86 / 106
86話
しおりを挟む
今回潜る平原ダンジョンは、前回行った東京第三ダンジョンと同じくFランクのダンジョンだ。しかしながらその生態系は異なっており、出現するモンスターも当然異なる。
「東京第三ダンジョンでは一階層がスライムしか出なかったが、ここはホーンラビットと呼ばれるモンスターが出現するそうじゃ」
「……すっごい安直な名前だね?」
その名の通り額から一本の角が生えた兎型のモンスターである。食性は草食で気性は穏やか。つまり、自分から襲い掛かる事が基本無いモンスターである。
「じゃあ倒さなくていい?」
「いや、それがのぅ……」
ホーンラビットは温厚な性格をしているが、全員が全員温厚という訳では無いのだ。
「温厚なのは若い個体で、歳を取った個体は凶暴性が増すのじゃよ」
「わぁお…」
「見分け方は?」
「若い個体は角が白く、年老いた個体は黒ずむのが特徴じゃ」
「ん。ならそれだけ狙う」
:初心者向けといいつつかなり面倒なモンスターなんだよな……
:しかもそこそこ頭良いから偶に騙しに来るんだよ。
「騙す…?」
「温厚なフリをして近付いてくるそうじゃ。角の黒ずみはかなり些細な変化で、近付かなければ中々見分けが付きにくいらしいのぅ」
「うわぁ…」
:可愛い顔してやってる事えげつないんだよな。
:つまりる…
:それ以上はいけない。メロディに消されるぞ。
「メロディ……?」
「奏、そろそろスマホを仕舞うのじゃ」
「はーい」
Fランク帯とはいえ、警戒するに越したことはない。特に今回は遠距離職である凪沙がいるのだから、近接職の二人が常に警戒しておく必要がある。
「……居た」
「目が良いのぅ」
「ふふん」
凪沙が最初にホーンラビットを発見した。弓使いとして必要な高い視力は持ち合わせているようだ。
:自慢げ凪沙ちゃん可愛い。
:可愛い…
:クールな子が自慢げにドヤ顔するの可愛すぎんか。
コメント欄が可愛い連呼で埋まるも、それを見ていたのは瑠華だけだった。
発見したホーンラビットは呑気に草をはんでおり、遠目から見た限りでは角は白いように思える。
「どうする?」
「基本攻撃してこないとはいえ、友好的なモンスターという訳でも無い。倒すにしても気に病む必要はないぞ」
:初心者の怪我の原因がそこなんだよな。
:なまじ見た目だけは可愛いから…
:若い個体でも襲う時は襲うからな。
「駄目じゃん」
情報収集の為にコメント欄を開いた奏が突っ込む。温厚とは一体……。
「この距離ならば凪沙の射程内じゃろう。撃ってみるかの?」
「ん。やる」
状況的に逼迫している訳では無いので、回数制限のある[速射]は使わない。冷静に矢を番えて、キリキリと弦を引き絞る。
「キュッ!?」
放たれた矢は風切り音を響かせながら真っ直ぐ突き進み、ホーンラビットの胴体へと突き刺さった。しかし絶命までには至っていない。
「シッ!」
そこで透かさず奏が駆け寄り、これ以上苦しむ事がないよう刀で首を刎ねて即死させる。
絶命したホーンラビットの身体が消滅し、そこには白い角と小さな魔核だけが残った。
「一発で仕留められなかった…」
「それは仕方あるまい。ただでさえ的が小さいのだからな」
:実際弓で一発って上位層でもムズい。
:急所を的確に射抜く必要があるからね。
:その点弾速がある銃は楽だよなぁ。
:その分扱うの面倒いけどな。
銃や魔銃といった威力の高い武器は、実はダンジョン協会において免許を取得する必要がある。
そして銃とその免許は紐付けられており、使用した弾薬の数に至るまで事細かに記録する事が義務付けられているのだ。
その為威力はあれど、使う人はそこまで多くない武器の一つである。
因みに以前瑠華が魔銃を弄ったが、あれはかなりグレーな行為に当たる。まぁあの時は緊急時と判断されるので、何かしらの罰則が発生する可能性は低いが。
「角が白いって事は若い個体?」
「いや、そうとは限らん。ドロップする角は総じて白いそうじゃからな」
「……それドロップって言うの?」
明らかに元の存在が持っていなかった物なのに、それをドロップと呼べるのかは甚だ疑問ではある。
:それな。
:まぁ答えのないものを追求してもしゃーない。
:“そういうもの”として納得した方が何かと楽なんだよな……
「まぁいっか。今日初めての収穫だねー。幾らくらいになるの?」
「魔核の買取りは一律じゃ。角は何やら魔法薬の材料となるらしいが…まぁそこまで高くは無いぞ」
ホーンラビットの角は魔法薬と呼ばれる薬の触媒として使われる。しかしその効果はランク相応であり、基本的には試作する為などに使われるので買取りは安いのだ。
そして魔法薬についてだが、これはダンジョン内部で発見される宝箱から取得出来る薬の総称である。現在ではその解析も進んでおり、ある程度は人工的に作成する事ができるようになった。
魔法薬には怪我を治すものや魔力を回復させるものなどがあり、長期的にダンジョンへ潜る人を対象として売られている。
「瑠華お姉ちゃん。魔法薬って高いの?」
「ん? ……どうじゃろうな。少なくとも妾は現物を見た事が無い故、判別しかねる」
「こんな時はコメント欄!」
:頼られてるぞお前ら! 教えてやれ!
