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第1章

ぱわーこんとろーると狩り

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 眩しさに目を開けると、昨日と同じく木の肌が目の前にあった。

「ふぁぁー」

 欠伸をし、体を上に伸ばす。

「よし!」

 とりあえず木の上から降りる。昨日は焦っていたけど、今回はちゃんと着地しよう。

 スタッ

 まるで衝撃を感じなかった。

「…やっぱり自分の力について理解したほうがいいかな?」

 よし!今日は自分の力の検証だ!

 ひとまず走り込み。50メートルくらい先にある木を目指して、全力疾走した。…すると、

「うゎぁぁぁ!」

 ドシィィーン!

 木に激突した。

「痛てて…」

 痛くはないけどなんとなくそう言ってしまう。さて、ここまで何秒かかったかな?

「…世界記録だー(棒)」

 ありえないわ!!1秒もかかってないと思うんですけど?

『はい。0.87秒です。距離は43メートルです』

「あ、そう…」





 …これでわたしの人外っぷりが分かったような分からんような。とにかく、この力を制御出来るようにならないと、いつか必ず死ぬ。使いこなせない力なんて無いも同然。

「ひとまず軽く走ったり、ジャンプしたりで感覚を掴んでみよう」



 ドカン!バギィ!ベコ!


「痛くはないけど…」

 うわぁー…なにが暴れたんだろうねー。クレーターとか出来ちゃってるし。ハハハ…。


「うん、私はなにも見ていない!」

 とにかく制御が出来るようになっただけマシ!さて、いよいよ実践といきますか!

『索敵スキルの使用をおすすめします』

 と、ハクが言ってきた。てかスキルってどう使うの?

『能力を具現化したものなので、感覚でできます。索敵は周りの気配に集中すると発動します』


 と言われたので、私は木刀を持って気配を探してみる。すると色々な反応が分かった。なんか電気信号みたいに頭に送られてくる。反応が強いのが強いやつっぽいね。じゃあ反応が小さい方に行ってみよう。


 歩くこと数分、私は反応が近くなったので、息を潜め、気配を殺した。

 草むらから覗くと、そこにはイノシシみたいなのがいた。フゴフゴいってるあたりまさにそれ。

 私は足に力を込めて一気に近づく。

 …っ!ブモォォォ!

 気づいたってもう遅い。私は木刀で殴ってもダメージが少ないと思い、木刀に魔法を纏わせてみる。纏わせるのは風。鋭く切る刃をイメージする。

「はぁ!」

 首を狙って下から上に斬りあげる。ほとんど抵抗もなく一刀両断できた。

 フゴ…

 どうやら倒せたらしい。

「うぅぅ…やったー!」

 作った武器で倒すことができた!これはいい収穫。

「食料もゲット?」

 見た感じ地球のイノシシと変わらない。かなり大きくて重そう。

「…もしかして、私これ運べちゃったりする?」

『マリーナ様の身体能力ですと、可能です』

 イノシシを抱きしめるようにして、持ち上げてみる。

「…軽い」

 クッションくらいの重さしか感じない。

「はぁ…私ってなんなんだろ?」

 とりあえず川まで持っていく。そこまで運んで自分が返り血を浴びていることに気づいたので、服を川で洗う。その後ドライヤーのイメージで温風を出してみたら、上手くいって、乾かすことができた。

「さて、持ってきたはいいけど…どう解体するの?」

無限収納庫インベントリの使用をおすすめします』

無限収納庫インベントリ?」

 そういや、そういうのあったね。

「どうゆうことができるの?」

『物を異空間に収納し、その中で調合や解体などが可能です』

「勝手にやってくれるってこと?」

『解体は全自動です』

 おお!むっちゃ楽じゃん!

