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26話
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火にかけた鍋から湯気が出たのを確認して火を弱めると、タイマーを掛けてクッキー作りに合流する。
「ここはこうじゃない?」
「もうちょっと手足が……」
「……何をやっておるのじゃ?」
何やら中学生組で集まって生地をこねくり回している光景に遭遇した瑠華。思わず何があったのかカメラを向いてコメント欄に尋ねてみる。浮遊カメラは瑠華と奏の間を行ったり来たりしていたので、当然視聴者は目撃していた。
:えっとねぇ…。
:言っていいのか…。
:焼くのは瑠華ちゃんだし、黙ってても結局バレるでしょ。
「…知るなというのであれば聞かぬが」
:あぁ…えっとねぇ…。
:簡単に言っちゃうと、瑠華ちゃん作ってます。
「……妾?」
コテンと小首を傾げる。その様子にコメント欄が騒がしくなると同時に、奏が瑠華の存在に気付く。
「あっ、瑠華ちゃん! 見て見てー!」
「どれ……なるほど」
奏が手で示した先にあったのは、一枚のクッキー。瑠華の掌に収まりきらない程の大きさのそれは人型を模しており、その造形は極めて瑠華に酷似していた。
「えへへ…型抜きした生地が余ってたから、集めて作ってみたんだ」
「これは中々…上手いものじゃの」
:それな!
:マジでそっくりじゃん。
:これを主導したのが当然の如く奏ちゃんっていうねwww
「瑠華ちゃんの身体の事なら全部分かるもん!」
「かな姉それは流石にキモイ」
「えっ」
:ま、まぁ変な意味じゃないし…
「かな姉何時もどさくさに紛れて瑠華お姉ちゃんの身体触ってたの皆知ってる」
「ほわぁっ!?」
:これは…うんwww
:言い逃れ出来ないwww
「まぁ妾は触られようが気にせんが。気付かぬ訳もないしの」
「瑠華お姉ちゃんは甘い。でもそこが好き」
:おっとぉ!?
:どさくさ紛れに告白しましたよこの子!?
「わ、私も瑠華ちゃん好きなんだからねっ!」
「そうか。妾も好きじゃよ」
:∑(°∀°)コレハァ!!
:何このてぇてぇ空間…。
:これは瑠華ちゃんが悪い。
「…妾何か間違いを犯したかの?」
「あー…大丈夫だよ。瑠華ちゃんはそのままでいてね」
「うむ? まぁ良い。皆作ったクッキーは天板に乗せ終わったかの?」
「終わったー!」
「よし。ここからは妾がやっておくからの。先に手を洗ってくると良い」
「はーい!」
ドタドタと騒がしく洗面台へ走る姿を後目に、余熱を終えたオーブンにクッキーを乗せた天板を入れて、焼き時間を設定する。
:瑠華ちゃんの火属性で焼いたら早くない?
「妾は日常において魔法は極力使いたくは無いのじゃよ」
瑠華が魔法を使えばこの【柊】の管理も座ったまま全て完結する事が出来る。しかし、それではわざわざ人間に転生した意味が無い。だからこそ、ある一定の制約を独自に設けているのだ。
:あーね。
:便利に慣れるとーって事か。
「まぁそのような所じゃな。ここからは焼けるまで時間がかかるでの。暫し配信は止めて休憩じゃ。この後配信するかは奏次第じゃの」
:了解!
:じゃあ俺はプリン作ってみようかな。
:電子レンジなら多分瑠華ちゃん達が食べる時間に間に合う?
「間に合いはするじゃろうが…ぬるいぞ?」
:あっ…
:確かにプリンは冷たい方が好きかも…
:瑠華ちゃん氷属性使えるのずる過ぎる。
「ふふふ。それは当人の努力次第じゃな。ではまたの」
:バイバイ!
:後で配信して!
配信を終了してプリンとクッキーの状態を確認しつつ、後片付けを始める。
「……妾がこうも染まるとはのう」
しみじみとそう呟くも、それを嫌っている訳では無い瑠華であった。
◆ ◆ ◆
「配信再開っ!」
:待ってた!
:予想通りだったwww
クッキーとプリンが完成したところで、奏がまた配信を再開する。元々奏に委ねると瑠華から聞いていたが、大半の視聴者は配信があると確信しており、直ぐに人が集まった。
「瑠華ちゃんこれ冷やして!」
「うむ」
鍋から出したプリンを、瑠華が魔法で負荷が掛からない程度に急冷する。その後裏返してカップを揺すれば……
「わぁ…! 綺麗に出来たね!」
「そうじゃの」
:おお…美味そう!
:冷やせるのいいなぁ。
:しかも耐熱カップ割れないよう調整してるの凄すぎ。
:私氷属性持ちだけど、こんなに器用に冷やせない…。
「氷属性持ちか。ふむ…この様に何かを冷やしたいと思うのであれば、冷やす対象を魔力で覆い掌握するのがコツになるかの」
:おっ、瑠華先生!
:魔力…掌握?
「なんと言えば良いか…一体化、いや…」
:んー?
:まぁこれは感覚だろうし。
:出来ました!
:草。
:感覚派だったかwww
「おぉ、どうやら出来たようじゃの」
:満足気に頷く瑠華ちゃん可愛い。
「瑠華ちゃん食べよ?」
「む。そうじゃの」
瑠華が対応している間に奏がオーブンで焼いたクッキーを皿に並べて、凪沙と茜が人数分の紅茶を用意し終えていた。
「では食べようかの」
「うんっ! いただきます!」
奏がまず手を付けたのはプリンだった。スプーンで掬い口に入れると、途端に頬を緩ませる。
「うまぁ…」
「自分で作ったというのも関係しているじゃろうな」
:マジで美味そう…。
:ワイ、耐えきれずコンビニでプリン買ってきた。
:偶に食べたくなるよなぁ。
:クッキーはどうなん?
