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第2章

またまた教会へ

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 ギルドでレシピ登録を行った翌日。リナさんたちは依頼を受けに行った。どうやら体が鈍らないようにするためらしい。
 そして、私はというと…

「いらっしゃいませー」

「どうも。服を受け取りに来ました」

 そう。昨日の服を受け取りに来た。昨日リナさんから宿で言われなかったら、すっかり忘れてるとこだったよ…

「あーどうも。じゃあこっちですー」

 昨日体を測った部屋へと案内される。

「これですー」

 店員さんが出てきたのは、白いワンピースとジーンズ。え、ジーンズあったの!?

『この世界は食文化が発展していない代わりに、裁縫技術などは同水準まで発展しています』

 ……それが食文化に向けば良かったのにね。

「早速試着してみてくださいー」

「分かりました」

 まずジーンズをはき、ワンピースは腰をベルトで巻く。なるほど。ジーンズは伸縮性が高くて、動きやすい。

「大丈夫ですかー?」

「はい!ピッタリです!」

「良かったですー」

「お代はいくらですか?」

 結構高そう。

「全部で2000リシアになりますー」

 安すくない!?こんなにいい仕事してるのに?

「いいんですか?」

「いいんですー。これは女性の冒険者がよくする格好なので、作るのが楽なんですー」

 へー。そうなんだ。

「はい。金貨2枚です。このまま着ていってもいいですか?」

 カードではなく硬貨で払う。せっかく持ってるんだから使わないとね。

「大丈夫ですよー。はい、確かに。またのご来店お待ちしておりますー」

 そう言ってお辞儀をして私を送り出してくれた。

「次はー…」

 何しようって思ってたら、リリーンって音が頭に響いた。

「うん?」

 その音が聞こえて直ぐに、目の前に無限収納庫インベントリの項目が表示された。そしてその中に光っているものがあった。

 その光っていた物は……【グランドリアからの手紙】と表示されていた。

「これって…」

 読んでってことなのかな?

 そう思って無限収納庫インベントリから手紙を取り出す。そして人通りが少ない場所に移動し、手紙を読む。

 ────────────────
 マリーナさんへ。

 突然の手紙すいません。実は他神がマリーナさんに会わせろとうるさく…

 なので一度教会に来ていただけませんか?

 マリーナさんの種族についても考えたいので。

 それでは。

 グランドリアより。

 ─────────────────

 そんなことが書かれていた。

「うーん…まぁ予定はないし、別にいいかな?」

 それに他の神様にも会ってみたいしね!とりあえず手紙を無限収納庫インベントリに仕舞い、教会へと向かった。

 昨日来たばかりの教会へとたどり着く。そして中へと入り、この前と同じように祈る。すると前と同じく、意識が一瞬遠のいた。そして目を開ける。そこは前グランパパとお話をした草原だった。



 ……………そして、またしても土下座しているグランパパがいた。

「はぁー…今回はなんでですか?」

「他神にバレてしまったことです…」

 そんなことか。

「別に気にしてませんよ。それに私も他の神様と会いたかったですし」

 すると、後ろから誰かにいきなり抱きしめられた。

「ゔっ!」

 思わず変な声がでる。

「ほら!やっぱりグランの思い過ごしだったじゃない!」

 私に抱きついた人?が、グランパパにそう言い放つ。思い過ごしって?

「と、とりあえず離して下さい…苦しいです」

「あ!ごめんね!」

 慌てて離れてくれた。ふぅー…

「で、あなたは?」

 私に抱きついてきた…多分神様は、青い髪に青い瞳という容姿をしていた。私でも思わず見惚れるくらい。

「私はオケアニスよ!マリーナちゃんと話すのは2度目ね!」

 2度目?いつだろう?

「私がマリーナちゃんのレシピ登録をしたのよ!」

 あ!あの時の声!

「そうだったんですね。ありがとうございました」

 私はオケアニス様に頭を下げる。

「いいのよ!それに私も気になるし!」

 気になるというのは、料理のことだろうか?

「ねぇねぇ。今ある?」

「今はないです。ていうか、ここにどうやって持ってくるんです?」

「それは無限収納庫インベントリに入れてこればいいわ」

「でも、こっちでは確認できないんじゃ?」

「それはステータスだけよ」

 そうだったんだ。

「じゃあ今度厨房を使えたら、作ってきますね」

「厨房が使えないと作れないの?」

「まぁ道具があればいい「あればいいのね!」…はい」

 そう答えると、フッとどこかへ消えてしまった。残ったのは未だに土下座したままのグランパパだけ。てか何時までしてるのよ!

「えっと、とりあえず止めてくれません?」

 話が進まないし。

「…そうですね。すいません」

 そう言ってグランパパは土下座を止めると、以前と同じようにゴザを敷いて、私を座るように促した。私はストンとゴザに座る。

「それで、オケアニス様が言っていた思い過ごしってどういうことです?」

「うっ!それは…」

 私から目をそらす。なんで?

「答えられないんですか?」

「そうじゃないんですが…怒らないでくださいね?」

 それは…場合による。

「まぁ、とりあえずは」

「…マリーナさんは私としか話したくないと…そう他神に説明したのです」

 ………うん?

「私、いつそんなこと言いましたっけ?」

 そう尋ねると、またしても土下座してしまった。

「私は!マリーナさんを独り占めしたかったんです!だから…そんな嘘を…」

 ……うん。なんだろ。物凄い怒りというか……呆れ。

「はぁー…そんなことですか」

 私としてはそれだけの認識だ。

「私は他の神様とも話してみたいし、独り占め…拘束はされたくない」

「…すいません」

「いいですよ、もう。でも、他の神様にはちゃんと説明してくださいね?」

 誤解を解いて貰わないとね。

「…そうですね。後で謝っておきます」

「それがいいです。あと、手紙にあった私の種族についてというのは?」

「ああ、それですね」

 土下座を止めて私の隣に座る。

「マリーナさんの種族は、やはり【神龍】とは違う存在になってしまったようです」

 やっぱりそうか。というか自分のステータス確認してないや。後で確認しとこ。

「それは前にも聞きましたよ?」

「はい。それで、龍になれるか分からないと言いました。しかし、調べた結果、【龍化】は可能でした」

「龍化…」

 まぁなることはないと思うけどね。

「はい。一部龍化することもできますよ」

「一部ですか?」

「例えば…羽だけ出すとかですね」

 おぉ。それは使うかも。空は飛んでみたい。

「あ、その時服はどうなるんです?」

 背中から羽が生えることになるだろうし、服を突き破っちゃうんじゃないかな?

「羽は魔力によって構築されるため、服はそのままで大丈夫ですよ」

 なるほど。じゃあ後で試してみようかな?

「できたわよー!」

 そんなことを考えていると、いきなりオケアニス様の声が聞こえた。そして、またしても後ろから抱きつかれる。

「ゔっ!」

 …また変な声が出た。力強すぎ!

「オケアニス…マリーナさんが苦しんでる」

「あ!ごめんね!」

「だ、大丈夫です…」

 いや大丈夫ではないけどね!?普通の人だったら死んでそう。まぁ怪我はしてないし…

「それでどうしたんです?」

「これよ!」

 そう言って何も無い空間からを取り出した。









 ……それは、私が地球でよく見たことがあるものだった。






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