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第2章

神界で料理

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 その後アニスお姉ちゃんから脱出した私は、システムキッチンの使い方を教えて貰っていた。

「これはどうやって使うんです?」

「これは全部魔力で動く魔道具よ!」

 やっぱりそうなんだね。

「この水道も?」

「そうよ。魔力を流しながら蛇口をひねれば、水が出るわ」

 言われた通り、魔力を少し流しながら蛇口をひねる。するとドバッーって勢いよく水が出てきた。ま、まじかぁ…流石だわ。

「それは1回出せば、閉めるまで止まらないわ」

 なるほど。つまり出しちゃったらもう魔力は要らないのね。

「あ、流した水はどこ行くんです?」

「分かんない」

 盛大にずっこけた。いや、分かんないってなに?!

「どういうことです?」

「だってそう言う魔法なんだもの」

 ……うん。多分そういうことって納得したほうが楽だね。

「で、さっそく作れない?」

「いいですよ。登録したやつでいいですか?」

「ロールハーキュ?うん。それでいいわ!」



 ロールハーキュとは、あのレシピの登録名。え?だってキャベツ使ってないでしょ?こっちで白菜はハーキュっていうからね。日本語で言えばロール白菜。まんまだって?うるさい!これでいいんだい!

「少し時間がかかりますよ?」

「それくらいなんでもないわ!なんなら50年でも待つわ!」

 ………うん。今更ながら、神様だなぁって思うよ。そんなにかからないからね?!

「そういえば、登録したらどういう効果があるんです?」

 料理を作りながら、ふと気になったことを尋ねてみた。

「そうね。色々あるけど、1番は真似出来なくなるってことかしら?」

「真似出来なくなるんですか?」

「そうよ。だって同じレシピを登録できないもの」

 なるほど。

「あと、口で伝えることもできないわ。レシピを買わないと作れないの」

「そうなんですか?」

「ええ」

 なんというか…すごいな、レシピ登録。

「あ、でもどうやって?」

 そんなことすぐに分かるのかな?

「言ったでしょ?神様なのよ?」

 ……うん。納得。

「それってペナルティとかは…」

「ふふふっ。聞きたい?」

「え、遠慮します…」

 いくら私でも分かるよ。絶対聞いちゃいけないやつだって!

「そう、残念ね」

 そう不服そうにいうけど、多分聞いてたら私の心臓というか精神がやばかったと思うよ?!

「と、出来ましたよ」

 話してる内に出来上がった。

「あら、もう?早かったわね!」

 いや、早い遅いの感覚がちょっと違い過ぎるからね?!

「あ、テーブルないですね…」

 どうしよ?

「ふふっ。大丈夫よ!」

 アニスお姉ちゃんがパチンと指を鳴らすと、テーブルと3脚の椅子が出てきた。さ、さすが神様…

「おや?私の分もあるんですか?」

「もちろん!だめでした?」

 食べるだろって用意したけど、要らなかったかな?

「いえ!寧ろ嬉しいです」

 ほ。それなら良かった!
 さっそくお皿に盛り付けて、それを2人の前へと運ぶ。

「どうぞ召し上がれ!」

「じゃあ…」

「「いただきます」」

「っ!」

 言ってくれるとは思わなくて、ちょっと驚いた。

「ふふっ。驚きましたか?」

「マリーナちゃんのことを見てたからね!」

 な、なんと…
 なんか複雑な気持ち。だって常に監視されてたようなもんだよ?そら少し気になるよ?もちろん、悪意がないってことは分かるけどさ。

「ああ!すいません!」

 そんな私の心情を察したのか、グランパパが謝ってくれた。やっぱり優しい。

「もう大丈夫です。でも…」

「はい…」

「私も無粋だったわ。ごめんなさい」

「そ、そんなことないです!神様として見るのは仕事でしょうし!」

 私がそう言うと、2人は目を丸くした。あ、あれ?なんかおかしなこと言った?

「そ、そうですね。神様ですからね」

「そ、そうよね!神様だもの!」

 なんか挙動不審なんだけど…………

「そ、それより、この料理は美味しいですね!」

「ほんと!これが食事なのね」

 はぐらかされたような…ま、いっか!

「えへへー…ありがとうございます」

 料理を褒められるのは嬉しい。思わず笑みが零れる。

「マリーナちゃん、可愛すぎるわ!」

 あ、この展開は…

「マリーナちゃん!」

「うぎゅ!」

 ……はい。そうですよね。分かってた。でも今回のハグはちょっとヤバい!

「く、苦しっ…」

「あ!ごめんなさい!」

 ふぅ。今回はほんとにやばかった。てか、今更なんだけど精神だけでも苦しいのね?!

「だ、大丈夫です…」

 こんな状況でもそう言っちゃうのって日本人の性だよね。

「料理、美味しいかったですか?」

「はい。とても」

「美味しいかったわ!」

 それならばもう満足。

「あ、そういえば神様って食事いるんですか?」

「基本は要らないわ。この世界の食事は美味しいとは思えなかったから食べてなかったけど、マリーナちゃんの料理なら食べるわ!」

 それは…うん。率直に嬉しい。だけど顔には出さない。もう今日はハグは沢山だからね!

「それならいつかまた持ってきますね」

「約束よ?」

「はい。約束です」

 お互いに笑いあった。

「私もいいですか?」

「もちろんですよ!」

 グランパパにそういいながら抱きつく。すこし戸惑ってるのが分かった。ふふっ。なんだ。そんなとこは人間っぽいね。

「ありがとうございます。そうだ、色々と便利なものを無限収容庫インベントリに送っておきました」

 おお!それは是非見なくては!

「はい!ありがとうございます!」

「私もー!」

 仕方ないのでアニスお姉ちゃんともハグ。だけど、ちゃんと力加減はしてくれた。いつもそれならいいのに!

「ではそろそろ」

「はい。ありがとうございました」

 システムキッチンを収納し、帰る準備はおしまい!

「こちらこそ。いい体験をさせて貰いました。また来てください」

「もちろん!」

 その言葉を最後に私の意識はなくなった。

















 ちなみにマリーナのことを見ていたのは神様としてではなく、完全に意図して見ていたのだが、マリーナはその事には気づかないのだった……

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