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第1章

森での出来事

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 目を覚ますとそこは森の中でした。どうやら地面に寝っ転がっているようです。ひとまず起きましょう。

「よっこらしょ」

 …私は気づいてしまいました。自分の声がとても高いことに。そして、目線が低いことも。

「どゆこと?」

 ひとまず自分の姿を確認したいですね。どうやら服は着ているようで、靴というかブーツを履いていました。服は白いワンピース、ブーツは焦げ茶の皮で出来ているようです。手を見るともみじみたいな小さな柔らかい手。

「若返った?でも人じゃないって…」

 見た感じ足も手もある。明らかに人。

「やっぱりわからん。顔が人じゃない?」

 なにそれ怖?!と思いながら水を探すことにしました。生きるために必要だし、水面で顔も見れますしね。

「とはいえ、どこにいけばいいんでしょう?」

 そういえばこの喋り方も少しでも嫌われないようにする努力だったのですが…今はもう必要ないですね。

「とにかく歩こう」

 とりあえず真っ直ぐ進むことに。途中道に迷わないよう枝を折ったり、耳を澄ましてみたりしても一向に見つからない。

「はぁはぁ」

 この体で歩くと歩幅が小さいし、すぐ息が上がる。でも、不思議と疲れたりはしない。

「うーん…まぁ後で考えておこう」

 その後歩くこと30分ほどかな?水の音が聞こえた。

「あ!」

 私はその方向に向かって走った。そこは小川だった。

「やった!」

 私は水面を覗き込む。そこには前の顔とは比べ物にならないほど…可愛い顔があった。

「へ?!…これ、私?」

 思わず疑った。髪の色は前と同じ銀髪だったけど、先端に向かうにつれて金色のグラデーションになっていることに気づいた。瞳の色は金色。

「…あ、そういえばあの神様、髪の色も瞳の色も金色だったな」

 どうやら家族になるのがうれしかったのかな?思わず容姿を自分に寄せるくらいに…。

「いや、絶対わざとだ」

 とはいえ、とても可愛い顔つきなので、怒るに怒れない。というより、怒ったらなんか泣きそう。

「喉渇いたな…」

 目の前には透き通った小川、日本人として飲んで大丈夫なのか分からない。下手をしたらお腹を壊してしまう。

「でも、死ぬ訳じゃない…よね?」

 私は決心し、小川の水をすくった。とても冷たく、気持ちよかった。そして口に運ぶ。

「あ、美味しい…」

 ミネラルウォーターなんかよりもよっぽど美味しいと思う。私は夢中で水を飲んだ。

「ううぅ…もうお腹チャプチャプ」

 喉は渇くが、何故かお腹はあまり空かない。

「さて、これからどうしようか?」

 名前をくれるって言ってたけどどうやって知るのか分かんないし、そもそもまた会えるのかな?

「とりあえず町か人を探さないと…」

 そう言いながら私は背筋が凍るような感覚に陥った。本能のままに私は隠れなきゃと思い、木の上に登った。今思えばどうして木に登れたのか分からない。


 …そして、それは現れた。数は2体。一方の見た目は熊、もう一方は兎?みたいなの。でも両方常識からかけ離れた大きさがあった。

 私は見つかったら確実に殺されると思い、息を潜め、気配を消そうとした。

 幸い気づかれる様子はなかったが、この2体はどうやら戦うようだ。縄張り争いかな?

 グォォォォォォォォォォ!!
 キィィィィィィィィィィ!!

 お互いが雄叫びを上げて戦闘に突入した。速さは兎の方が高いが、1発の攻撃は熊の方が高い。

 兎は速さで錯乱させつつ少しづつ攻撃を食らわせていく。一つ一つは弱くとも、明らかに熊の体力を奪っていく。

 熊もやられるばかりではなく、巨大な腕を振り回し、応戦する。だが、1発も当たらない。恐らくあの攻撃を1発でも兎が食らえばその時点で兎の負けだろう。



 どれくらい時間が経っただろうか。両者傷だらけになりながらもなお戦い続ける。熊の攻撃を全て避けるのは無理だったらしく、最小限のダメージになるよう兎は受け流していたが、そのダメージは蓄積され、兎のスピードを奪っていた。

 そして、一瞬、ほんの一瞬だけ兎のスピードが落ちた。それを熊は見逃さなかった。熊の巨大な腕の攻撃をモロに食らい、兎は吹き飛んだ。

















 …吹き飛んだ先がこの木じゃなかったらよかったのに。







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