「どうやって入れるの?」

『入れたい対象に触れ、"収納"と唱えるか、異空間に収納するイメージでも可能です』

 え、それって…

『はい。以前マリーナ様が出会った"バレットラビット"と、"テンペストグリズリー"は無限収納庫インベントリに収納されています』

 ああ…あの現象はそういうことなのね…てかあの兎と熊ってそういう名前だったんだ。

 私は言われた通りにイノシシに触れ、異空間に収納するイメージをした。するとスっとイノシシが消えた。

「できた?」

『はい。無限収納庫インベントリを確認してみて下さい』

「確認って…」

 そう思っていたらいきなり目の前にステータスプレートのようなものが現れた。

「おお!これか!」

 見てみると確かにあの時の兎と熊が入っていた。あとさっきのイノシシも。カーソルのようなものがあって、頭で思うだけで操作ができた。

『カーソルを先程収納した物にあて、解体と思って下さい』

 言われた通り、さっきのイノシシにカーソルあて解体と念じると、毛皮とか内蔵とか肉とかに分かれて整理された。

「おお!勝手に整理された!これは見やすいね」

 とりあえず肉を取り出して見たいけど…

「テーブルがあった方がいいよね…」

 さすがに地面に直置きはしたくない。

『でしたらテーブルは土魔法で作るか、氷魔法で作るかがあります』

 あ、その手があったか。肉を置くから氷かな?

 私は氷のテーブルをイメージした。ものの3秒で完成した。

「おお!中々いいんじゃない?」

 私はその上に肉を出した。出したりするのも念じればできた。あとは調理だね。

 私は近くに転がっていた丸太をウインドカッターで切り刻み、集める。その後ライターの火をイメージして、指を上げ、

「ファイヤ」

 と言ったら、指先からイメージ通りのライターの火がでた。

「おお!」

 とりあえずそれを木に付ける。この木は油を含んでいるみたいで、よく燃えた。

「これで焼けるかな?」

 私は氷のテーブルに出した肉を風魔法で1口サイズにし、それを準備していた木の串に刺す。

「おお、いいね」

 私はそれを焚き火で炙る。とてもいい匂いがしてきた。

「心配だからしっかり火を通さないと。あー塩があったら良かったのに…」

 ブツブツ文句を言いながらお肉を焼いていく。

「そろそろかな?」

 焼けたお肉にかぶりつく。

「熱っ!でも美味しい!」

 味はちょっと固めの牛肉みたいな感じ。噛めば噛むほど肉汁が溢れてくる。

「美味しかった!」

 私は満足したので、後片付けをし始めた。起こした火は燃え広がる心配はなさそうなのでそのままにして、氷のテーブルはどうしようか?

『魔法で創り出した物は込められた魔力が無くなるか、魔法を解除する、魔力を流すことで消すことができます』

「へー、ということはそのままにしておいたら消える?」

『本来は消えますが、今回はマリーナ様のイメージが強かったので消えないかと』

 なにそれ!?私そんなイメージが強かった?

『知識による影響です。なので魔力を流すことでしか消せません』

 ……なんか地味に規格外なことしたみたいね。

『地味ではなく、規格外です』

「そんなハッキリ言わなくてもいいでしょ!」

 ハクに文句を言いつつ、私は氷のテーブルに手を触れる。そこから魔力を流すと、氷のテーブルは空気中に溶けていくかのようにして、消えていった。

「…キレイ…」

『そうですね』

 さて、氷のテーブルも片付けたし、もう大丈夫かな?

『まだ残っています』

「え?!まだあった?」

『この辺りに血の匂いがが漂ってしまっています』

 あまり気にしてなかったけど、言われてみれば、確かに血の匂いがする。

「どうしたらいい?」

『風魔法で拡散させるか、生活魔法の"クリーン"で浄化できます』

「生活魔法?」

 ステータスにそんなんあったっけ?

『生活魔法は生活する上でとても役に立つ魔法で、この世界の人ならば全員使えると言っても過言ではありません。ですので、ステータスに表示されません 』

 なるほど。つまり使えることが分かりきっているわけね。

『クリーンは主に体の汚れを落としたり、匂いを消したりするのに使います』

 だからクリーンで浄化っていったのね。そういえば体もキレイにしたいし、使ってみようかな?

『では消したい匂いを思い浮かべて"クリーン"と唱えてください』

「クリーン」

 すると今まであった血の匂いがきれいさっぱり無くなったのが分かった。

「おお!空気が変わった!」

『体をキレイにする時は汚れが分解されるイメージだとやりやすいです』

「そっか、ありがと!」

『いえ』

 気が付くともう周りは暗くなっていた。

「ふぁぁ…」

 お腹いっぱいになったからなのか、猛烈に眠い。

「そろそろ夜だし、もう寝よ」

 私はさっそくクリーンを使い、体がキレイになったのを実感したら、昨日と同じポジションで私は眠りについた。






















 彼女が倒したイノシシは『ビックボア』と呼ばれる魔物で、大の大人5人ががりで狩れるか分からないという強敵だったのだが…当の本人はそのことを知らない。
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