで理解する…

 《主様?どうしたの?》

「ああ、なんでもないよ」

 分からない単語が多すぎて頭パンクしそうだけどね!

『で、どうしますか?』

 いややるけどね!?やらないと大変なことになるから…

『分かりました。ですが、そこまで気負う必要はありません』

 そうなの?

『はい。神力の制御方法は基本魔力と変わりません。マリーナ様は魔力の扱いが上手いので、そこまで特訓は必要ないかと』

 へー。神力の制御って変わらないのね。じゃあまずは体の中で循環させればいいの?

『はい。それで大丈夫です。ただ、体外に放出する場合は媒体があった方がやりやすいです』

 媒体?

『はい。マリーナ様の場合、角や翼ですね』

 あ、そうか。私神龍だもんね。

『…とうとう認めましたね?』

 ……あ。

『まぁ関係ありませんが』

 ないんかい!

『とりあえず練習して下さい』

 辛辣!?ハクってそんな辛辣だったっけ?!

『いいからやってください』

 うぅ…やりますよ。やればいいんでしょ!

 ハクからやれと言われたので、いつまでも話さずに練習する。
 まずはあれから体の中を巡っている魔力とは違う何かを循環させてみる。
 お、お?…意外と難しい。魔力と違って上手く動いてくれない。

『それは体にまだ神力が馴染んでいないからです』

 馴染んでいない?

『はい。魔力はその元である魔素が常に身の回りにあるのですぐ馴染みますが、神力には元はありませんし、基本身の回りにありません。なので、時間をかけて馴染ませる必要があります』

 なるほど?でも、神力に元はないのね。

『はい。神力の劣化版が魔力ですので』

 あれ、そうなの?でも、劣化版ってどういうこと?

『神力は純粋な力で、それに制御しやすくする要素などを混ぜたものが魔力です』

 ほぇー。魔力ってそういうものなのね。

『はい。そのため神力は補助がないようなものなので、制御するのが難しいです』

 うん、分かった。とにかく練習あるのみだね。地面にあぐらをかいて目を閉じ、意識を集中する。これは時間かかりそう。




 《ある…主様!》

「うん?あ、プレナ。どうしたの?」

 呼ばれたので目を開ける。すると、プレナが目の前に立っていた。

 《もうお昼だよ!》

「え、もうそんな時間?」

 プレナに言われて空を見上げる。太陽はちょうど真上に来ていた。

「あ、ほんとだね。お昼どうしようか?」

 《私は要らない……けど、ちょっと食べたいかも》

 恥ずかしそうにプレナが言う。

「ふふっ。大丈夫だよ」

 私はプレナを肩に乗せ、出しっぱなしにしていたシステムキッチンへ向かう。

「うーん…何作ろう?」

 無限収納庫インベントリを見ながら確認する。小麦粉…ニラ…ニンニク…

「…あ、餃子作ろう」

 《ギョウザ?》

「うん。美味しいよ」

 まずは皮から作る。薄力粉と強力粉を無限収納庫インベントリで分けて出し、塩もだす。
 ボウルに全て入れ、軽く混ぜる……

「菜箸が…」

 今作るか。
 手頃な木の枝が入っていたので、それを取り出す。なんで入ってたんだろ?
 まぁそれは置いといて、ナイフで削る。ちょっと歪だけど、とりあえず完成。また今度しっかりとしたの作ろう。

 混ぜたら熱湯を入れる。水魔法で熱湯をイメージしたらできたからね。
 触れられる温度になったらこねるんだけど…入れてすぐでも全く熱く感じない。おかしいな?

『神龍なので』

 …そこまで変わるのね。まぁいっか。とりあえずこねる。まとまってきたらしばらく寝かせる。

「次はタネ」

 ニラ、ニンニク、キャベツ…はないから白菜で代用。それぞれ細かく刻む。
 ミンチはオーク肉。酒がないけど、まぁ問題はないはず。
 ミンチはボウルに入れ、塩を入れて少しもむ。
 その後刻んでおいた物、あと胡椒と醤油を突っ込んで、混ぜる。
 満遍なく混ぜたら何等分かに分ける。

 手をクリーンで綺麗にし、寝かせておいた餃子の皮を伸ばす。麺棒は無限収納庫インベントリに入ってた。

 《まだー?》

「まだだよ」

 今回は多め。皮ができたらタネを包む。ひたすら包む。結果、200個近い数の餃子ができた。

 《できた?》

「まだ。焼かないとね」

 フライパンに油をしいて、餃子を焼く。だけど、大きさが足りない。一気には焼けないね。
 ジューっと焼けるいい音がする。

 《なんか分からないけど美味しそう!》

 周りにはまた魔物が集まってきた。魔物もプレナも早く食べたいみたい。
 とりあえず焼けた餃子を皿に並べて、また新しいのを焼く。
 うーん、いっぺんに焼きたい。今度大きい鉄板でも買っておこうかな?

『土魔法で創ってみては?』

 それもいいけど、今はいいや。とりあえず焼けた餃子は冷めないうちに無限収納庫インベントリへ。

 《まだ食べないの?》

「うん。どうせならみんなでね」

 フライパン4つで焼いていく。焼けては皿に乗せ無限収納庫インベントリに収納。それをしばらく繰り返し、やっと全て焼き終わった。

「よし、終わった」

 小皿に醤油を入れる。ラー油はない。あるのかな?なかったら作りたいけど、そうなると唐辛子とかも見つけないとね。

「大きいかな?」

 《多分》

 餃子は私の今の小さな手に合わせて作ったけど、それでも大きいみたい。なので包丁で真っ二つに切っておく。これでよし。

「じゃあ食べようか」

 《わーい!》

 ゴザを敷いて、皿を並べる。乗り切らないので、無くなったら出すことにする。

 《どう食べるの?》

「えっとね。この醤油に付けて食べるんだよ」

 試しに私が食べてみる。お箸は菜箸で。だって作るのめんどくさかったんだもん。

 食べるとジュワッと肉汁が出でくる。うん。上出来。そんな私の食べ方を見て、周りが食べ始める。

「美味しい?」

 《うん!ちょっと熱いけど美味しい》

 良かった。他の魔物たちも満足してるみたい。
 私は10個ほどでギブアップ。でも、餃子は余らなかった。みんなお腹すいてたのかな。まぁ、とても美味しそうに食べてくれたから、作った側からしたら、これ以上嬉しいことはないよね。





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