:他力本願なの草。という事で教えてくれください。
:誰も知らねぇじゃねぇかwww
:だって探索者じゃないし……
「……あんまり情報無い感じ?」
:いや一応ある。人工魔法薬は比較的安いぞ。大体風邪薬と同じ。
:その分効果は低いんだよ。効果が高いのは総じてダンジョン産だね。
「へぇ…ダンジョン産の方が効果高いんだ」
:まぁ誰が作ってるのか不明だけど。
:ダンジョン産は小瓶で一万は普通に超えるぞ。
「一万!?」
「中々じゃのう。まぁそれを買い求める者達はそれ相応の危険を犯しておるのじゃろうがな」
:基本上位層だね。
:ランクが高いダンジョン程デカイからね。数日間潜る事も多いし、その為に買うらしい。
「ほえぇ…で、瑠華ちゃん」
「……何を聞くつもりなのかは凡そ予想がつくが、一応聞こう。なんじゃ?」
「…魔法薬作れる?」
「………肯定だけしておこう」
:うむ、もう驚かんぞ……いや、うん。
:必死で納得しようとしてて草。
:ダンジョン産超えるとか言われても……いや普通に驚くわ。
:有り得るんんだよぁ……
:瑠華ちゃんだもの。
:瑠華ちゃんだからなぁ……
「さす瑠華お姉ちゃん」
「……凪沙。その様な言葉は覚えなくとも良い」
「東京第三ダンジョンでは一階層がスライムしか出なかったが、ここはホーンラビットと呼ばれるモンスターが出現するそうじゃ」
「……すっごい安直な名前だね?」
その名の通り額から一本の角が生えた兎型のモンスターである。食性は草食で気性は穏やか。つまり、自分から襲い掛かる事が基本無いモンスターである。
「じゃあ倒さなくていい?」
「いや、それがのぅ……」
ホーンラビットは温厚な性格をしているが、全員が全員温厚という訳では無いのだ。
「温厚なのは若い個体で、歳を取った個体は凶暴性が増すのじゃよ」
「わぁお…」
「見分け方は?」
「若い個体は角が白く、年老いた個体は黒ずむのが特徴じゃ」
「ん。ならそれだけ狙う」
:初心者向けといいつつかなり面倒なモンスターなんだよな……
:しかもそこそこ頭良いから偶に騙しに来るんだよ。
「騙す…?」
「温厚なフリをして近付いてくるそうじゃ。角の黒ずみはかなり些細な変化で、近付かなければ中々見分けが付きにくいらしいのぅ」
「うわぁ…」
:可愛い顔してやってる事えげつないんだよな。
:つまりる…
:それ以上はいけない。メロディに消されるぞ。
「メロディ……?」
「奏、そろそろスマホを仕舞うのじゃ」
「はーい」
Fランク帯とはいえ、警戒するに越したことはない。特に今回は遠距離職である凪沙がいるのだから、近接職の二人が常に警戒しておく必要がある。
「……居た」
「目が良いのぅ」
「ふふん」
凪沙が最初にホーンラビットを発見した。弓使いとして必要な高い視力は持ち合わせているようだ。
:自慢げ凪沙ちゃん可愛い。
:可愛い…
:クールな子が自慢げにドヤ顔するの可愛すぎんか。
コメント欄が可愛い連呼で埋まるも、それを見ていたのは瑠華だけだった。
発見したホーンラビットは呑気に草をはんでおり、遠目から見た限りでは角は白いように思える。
「どうする?」
「基本攻撃してこないとはいえ、友好的なモンスターという訳でも無い。倒すにしても気に病む必要はないぞ」
:初心者の怪我の原因がそこなんだよな。
:なまじ見た目だけは可愛いから…
:若い個体でも襲う時は襲うからな。
「駄目じゃん」
情報収集の為にコメント欄を開いた奏が突っ込む。温厚とは一体……。
「この距離ならば凪沙の射程内じゃろう。撃ってみるかの?」
「ん。やる」
状況的に逼迫している訳では無いので、回数制限のある[速射]は使わない。冷静に矢を番えて、キリキリと弦を引き絞る。
「キュッ!?」
放たれた矢は風切り音を響かせながら真っ直ぐ突き進み、ホーンラビットの胴体へと突き刺さった。しかし絶命までには至っていない。
「シッ!」
そこで透かさず奏が駆け寄り、これ以上苦しむ事がないよう刀で首を刎ねて即死させる。
絶命したホーンラビットの身体が消滅し、そこには白い角と小さな魔核だけが残った。
「一発で仕留められなかった…」
「それは仕方あるまい。ただでさえ的が小さいのだからな」
:実際弓で一発って上位層でもムズい。
:急所を的確に射抜く必要があるからね。
:その点弾速がある銃は楽だよなぁ。
:その分扱うの面倒いけどな。
銃や魔銃といった威力の高い武器は、実はダンジョン協会において免許を取得する必要がある。
そして銃とその免許は紐付けられており、使用した弾薬の数に至るまで事細かに記録する事が義務付けられているのだ。
その為威力はあれど、使う人はそこまで多くない武器の一つである。
