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第2章

冒険者ギルド

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「うわぁー…」

 門をくぐると、たくさんの人が忙しなく歩いていた。それに、恐らくレンガ造りの建物が所狭しと並んでいた。こうやって見ると外国みたい…確かに日本じゃないんだけどね。

「ふふふっ。驚いてるわね。凄いでしょ?」

「はい!こんなにも人がいるなんて!」

 ずっと森にいたからね。私以外の人とあったのは、ギルさんたちが初めてだったし。

「まずはギルドにいかねぇとな」

 ギルさんがそう言うので、ギルさんの後をついて行く。

 しばらくして、ギルドと思しき建物に到着した。扉は無くて、中は酒場とカウンターみたいなのがあった。ここも人がいっぱいいる。

「こっちだ。はぐれねぇようにな」

 確かに今は5歳の私は、大人の体格がいい男の人混みに埋もれちゃうもんね。

「じゃあ私と手を繋ぎましょ!」

 リナさんと手を繋ぎ、冒険者ギルドに足を踏み入れた。

「お!ギルじゃねぇか!無事だったのか!」

 なんかさっきも同じような事を言われたよね…そんなに心配されてたのかな?
 話しかけてきたのは、右目に傷跡がある、何故か上半身裸のムキムキの男の人だった。

「まぁな。その件でギルマスに報告しなきゃいけねぇことがあるんだよ」

「そうか、じゃあ後で話きかせてくれや」

「おう!じゃあ後でな」

 話しかけてきた男の人との会話が終わり、リナさんに手を引かれながらその場を後にした。

「ねぇ、ギルさん?」

「うん?どうした?」

「冒険者って、どうしたらなれるんですか?」

「ああ、それはあそこの受付で登録するんだよ。なんだ、なりたいのか?」

「はい!なりたいです!」

「そうか…じゃあ先に登録を済ませちまうか」

 先にって、後で何が…あ、なんかギルマスと話すとかなんとかって言ってたね。それのことかな?

「おーい。登録を頼むぜ」

 受付でギルさんがそう言うと、奥から女の人が出てきた。

「はいはい…あら、ギルじゃない。久しぶり。どうしたの?」

「ああ。今日はこいつの登録だ」

 そう言って私のことを指さした。

「え?!こんな小さな子?」

 まぁ否定はしない。

「初めまして!マリーナって言います!」

「え、ええ…私はカリナよ…ほんとに登録するの?」

「だめですか?」

「だめじゃないけど…親は?まさかギルなんて言わないわよね?」

 あ、そっか。親か。どうしようかなぁ…

「…実はもう…」

「あ!ご、ごめんなさい!辛いこと思い出させちゃったわね…」

 私は、親がいないとは一言も言ってないよー。まぁわざと勘違いさせるような表情でやったけどね。

「じゃ、じゃあこの紙に名前とか書いてくれる?」

 そう言って渡してきたのは、葉書くらいのサイズの紙。そこにこの世界の言葉で、名前、クラス、魔法適性、と書かれている。名前はそのままだろうし、魔法適性もまんまだろうけど…

「クラスってなんですか?」

 それが分からない。

「クラスっていうのは、剣士とか、魔術師、ヒーラーとかのことよ」

 なるほど。職業みたいなもんか。

「字は書ける?」

「はい!」

 どうやら、全言語理解は読み書きとかも含まれるらしいので、問題ない。

「じゃああっちのテーブルで書いてきて、書き終わったら、また持ってきてくれる?」

 そう言いながら指さした先には、洞穴で使っていたくらいの大きさのテーブルがあった。

「はい!」

 そこに羽根ペンもあったので、それで書く。

「うーん…書きずらい…」

 紙の質も関係してるのかもしんないけど、なんか引っかかって書きずらい。こんな時になって、ボールペンの有難みがよく分かるよ…

「じゃあ俺たちはギルマスのとこにいってくるから、分からないことあったらカリナに聞くんだぞ?」

「分かりました」

 私が頷くのを確認して、ギルさんたちは受付に行ってしまった。

「さてと…名前はマリーナだけでいっかな?」

『そのほうがいいと思います』

 だよね。でもそうなるとフルネームはいつ使うことになるんだか…

「クラスは…魔術師かな?」

 魔法適性は隠蔽してあるステータス通りにっと…できた!

