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第2章

召喚組5

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 俺たちがこの世界に来てからもう何日もたった。
 初めは魔物を倒すことに戸惑っていた女子たちも、そろそろ慣れてきたらしい。

「ぎゃー!!ち、血!」

 ……訂正。倒すのには慣れてきた。まだ魔物を切るとか、血が出るとかは苦手なようだ。まぁ分からないでもないが。寧ろ慣れられるとその後が大変そうだと思ったのは内緒だ。

 ちなみに魔物の血はその種族によって異なるらしく、今回は俺たち人間と同じような赤い血だったようだ。

「大丈夫か?」

「あ!ユウキ君!う、うん。もう大丈夫」

 と、セイラは少し無理した笑顔でそう言った。ったく…そんなに強がらなくてもいいってのにな。

「無理すんなよ」

「やっぱりバレちゃうか…うん。でも、ユウキ君ばっかりに迷惑はかけられないもん!」

 今度は曇りのない満面の笑みでそう答えた。

「…そうか」

 少し照れくさくなり、俺は目を逸らした。

「ほれ。熱くなるのもいいが、もうじきこのダンジョンのボス戦だぞ。気を引き締めろ」

「あ、はい」

 今更俺たちがいるのは、最初に実践訓練をしたダンジョンだ。あれから少しづつ攻略していたんだ。

「やっとこのダンジョンの最奥かよー。疲れたぜ…」

 ツヨシがそう言うのも頷ける。
 ダンジョンは常に成長するそうだ。だが、このダンジョンはもう既に成長が止まっている。どうやって止めるのかというと、最奥にあるダンジョンコアを破壊すればいいらしい。それでダンジョンの成長は止まるそうだ。だが、ダンジョンコアを壊しても、ダンジョンとしての機能は残ってしまうのだという。具体的には魔物の出現。宝箱などだろうな。
 宝箱はダンジョンにランダムに生成されるらしい。俺たちがこのダンジョンで見つけた宝箱は今までで3つ。その中には短剣やポーションなどが入っていた。

 これまでの戦いで、俺たちは強くなったと自負している。


 ┠ステータス┨────────────────

 名前:深谷 勇希
 種族:人間
 年齢:17
 レベル:26
 職業:勇者
 ステータス:魔力  7580  HP  4280
 魔法:聖属性 Ⅲ   雷属性 Ⅴ  火属性  Ⅴ   
 ユニークスキル:全言語理解EX
 スキル:アイテムボックス  Ⅹ
 マッピング  Ⅸ
 状態異常耐性  Ⅶ
 統率  Ⅶ
 鑑定  Ⅶ
 身体強化  Ⅴ
 魔力制御  Ⅴ
 縮地  Ⅴ
 剣術  Ⅴ
 直感  Ⅲ
 思考加速  Ⅲ
 称号:異世界からの転移者
              勇者

 ────────────────────────────

 この世界に来た時に比べれば、正しく雲泥の差だろうな。だが、ゾロディアさん曰く、まだまだだそうだ。もっと強くならないとな……

 他の奴らのステータスはこんな感じだ。

 ┠ステータス┨────────────────

 名前:秋野 剛 
 種族:人間
 年齢:17
 レベル:24
 職業:拳闘士
 ステータス:魔力 3540  HP  5800
 魔法:水属性Ⅴ  氷属性Ⅲ
 ユニークスキル:全言語理解EX
 スキル:身体強化  Ⅹ
 不屈  Ⅸ
 直感  Ⅴ
 魔力制御  Ⅲ
 称号:異世界からの転移者

 ────────────────────────────

 ┠ステータス┨─────────────────

 名前:林 聖蘭
 種族:人間
 年齢:17
 レベル:25
 職業:聖女
 ステータス:魔力  9570  HP  2480
 魔法:治癒 Ⅶ  聖属性 Ⅴ  光属性 Ⅴ  水属性 Ⅴ  火属性  Ⅴ  雷属性 Ⅶ  結界 Ⅳ  
 ユニークスキル:全言語理解EX
 スキル:魔力急速回復 Ⅹ
 魔法行使魔力量節約 Ⅶ
 魔力制御 Ⅶ
 棒術  Ⅲ
 身体強化Ⅲ
 並列思考  Ⅲ
 称号:異世界からの転移者
             聖女

 ────────────────────────────

 ツヨシはなんというか……肉弾戦特化型だな。
 セイラは魔法特化だ。そのせいでHPが少ない。魔法の威力を高めるための杖を主装備としている。魔力が切れた時のために、その杖でたまに殴っていたりする。なんか魔法使いらしからぬ行動みたいだけど、それで正解らしい。

