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わたしの加減は当てにならないらしい
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わたし達が離れると、アーテルがいそいそと地面に降り立ち、準備を始める。
『じゃあいっくよー!』
そう言った瞬間、アーテルの姿が光に包まれる。
そして光が収まった先にいたのは……巨大な黒龍。
「えぇ?!」
「まぁ驚くよね…」
この巨大な黒龍はもちろんアーテルだ。だけれど、先程とは比べ物にならないほどの大きさになっている。
普通体の大きさなんて変えれないからね……そら見たことないなら驚く。
「ど、どうやって…」
「わたしもわかんないんだよね…未だに」
『わたしも感覚だからなぁ』
何でもないように言うが、黒龍としてもアーテルは特異体だ。普通の黒龍は大きさなんて変えられない。
……いや、そもそも黒龍がほとんどいないから正確には分からないんだけどね。少なくともわたしはアーテルしか知らない。
「まぁ気にしてもしょうがないでしょ。じゃあ行こうか」
「…え、まさか」
「うん。乗るんだよ?」
「む、むむ無理です!?」
「大丈夫、落ちないから」
「いやそこではなく…」
とりあえずアーテルに屈んでもらい、問答無用でマリを横抱きにして飛び乗った。
「び、びっくりしたぁ…」
「ごめんね。こうでもしないと乗りそうになかったし」
「…まぁそうでしょうけど。せめて一言言ってください。舌噛みました…」
「痛いなら治そうか?」
もしかしたら、舌もう一本生えるかもだけど。
「……遠慮しときます」
『まぁ当然だよねー。主、加減というものを知らないから』
「おいこらどういう意味だ」
アーテルの背中をげしっと踏む。
『そ、そういうとこだよ……痛い』
「え、これでも?」
『…待って。もし本気でやったらわたしどうなっちゃうの?』
うーん…背骨は軽く折れるかも。
「だから加減はしてるんだよ?」
『……そもそも加減の基準がおかしい』
「同感です」
マリにまで言われた……どうやらわたしの加減は当てにならないらしい。
……そう言えばアニスからも言われたかも。ドアノブをむっちゃ壊してたから。今では壊してないけどね。
「まぁ練習しとく」
『…それ絶対しないやつ』
…………何も言うまい。
『じゃあいっくよー!』
そう言った瞬間、アーテルの姿が光に包まれる。
そして光が収まった先にいたのは……巨大な黒龍。
「えぇ?!」
「まぁ驚くよね…」
この巨大な黒龍はもちろんアーテルだ。だけれど、先程とは比べ物にならないほどの大きさになっている。
普通体の大きさなんて変えれないからね……そら見たことないなら驚く。
「ど、どうやって…」
「わたしもわかんないんだよね…未だに」
『わたしも感覚だからなぁ』
何でもないように言うが、黒龍としてもアーテルは特異体だ。普通の黒龍は大きさなんて変えられない。
……いや、そもそも黒龍がほとんどいないから正確には分からないんだけどね。少なくともわたしはアーテルしか知らない。
「まぁ気にしてもしょうがないでしょ。じゃあ行こうか」
「…え、まさか」
「うん。乗るんだよ?」
「む、むむ無理です!?」
「大丈夫、落ちないから」
「いやそこではなく…」
とりあえずアーテルに屈んでもらい、問答無用でマリを横抱きにして飛び乗った。
「び、びっくりしたぁ…」
「ごめんね。こうでもしないと乗りそうになかったし」
「…まぁそうでしょうけど。せめて一言言ってください。舌噛みました…」
「痛いなら治そうか?」
もしかしたら、舌もう一本生えるかもだけど。
「……遠慮しときます」
『まぁ当然だよねー。主、加減というものを知らないから』
「おいこらどういう意味だ」
アーテルの背中をげしっと踏む。
『そ、そういうとこだよ……痛い』
「え、これでも?」
『…待って。もし本気でやったらわたしどうなっちゃうの?』
うーん…背骨は軽く折れるかも。
「だから加減はしてるんだよ?」
『……そもそも加減の基準がおかしい』
「同感です」
マリにまで言われた……どうやらわたしの加減は当てにならないらしい。
……そう言えばアニスからも言われたかも。ドアノブをむっちゃ壊してたから。今では壊してないけどね。
「まぁ練習しとく」
『…それ絶対しないやつ』
…………何も言うまい。
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