 さっそく受付に持っていく。

「書けました!」

「あら、早かったわね。どれどれ…え?!こんなに適性あるの?」

 そこまでおかしかったかな?まぁ収納含め4つだから、多いといえば多いね。

「はい。それで大丈夫ですか?」

「え、ええ…ちょっと待っててね」

 そう言ってカリナさんは奥に消えていった。なんか不味かったかな?

『マリーナ様は今5歳ですので、その歳にしては多いと判断されたのだと思います』

 え、そうなの?まじかぁ…やっちゃったかな?

『そこまで気にしなくていいと思います。珍しいとはいえ、有り得ない訳ではありませんから』

 そう、なのかなぁ?

「お待たせ!じゃあ訓練場に向かいましょうか」

「訓練場…ですか?」

「ええ、そうよ。まずは魔法適性が本当かの確認ね。その後ランクを決めるための模擬戦をするわ」

「分かりました」

「じゃあ着いてきて?」

 カリナさんの後をついて行く。すると外ではなく、ギルドの地下に向かって行った。

「訓練場は地下にあるんですか?」

「ええ、そうよ」

 階段を降りていくと、しばらくして開けた場所にでた。

「うわぁー…」

 そこは簡単に言うなら、体育館みたい。でも、広さが桁違い。それに地面は土になっていた。こんな広い空間が地下にあるなんて…

「ここは空間魔法で広げてあるのよ」

 へー!そんなことできるんだ!

「じゃあまずは魔法適性の確認ね。あそこに的が見える?」

 カリナさんが指さした、距離にして10メートルくらい先には、木でできたような人形があった。

「あれに魔法を当ててね。弱くていいわ。マリーナちゃんは…
 水、風、火だったわね」

「はい」

「じゃあまず水からやってくれる?」

 水かぁ…あんまり威力高いとだめだろうし、ボール系でいいかな?
 私はイメージを固め、魔力を集中させる。

「ウォーターボール!」

 そう吹くと、目の前に直径1メートルほどの水球ができた。

「え?!そんなに?!」

 カリナさんがなんか言ってるけど…これってやらかしたかな?ま、いっか!

「いっけぇー!」

 ウォーターボールは真っ直ぐ的に向かっていき、命中した。

 …的を消滅させて。

「あれ?」

 ウォーターボールってそんなに威力あったっけ?

『恐らく、以前魔法を行使した時よりも、マリーナ様のステータスが上がっているからだと考えられます』

 あ、なるほど…って、それでもやばくない!?

「な、なんて威力なの…」

 カリナさんも驚いてる…けど、1番驚いてるのは私だったりする。

「…大丈夫ですかね?」

 3つほど的が並んでいたのだが、それら全てが消滅してしまったのだ。弁償しないといけないかなぁ…でもお金持ってないし…どうしよう?

「え、ええ…大丈夫よ。的は壊れるものだからね(普通は壊れないけど…)」

 ほ、良かった。なんか最後小声で聞こえ無かったけど、気にしないていいよね。

「あとは風と火ですよね」

「あ、もう、いいわ。それは」

 うん?そうなの?

「いいんですか?」

「ええ(これ以上やったら訓練場が壊れるわ!)」

「ごめんなさい。最後聞こえなかったんですけど…」

「な、なんでもないわ!」

 カリナさんがそう言うなら、別にいいか。

「じゃあ次は模擬戦…」

「そ、それもいいわ!(私が戦うつもりだったけど、これは私の命が危ないわ!)」

 ほんとにいいのだろうか?適性だって水しか見てないし。

「ほんとにいいんですか?」

「ええ。もう上にもどりましょう。ギルドカードを発行するわ」

 そう言われたので、カリナさんと一緒に訓練場を後にした。







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