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第1章
召喚組4
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俺たちがこの世界に来てから早2週間が経った。この世界の暦は地球とまったく変わらない。ただ曜日という概念がないのだとか。
そして今日、いよいよ実戦をすることになった。
「ではこれからダンジョンに入ります。なにがあっても落ち着いて訓練を思い出し、冷静に対処してください」
ゾロディアさんがそう言った。ダンジョンとはこの世界のあらゆる所に存在する地下迷宮で、そこには大量の魔物が生息しているらしい。ダンジョンができる原理は分からなくて、突然出来るらしい。出来てから時間が経てば経つほどダンジョンは深くなり、出てくる魔物はより強くなるらしい。あれから訓練をしてかなり実力もついたという自信はあるが所詮それだけ。いざ実戦となって動けるかは別の話だ。
正直言って怖い。日本では戦うことはおろか剣を持つことすらなかったのだから。だが、俺は勇者だ。弱音は言ってられない。みんなを引っ張って行かないとな。
「勇希、大丈夫か?」
「ああ、もちろんだ」
いつになく剛が弱気だな。
「だってよ、俺の武器これだぜ?」
剛の武器はあれから特注してもらった。なんというか金属製のボクシンググローブみたいなやつ。確かにそれで突っ込むのは怖いわな。
「私も怖いけど…勇希君が守ってくれるよね?」
「もちろんだ。聖蘭だけじゃなく、全員守ってやるさ」
それが俺の役目であり、義務だからな。
ダンジョンの中は洞窟のようになっていて、うっすらと明るい。壁から出ている結晶が光っているようだ。
「あの結晶は『魔結晶』という結晶ですよ。魔素が結晶化したもので、あの光は魔力の光なんですよ」
と結晶を見つめているとゾロディアさんが説明してくれた。魔素が固まったものなら魔力タンクとして使えないのだろうか?そう思って質問してみると
「それは考えていなかった。今度実験してみよう」
と言われた。これで実験が成功すれば、魔王討伐にかなり役に立つはずだ。
しばらくダンジョンを進んでいると頭の中に地図が浮かんでくる。これが俺のスキル『マッピング』の、自分が通ったことのある場所を全て地図にして頭の中に保存出来るという効果だ。こういう迷路みたいな所にいく時は道に迷わないため、とても便利なスキルだ。
「…っ!きたぞ!」
ゾロディアさんが叫ぶと直ぐに角から何かが現れた。
「…ゴブリンだな。これくらいならちょうどいいだろう。ユウキ!これを倒せ」
「え?あ、はい」
ゴブリン…緑色の肌の小人みたいな魔物だ。俺は剣を抜いて対峙する。スキル『縮地』を使って一気に踏み込み、首を跳ね飛ばした。
「きゃあぁ!」
…女子には少し刺激が強かったか…
「うん。さすがだな。お前らもこんなことで怖がってたらいつか死ぬぞ。ちゃんと覚悟を決めとけ」
ゾロディアさんは口調が強くなったりするけど、言ってることは正しい。この世界で生命は軽い。高校生の俺たちに何を求めてるのかって思うだろうけど、帰るためには仕方がないんだから、やるしかない。
「これからダンジョンの奥に行ってレベル上げをしてもらう。全員レベル10ほどになるのが今日の目標だな」
10…やるしかないよな。
それから入れ代わり立ち代わりで戦闘を行い、みんな戦うことに慣れてきたようだ。約1名やばくなっちゃった人がいるが。
「おりゃ!死ねぇ!」
…笑顔で魔物の顔面殴って殺してる剛はもう手遅れかも知れない。
しばらくダンジョンを探索すると、でかい扉みたいな所に着いた。
「だいたい10階層おきにこんな扉があって、中にはフロアボスと呼ばれる魔物がいる。ここのフロアボスは今まで出てきた魔物より強いが、今のお前たちなら倒せるはずだ」
そう言ってゾロディアさんが扉に手を触れる。それだけで扉が勝手に開いていく。
「いくぞ」
中に入ると明かりがついて、部屋の全貌が明らかになる。どうやらドーム状になっているようだ。部屋の真ん中には魔法陣らしきものがあった。その魔法陣が光ったと思ったら、でかい魔物が一瞬にして現れた。
「レッドミノタウロスか…まぁなんとかなるだろ」
現れた魔物はレッドミノタウロスというらしい。確かに赤色だ。二足歩行の牛みたいで手?にはでかい斧を持っているんだけど……マッチョだ、シックスパックだ、やべぇ、笑いそう。
ブモォォォォォォ!!