「着いたぞ」

 おっと。そんなことを考えているうちにボス部屋に着いたらしい。目の前には今までのフロアボスの扉よりも威圧感がある扉よりが聳えていた。思わず息を飲む。

「ここがこのダンジョンの最奥。第40階層の最後のボスの扉だ。……いけるか?」

 そう挑発的な目線で聞いてくる。答えなんて決まってる。

「もちろんです!」

 その答えに満足したのか、ゾロディアさんは目線を扉にもどした。

「じゃあ開けるぞ」

 ゾロディアさんが扉に触れると、ひとりでに扉が開いていく。ここまで来るのに何度も見た光景だ。

「行こう」

 俺たちは静かにその中へと足を踏み入れた。
 そしてギィィという音を立てて扉が閉まる。一瞬だけ真っ暗になるが、すぐに明かりがつき、全貌が明らかになる。

「おぉ…!」

 そこは今までのフロアボス部屋とは明らかに違っていた。所々に細かい装飾が施された、歴史を感じるような造りだった。

「くるぞ」

 ゾロディアさんの声で意識を部屋の真ん中へと向ける。そこには今までより一回りほど大きい魔法陣が青白い輝きを放っていた。

 そしてその魔法陣の光がより輝いたと思ったら、一瞬にしてボスが現れた。

「まさか…地龍だとはな」

「地龍?」

 目の前には現れたのは四足歩行の、お世辞にも龍とはいえない魔物だった。どちらかというと……トカゲか?

「龍ではあるが、1番弱い龍だ。お前たちならやれる」

 ゾロディアさんがそう言うならそうなのだろう。やってやる!と突っ込もうとしたが、直感が危険だと告げる。
 その瞬間、地龍が口をガバッと開けた。そして魔力が集まっていくのが分かる。

「…っ!ユイ!」

「分かった!」

 この攻撃は恐らくブレスだ。結界士であるユイなら防いでくれるだろう。

「我が魔力よ。万物を通さぬ壁となりて眼前の敵の攻撃を防げ!【障壁!】」

 ユイが呪文を紡ぐと、目の前に巨大な青白い壁が出現した。

 グォォォォォ!!!

 地龍がついにブレスをはいた。だが、そのブレスはユイの障壁を破ることは出来なかった。

「ツヨシ!」

「おう!」

 ツヨシと俺の2人で地龍に突っ込む。

いかづちよ!全てを貫く槍となりて敵を討ち滅ぼせ!【ライトニングランス!】」

 セイラが呪文を詠唱する。すこしユイと違うのは、それぞれの呪文がオリジナルだからだ。というのも、この世界に決まった呪文は存在しないそうだ。だから自分がイメージしやすい呪文を作るらしい。

 セイラの魔法が放つ。その魔法は迷いなく地龍へと向かっていき、片方の目を貫いた。

 グァァァァァ!!

 地龍が痛みに悶え、暴れる。

「ツヨシ!」

「分かってるよ!」

 ツヨシが地龍の頭の下へと潜り込み、そこからアッパーを打ち込んだ。

 グルァァァ!

 地龍がよろけ、一瞬の隙ができた。俺は飛翔し、地龍の首を狙う。

「おらぁ!!」

 固く弾かれるかと思いきや、いとも簡単に刃がくい込んだ。

「ライトニングボルトォォ!!」

 俺は魔法の名前だけを口にした。俺にとってこの魔法はゲームで使っていたものとほぼ同じだ。だから、イメージがしっかり出来る。イメージさえ出来れば、呪文は要らないらしい。

 くい込んだ剣に電気が走る。その電気は地龍の体の中まで届く。

 グ、グルァァァ!!

 暴れ出すが、俺は離れない。次第に地龍の抵抗が小さくなっていき、そして力なく足が折れ、地面に突っ伏した。

「ふぅー…」

 なんとか倒したな…

「凄いよ!ユウキ君!」

 セイラが走ってきて、俺に抱きつく。

「うわっと。危ねぇだろ?」

「いいじゃん。これくらい」

 まったく…まぁ、それを許してしまう俺もどうかと思うがな。

「流石だな」

 ゾロディアさんが心底嬉しそうなした表情で言った。

「ゾロディアさんのお陰ですよ」

「いやいや。ここまで頑張ったのは君たちの努力だ。さぁ、城に帰って今日はゆっくり休むとしよう」

「「「「「はい!」」」」」

 地龍の死体は俺のアイテムボックスに収納した。
 そして奥の部屋から転移の水晶に触れ、帰路に着いた。

 城に着いた俺たちは風呂で汗などを洗い流すと、食事を味わった……が、やはりあまり美味しいとはいえないものだった。

「はぁ…日本食が恋しいよ」

 誰もがそう思った。だが、ここにいる誰もが、先生でさえ、詳しい作り方を知らなかった。否、作り方は多少分かるが、材料が分からなかったのだ。まぁ分かったところで出来るかは怪しいが……

 帰ったら絶対日本食を作れるようになろう。
 そう思いながら、俺は眠りについた。



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