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第1章

私の決断

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 次の日、起きると自分以外の人がいた。

「……あ、そっか」

 昨日迎え入れたんだった。確か…ギルさん?だったかな。そのギルさん達はまだ寝てるようなので、起こさないようにベットから出て、怪我してた人のとこに行った。

「息が荒いね…」

 それに熱もあるみたい。だいぶ苦しそう。

『どうやら細胞が壊死しているようです』

「え?!」

 思わず声がでたけど、ギルさん達は起きてないみたい。で、どういうこと?

『どうやら骨が骨折したままになっているようで、そこから壊死してきているようです』

 骨折したままって…そうか、あの時止血するのが精一杯だったのかな。

「治せる?」

『はい。それと、この世界の人に細胞と言っても理解出来ないと思います』

 えっと…それって…

『事実上、マリーナ様にしか出来ません』

 だよね。治すのはいいけど…

『恐らくこの人の仲間の方々は気づいていないので、治しても気づかれないと思います』

 確かにそうだね。ていうか私が心配してたことをピタリと言い当てるとはね。

『ありがとうございます』

 うん。頼りにしてるね。さて、どこまで治そうか?私なら多分この人を今日立てるまで回復できるけど…

『壊死している細胞と骨折だけでいいと思います』

 やっぱりそうかな?

『はい。仲間の方が治癒魔法を使えていたので、問題ないかと』

 そうだね。よし!

 私は治癒魔法をかける。壊死した細胞が再生して、骨が繋がるイメージで。

 一瞬体が光ったと思ったらすぐにおさまった。顔を覗くとさっきよりだいぶましになってるみたい。息も安定してる。

「良かった…」

『お見事です。これで問題ありません』

 うん、ハクのお墨付きも貰ったことだし、朝ごはんを作ろうかな。

「うーん…やっぱりスープしか無理だね…」

 調味料がないから他に出来ないんだよね。やっぱり街に行こうかなぁ?

「ま、今はいいや」

 とりあえず鍋に水を入れて火にかける。また鶏ガラかな。

 鍋に鳥(みたいな魔物)の骨を入れて煮詰める。昨日はジリル草を入れて驚かれたけど、これが一番美味しいから今日も入れた。あと人参(こっちでは"キャロ")と鳥(魔物)の肉なんかを入れて煮詰める。匂いで目が覚めたのかギルさん達が起き始めた。

「おはようございます!」

「ふぁぁ…ええ、おはよう」

「おはよー」

「おはよう、今日もいいのか?」

「もちろん。ちょっとまっててくださいね」

 私はお椀にスープをよそってテーブルに運んだ。

「おい、このスープ、まさか…」

「うん。ジリル草が入ってるよ。苦手だった?」

「いや!苦手じゃねぇ!(ジリル草が一生の内に2回も食べれるとはな…)」

「ありがとう。でも本当にいいの?」

「もちろん。私だけじゃ食べきれないしね」

 これ本当。1人前のスープでだいたいジリル草5本くらいなんだけど、無限収納庫インベントリに千本以上はいってるんだよね…。まぁジリル草はポーションの材料にならないらしくて、ただの食用なんだけどね。ちなみにポーションの調合は無限収納庫インベントリがやってくれるんだけど、使うことないからあんまり作ってなかったんだよね。

「美味いー!またお代わりしていい!?」

 確かバケットさんだったかな?そんなに嬉しそうな顔をしてくれると、こっちまで嬉しいよ!

「もちろん!たくさん食べてね?」

「ありがとー!」

 …あれ?この人こんなキャラだったっけ?

「バケットが素に戻ってるわ」

「え?!あれが素なの?」

「そうよ。私たちとか信頼してる人たちとしかいない時にあんな感じになるわ」

「へー」

 それって信頼されたってことでいいのかな?

「あー美味しかったー!」

「お前が1番食べてたな」

「ほんとにね」

「だってあんな美味しいスープ食べたことなかったんだもん!」

 うん、嬉しいんだけど…人ってここまで変わるんだね。

 その後私が後片付けをしていると

「私も手伝うわ」

 と、リナさん?が言ってくれたので、一緒に後片付けをした。

「ねぇ、マリーナちゃん?」

 片付けをしていたらリナさんが話しかけてきた。

「なに?」

「マリーナちゃんは街に行きたい?」

 街、街かぁ…、行きたくないといえば嘘になる。調味料とか欲しいし、この世界の食べ物も知りたい。

 …あと教会かな。多分結構大きい街にしかないと思うけどね。

「うーん…」

 と、私が渋っていると

「別に強制じゃないのよ?ただ、マリーナちゃんが街に行きたいのなら一緒に行けないかなって」

 …これはとてもありがたい申し出かもしれない。多分大きい街になると身分証とかいるかもだし、一緒だったらそこらへんなんとかなると思う。だから…

「…私、街に行きたいです!!」

「…っ!そ、そう…でもいいの?」

「はい。前々から行きたいとは思っていたので」

「そう…なら一緒にいきましょ!出発はフィーナが起きてからになると思うけど…」

「フィーナ?」

 誰?って寝てる人しかいないか。

「あ、まだ言ってなかったわね。今寝てるのがフィーナよ。私と幼なじみなの」

 へー!そうだったんだ。

「じゃあその時はよろしくお願いします」

 と頭を下げた。

「ふふふっ。そんなに畏まらなくていいわよ。ええ、よろしくね?」

 これでやっとスープ生活から解放される!!

 私は上機嫌でその日を終えた。
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