そうこうしているとミノタウロスが雄叫びをあげて腕を振り上げた。だが俺たちとは距離がある。一体何をするのか…
「…っ!離れろ!」
いきなりゾロディアさんが叫んだ。俺たちは分からないまま横に飛んだ。そのすぐ後にミノタウロスが斧を振り下ろすと、振り下ろしたところから、俺たちがいまさっきいたとこまでの地面が割れた。
「うおっ!あぶねっ!」
どうやらただの力技のようだが、かなりの威力だ。当たったらひとたまりもなかったな…
「今度はこっちの番だ!」
俺は縮地でミノタウロスに近づくと剣を振るった。だが、その攻撃はミノタウロスの斧に防がれた。両手持ちの巨大な斧だが、それを軽々振るい、俺は弾かれた。
「くっ!」
あのミノタウロス、予想以上に速い…
「この!フレアサークル!」
この声は聖蘭だな。元々聖蘭は火属性魔法を持っていたなかったが、聖女という職業の影響か、覚えることが出来たのだ。
フレアサークルは相手を炎で覆い焼き尽くす魔法だが…
ブモォォォォォォ!!
「効いてないっぽいな…」
マジかよ…どうすんだ?
「レッドミノタウロスの弱点は氷属性だ。だがあの筋肉で阻まれてしまう」
結局それって弱点じゃないんじゃね?
「なら俺がいく!至近距離で打ち込めばいい話だろ!」
そういったのは剛だ。氷属性は水属性の派生なので、使えるが…危険すぎる。
「剛!危険だ!」
「どっちにしろやらなきゃならないんだ。援護頼むぜ!」
こいつはこう言ったら聞かないんだよな…
「…分かった。死ぬなよ」
「当たり前だぜ!」
俺は剛と一緒にミノタウロスに突っ込んだ。俺が正面、剛が背後だ。俺は剣を振るった。さっきと同じように斧で防がれたが、これでいい。俺は足と腕に魔力を集中させ、強化する。これでミノタウロスの動きを封じれる。その隙に剛が拳に氷属性を纏わせ、背面から殴る。
「おらぁ!」
1発では仕留められず、何発も打ち込む。そして遂に体を貫いた。魔物は首を斬るか、体内の魔石を破壊すれば倒せる。魔石は人間で言う心臓だ。剛はそこを狙って、攻撃をした。そして見事魔石を破壊したのだ。
ブモッ…
ミノタウロスが力なく倒れた。
「…勝ったぞ!やったな!」
「おう!勇希のお陰だぜ!」
「見事だな。ユウキ、ツヨシ」
ゾロディアさんからお墨付きも貰ったし、今日の実戦はここまでだ。
「フロアボスを倒すと転移石が使えるようになる。これを使えばダンジョンの外に一気に出られる」
それはよかった。正直もう歩きたくない。
部屋の隅にあった扉を開けるとそこには水晶の原石みたいなのがあった。
「これに触れたら出られる」
言われた通り触れてみる。すると目の前が真っ白になったと思ったら、ダンジョンの入り口に帰ってきていた。
「すげぇ…」
外に出るともう辺りは暗くなり始めていたので、急いで城に戻った。
しばらく休日が欲しい…
そして今日、いよいよ実戦をすることになった。
「ではこれからダンジョンに入ります。なにがあっても落ち着いて訓練を思い出し、冷静に対処してください」
ゾロディアさんがそう言った。ダンジョンとはこの世界のあらゆる所に存在する地下迷宮で、そこには大量の魔物が生息しているらしい。ダンジョンができる原理は分からなくて、突然出来るらしい。出来てから時間が経てば経つほどダンジョンは深くなり、出てくる魔物はより強くなるらしい。あれから訓練をしてかなり実力もついたという自信はあるが所詮それだけ。いざ実戦となって動けるかは別の話だ。
正直言って怖い。日本では戦うことはおろか剣を持つことすらなかったのだから。だが、俺は勇者だ。弱音は言ってられない。みんなを引っ張って行かないとな。
「勇希、大丈夫か?」
「ああ、もちろんだ」
いつになく剛が弱気だな。
「だってよ、俺の武器これだぜ?」
剛の武器はあれから特注してもらった。なんというか金属製のボクシンググローブみたいなやつ。確かにそれで突っ込むのは怖いわな。
「私も怖いけど…勇希君が守ってくれるよね?」
「もちろんだ。聖蘭だけじゃなく、全員守ってやるさ」
それが俺の役目であり、義務だからな。
ダンジョンの中は洞窟のようになっていて、うっすらと明るい。壁から出ている結晶が光っているようだ。
「あの結晶は『魔結晶』という結晶ですよ。魔素が結晶化したもので、あの光は魔力の光なんですよ」
と結晶を見つめているとゾロディアさんが説明してくれた。魔素が固まったものなら魔力タンクとして使えないのだろうか?そう思って質問してみると
「それは考えていなかった。今度実験してみよう」
と言われた。これで実験が成功すれば、魔王討伐にかなり役に立つはずだ。
しばらくダンジョンを進んでいると頭の中に地図が浮かんでくる。これが俺のスキル『マッピング』の、自分が通ったことのある場所を全て地図にして頭の中に保存出来るという効果だ。こういう迷路みたいな所にいく時は道に迷わないため、とても便利なスキルだ。
「…っ!きたぞ!」
ゾロディアさんが叫ぶと直ぐに角から何かが現れた。
「…ゴブリンだな。これくらいならちょうどいいだろう。ユウキ!これを倒せ」
「え?あ、はい」
ゴブリン…緑色の肌の小人みたいな魔物だ。俺は剣を抜いて対峙する。スキル『縮地』を使って一気に踏み込み、首を跳ね飛ばした。
「きゃあぁ!」
…女子には少し刺激が強かったか…
「うん。さすがだな。お前らもこんなことで怖がってたらいつか死ぬぞ。ちゃんと覚悟を決めとけ」
ゾロディアさんは口調が強くなったりするけど、言ってることは正しい。この世界で生命は軽い。高校生の俺たちに何を求めてるのかって思うだろうけど、帰るためには仕方がないんだから、やるしかない。
「これからダンジョンの奥に行ってレベル上げをしてもらう。全員レベル10ほどになるのが今日の目標だな」
10…やるしかないよな。
それから入れ代わり立ち代わりで戦闘を行い、みんな戦うことに慣れてきたようだ。約1名やばくなっちゃった人がいるが。
「おりゃ!死ねぇ!」
…笑顔で魔物の顔面殴って殺してる剛はもう手遅れかも知れない。
しばらくダンジョンを探索すると、でかい扉みたいな所に着いた。
「だいたい10階層おきにこんな扉があって、中にはフロアボスと呼ばれる魔物がいる。ここのフロアボスは今まで出てきた魔物より強いが、今のお前たちなら倒せるはずだ」
そう言ってゾロディアさんが扉に手を触れる。それだけで扉が勝手に開いていく。
「いくぞ」
中に入ると明かりがついて、部屋の全貌が明らかになる。どうやらドーム状になっているようだ。部屋の真ん中には魔法陣らしきものがあった。その魔法陣が光ったと思ったら、でかい魔物が一瞬にして現れた。
「レッドミノタウロスか…まぁなんとかなるだろ」
現れた魔物はレッドミノタウロスというらしい。確かに赤色だ。二足歩行の牛みたいで手?にはでかい斧を持っているんだけど……マッチョだ、シックスパックだ、やべぇ、笑いそう。
ブモォォォォォォ!!
そうこうしているとミノタウロスが雄叫びをあげて腕を振り上げた。だが俺たちとは距離がある。一体何をするのか…
「…っ!離れろ!」
いきなりゾロディアさんが叫んだ。俺たちは分からないまま横に飛んだ。そのすぐ後にミノタウロスが斧を振り下ろすと、振り下ろしたところから、俺たちがいまさっきいたとこまでの地面が割れた。
「うおっ!あぶねっ!」
どうやらただの力技のようだが、かなりの威力だ。当たったらひとたまりもなかったな…
「今度はこっちの番だ!」
俺は縮地でミノタウロスに近づくと剣を振るった。だが、その攻撃はミノタウロスの斧に防がれた。両手持ちの巨大な斧だが、それを軽々振るい、俺は弾かれた。
「くっ!」
あのミノタウロス、予想以上に速い…
「この!フレアサークル!」
この声は聖蘭だな。元々聖蘭は火属性魔法を持っていたなかったが、聖女という職業の影響か、覚えることが出来たのだ。
フレアサークルは相手を炎で覆い焼き尽くす魔法だが…
ブモォォォォォォ!!
「効いてないっぽいな…」
マジかよ…どうすんだ?
「レッドミノタウロスの弱点は氷属性だ。だがあの筋肉で阻まれてしまう」
結局それって弱点じゃないんじゃね?
「なら俺がいく!至近距離で打ち込めばいい話だろ!」
そういったのは剛だ。氷属性は水属性の派生なので、使えるが…危険すぎる。
「剛!危険だ!」
「どっちにしろやらなきゃならないんだ。援護頼むぜ!」
こいつはこう言ったら聞かないんだよな…
「…分かった。死ぬなよ」
「当たり前だぜ!」
俺は剛と一緒にミノタウロスに突っ込んだ。俺が正面、剛が背後だ。俺は剣を振るった。さっきと同じように斧で防がれたが、これでいい。俺は足と腕に魔力を集中させ、強化する。これでミノタウロスの動きを封じれる。その隙に剛が拳に氷属性を纏わせ、背面から殴る。
「おらぁ!」
1発では仕留められず、何発も打ち込む。そして遂に体を貫いた。魔物は首を斬るか、体内の魔石を破壊すれば倒せる。魔石は人間で言う心臓だ。剛はそこを狙って、攻撃をした。そして見事魔石を破壊したのだ。
ブモッ…
ミノタウロスが力なく倒れた。
「…勝ったぞ!やったな!」
「おう!勇希のお陰だぜ!」
「見事だな。ユウキ、ツヨシ」
ゾロディアさんからお墨付きも貰ったし、今日の実戦はここまでだ。
「フロアボスを倒すと転移石が使えるようになる。これを使えばダンジョンの外に一気に出られる」
それはよかった。正直もう歩きたくない。
部屋の隅にあった扉を開けるとそこには水晶の原石みたいなのがあった。
「これに触れたら出られる」
言われた通り触れてみる。すると目の前が真っ白になったと思ったら、ダンジョンの入り口に帰ってきていた。
「すげぇ…」
外に出るともう辺りは暗くなり始めていたので、急いで城に戻った。
しばらく休日が欲しい…
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