因みに以前瑠華が魔銃を弄ったが、あれはかなりグレーな行為に当たる。まぁあの時は緊急時と判断されるので、何かしらの罰則が発生する可能性は低いが。
「角が白いって事は若い個体?」
「いや、そうとは限らん。ドロップする角は総じて白いそうじゃからな」
「……それドロップって言うの?」
明らかに元の存在が持っていなかった物なのに、それをドロップと呼べるのかは甚だ疑問ではある。
:それな。
:まぁ答えのないものを追求してもしゃーない。
:“そういうもの”として納得した方が何かと楽なんだよな……
「まぁいっか。今日初めての収穫だねー。幾らくらいになるの?」
「魔核の買取りは一律じゃ。角は何やら魔法薬の材料となるらしいが…まぁそこまで高くは無いぞ」
ホーンラビットの角は魔法薬と呼ばれる薬の触媒として使われる。しかしその効果はランク相応であり、基本的には試作する為などに使われるので買取りは安いのだ。
そして魔法薬についてだが、これはダンジョン内部で発見される宝箱から取得出来る薬の総称である。現在ではその解析も進んでおり、ある程度は人工的に作成する事ができるようになった。
魔法薬には怪我を治すものや魔力を回復させるものなどがあり、長期的にダンジョンへ潜る人を対象として売られている。
「瑠華お姉ちゃん。魔法薬って高いの?」
「ん? ……どうじゃろうな。少なくとも妾は現物を見た事が無い故、判別しかねる」
「こんな時はコメント欄!」
:頼られてるぞお前ら! 教えてやれ!
:他力本願なの草。という事で教えてくれください。
:誰も知らねぇじゃねぇかwww
:だって探索者じゃないし……
「……あんまり情報無い感じ?」
:いや一応ある。人工魔法薬は比較的安いぞ。大体風邪薬と同じ。
:その分効果は低いんだよ。効果が高いのは総じてダンジョン産だね。
「へぇ…ダンジョン産の方が効果高いんだ」
:まぁ誰が作ってるのか不明だけど。
:ダンジョン産は小瓶で一万は普通に超えるぞ。
「一万!?」
「中々じゃのう。まぁそれを買い求める者達はそれ相応の危険を犯しておるのじゃろうがな」
:基本上位層だね。
:ランクが高いダンジョン程デカイからね。数日間潜る事も多いし、その為に買うらしい。
「ほえぇ…で、瑠華ちゃん」
「……何を聞くつもりなのかは凡そ予想がつくが、一応聞こう。なんじゃ?」
「…魔法薬作れる?」
「………肯定だけしておこう」
:うむ、もう驚かんぞ……いや、うん。
:必死で納得しようとしてて草。
:ダンジョン産超えるとか言われても……いや普通に驚くわ。
:有り得るんんだよぁ……
:瑠華ちゃんだもの。
:瑠華ちゃんだからなぁ……
「さす瑠華お姉ちゃん」
「……凪沙。その様な言葉は覚えなくとも良い」
16
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!
邪神だけど生贄の女の子が可哀想だったから一緒にスローライフしてみた
海夏世もみじ
ファンタジー
小さな村で凶作が起き、村人たちは「忌み子」として迫害している少女を邪神に差し出し、生贄にすることにした。
しかし邪神はなんと、その少女を食わずに共に最高のスローライフをすることを決意した。畑や牧場、理想のツリーハウスなど、生贄と一緒に楽しみまくる!
最強の邪神と生贄少女のまったりほのぼのスローライフ開幕ッ!
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
元探索者のおじいちゃん〜孫にせがまれてダンジョン配信を始めたんじゃが、軟弱な若造を叱りつけたらバズりおったわい〜
伊藤ほほほ
ファンタジー
夏休み。それは、最愛の孫『麻奈』がやって来る至福の期間。
麻奈は小学二年生。ダンジョン配信なるものがクラスで流行っているらしい。
探索者がモンスターを倒す様子を見て盛り上がるのだとか。
「おじいちゃん、元探索者なんでしょ? ダンジョン配信してよ!」
孫にせがまれては断れない。元探索者の『工藤源二』は、三十年ぶりにダンジョンへと向かう。
「これがスライムの倒し方じゃ!」
現在の常識とは異なる源二のダンジョン攻略が、探索者業界に革命を巻き起こす。
たまたま出会った迷惑系配信者への説教が注目を集め、
インターネット掲示板が源二の話題で持ちきりになる。
自由奔放なおじいちゃんらしい人柄もあってか、様々な要因が積み重なり、チャンネル登録者数が初日で七万人を超えるほどの人気配信者となってしまう。
世間を騒がせるほどにバズってしまうのだった。
今日も源二は愛車の軽トラックを走らせ、ダンジョンへと向かう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる