魔王様、仕事して下さい!

家具屋ふふみに

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マリも連れていこう

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 わたしが転移したのは、騎獣舎だ。その理由が…を連れていくため。確かこっち……いや、今は中か。

 騎獣舎ではたまに騎獣達を外に放している。ずっと檻の中に入れられてたら、ストレスも溜まるだろうしね。ちなみに逃げる心配はない。契約者が好きでここに居るからだ。
 ……なので、喧嘩したりしてたら、どっか行っちゃうこともある。まぁしばらくしたらちゃんと帰ってくるんだけどね。

 目的の場所へと歩いていると、偶然マリに出会った。
 ……いや、ほんとに偶然だからね?

「あれ?ユーリ様、どうしてここに?」
「ちょっとうちの子連れていこうと思ってね」
「うちの子……?」
「あぁ、マリはまだ知らないか」

 えっと…うん。大丈夫そうだね。

「一緒に行く?」
「えっ!?で、でも確か……オーラにあてられてしまうと…」
「大丈夫だよ、さっき確認したし」
「……え?確認?」
「うん。だから行こっ!」
「えっ!?ちょっ!」 

 強引にマリの手を引っ張り、連れていく。
 ちなみに、マリがオーラに慣れているかをどうやって確認したのかというと……単純にわたしのオーラをあてたのだ。ケロッとしてたから、大丈夫だと判断したんだよね。



 マリの手を引っ張り、目的の場所へと到着する。

「ここ……前からずっと気になってました」
「あら、そうなの」

 確かに目立つかもしれない。他の騎獣舎と比べてデカいし、ごついし。

「ここが、わたしの騎獣がいる場所だよ」
「そうだったんですね……」

 とりあえず扉に触れ、鍵を開ける。以前西の魔王城でもあった、魔力登録式の扉だ。
 魔力には、魔力波というものが存在する。これはヒトによってそれぞれ異なるので、それを利用して鍵をかけるのが、魔力登録というもの。

 そうして鍵を開けて中に入ると……何かがベチッ!と顔面にぶつかってきた。

「え、えぇ?!」

 マリが驚きの声を上げる。
 ……はぁ。ビリッと顔面からを引き剥がす。

「…前から言ってるけど、いきなり来ないで」
『だって全然来ないじゃない!』

 わたしに掴まれ、じたばたと暴れてそう抗議するのは……漆黒の鱗に覆われた、黒龍。これがわたしの騎獣なんだよなぁ…

「紹介するね……これがわたしの騎獣。アーテルだよ」
『ん?この子だれ?』
「新しく魔王城で働き始めた子。マリだよ」
「よ、よろしくお願いします…」

 ジロジロと観察するようにアーテルがマリを見つめる。

『ふーん……わたしのオーラにあてられても大丈夫なのね』
「は、はい…」
『……え?分かってるの?』
「そうだよ。マリは銀狼族だから」
『……珍しいモノ拾って』

 おい、モノ言うな。

「また…?」
「…そこはどうでもいいの。じゃあ行こうか。アーテル、よろしく」
『やった!久しぶりに飛べるんだね!』

 手を離すとパタパタと嬉しそうに羽ばたく。
 ……可愛い。

「あの…本当に大丈夫なんですか?ボッジさんに連絡もなしに…」
「それはわたしから連絡しておくよ」

 というより今からするか。亜空間収納から魔導石版タブレット取り出して……よしっと。

「連絡ついたよ。じゃあ少し離れてね」
「え?は、はい」

 なんでか分からないという顔をしながらも、マリがアーテルから離れる。
 ……わたしも離れとこ。巻き込まれたくないし。



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