「サクホロ。ウマウマ」
凪沙はクッキーから先に食べた様で、紅茶で渇きを癒しながら既に何枚もクッキーを摘んでいた。
「これこれ。一人で食べ過ぎてはいかんぞ」
「むぅ…じゃあこれ最後」
:可愛い。
:クッキーそんなバクバク食べれんわ…若いのぅ。
:まぁ実際若いし。
:大半中学生だもんな…。
瑠華もクッキーを摘んでその表情を綻ばせる。味わいとしては素朴だが、それがかえって全粒粉の香ばしさを引き立たせた。
「瑠華ちゃん瑠華ちゃん」
「なんじゃ?」
「これ!」
奏が瑠華へと渡したのは、あの瑠華クッキーであった。
:おおっ!
:ガチでそっくり!
:上手く焼けたねぇ。
「良く出来ておるのう」
「えへへ…これ瑠華ちゃんが食べて!」
「……妾が妾を食べるのかえ?」
:確かにwww
:共食いだぁ!
「だって瑠華ちゃんが食べないと揉めるし」
「……まぁ、くれると言うのならば有難く貰うがの」
:取り合いになるのか。
:確かにそれなら瑠華ちゃんに渡すのが無難。
:でも瑠華ちゃんならこのクッキー保存とか出来そう。
「出来るぞ」
「出来るの!?」
:出来るんだwww
:まじかwww
「空間を隔離し保持すれば半永久的に保存は可能じゃよ」
「空間、隔離…?」
:えと…それってもしかして…
:空間属性使えるの!?
「…そういえば瑠華ちゃんの魔法属性って」
「一応全て使えるのう」
:( ˙꒳˙ )oh......
:え、サラッと言ったけど結構な事件では?
:少なくとも現在確認されてる魔法属性持ちの最大数は五だぞ。
「まぁこれは妾の特性上と言うべきか…通常の属性とは少々異なっておるがの」
:固有スキルによる恩恵的な話って事?
「まぁ、似ているのう。妾が使う魔法は、原始的な魔法とも呼べるかの」
瑠華がレギノルカであった頃から持っている超越スキルが一つ、〖原初〗の効果である。
(そも魔法属性は妾から派生したものじゃからのう…)
故に全ての属性を使えぬ道理など無いのだ。
:確かになんというか…氷属性使う時、私は呪文を紡げばオートで発動するけど、瑠華ちゃんは魔力から作ってる感じがする。
:つまり毎回一から魔法を構築してるって事!?
「ねぇねぇ瑠華ちゃん」
「なんじゃ?」
「その魔法なら私でも使えたりする?」
「ふむ……素質次第じゃの。知りたいか?」
「知りたい!」
:はーい!
:これで使えるようになったらニュースになるぞ。
:大丈夫。もうニュースになってる。
「うぇっ!? 瑠華ちゃんニュースに載ってるって!」
「…良い事なのか?」
「え? う、うーん…」
:良くは無いかも。
:内容は?
:使える魔法属性が増える固有スキルが発見? とか何とかって内容。
:それならまぁそこまでかな? 固有スキルって説明されてるなら聞き出しても無駄だと思うやつ多いだろうし。
:流石に【柊】まで押し寄せる事は無いと思いたいが…
「その点ならば心配要らんぞ」
「え?」
「この【柊】は妾が〖認識阻害〗しておるからの。妾が許可した者しか認識出来ん」
「えぇ……」
:認識阻害魔法なんてあるの!?
「魔法ではなく妾の固有スキルじゃよ」
:もうなんでもありじゃんwww
:でもそれってつまり外に出たら大変なんじゃ?
「【柊】の子らにはその為のストラップを渡しておる」
「ストラップ…あっ、これ?」
奏が取り出したのは、スマホに付いた木製の木札だ。
「それじゃ。簡易結界と認識阻害、位置情報といった機能を付けておる」
「まじか」
:まじか(真顔)www
:奏ちゃんも知らなかったのかwww
:オーバーテクノロジー…いや、オーバーファンタジー?
:確かにテクノロジーではないわなwww
:てか当然の様に物に魔法とスキル付与してる…
:瑠華ちゃんだからな。
:それで全部言い表せちゃうのが何とも…
:草。
「失くすでないぞ?」
「う、うん」
「まぁ落としても持ち主に戻るようにはしておるがの」
:至れり尽くせり。
:失せ物防止とか普通に欲しいんですけど。
:ていうか瑠華ちゃん、日常で魔法は極力使いたく無いんじゃなかったの?
「そうじゃの。しかしそれで防げる物も防げなければ本末転倒であろう?」
:それはそう。
:誘拐とか怖いもんね。
「兎に角これは有難く頂くとしよう。食べ物は食べてこそ意味があるでの」
:偉い。
:まぁこういうのってグッバイアートって言う、消える事も含めた一種の芸術だし。
:それでお味の方は?
「同じじゃの」
:草。
:そうだけど! そうなんだけどっ!
:これが瑠華ちゃんクオリティwww
「ここはこうじゃない?」
「もうちょっと手足が……」
「……何をやっておるのじゃ?」
何やら中学生組で集まって生地をこねくり回している光景に遭遇した瑠華。思わず何があったのかカメラを向いてコメント欄に尋ねてみる。浮遊カメラは瑠華と奏の間を行ったり来たりしていたので、当然視聴者は目撃していた。
:えっとねぇ…。
:言っていいのか…。
:焼くのは瑠華ちゃんだし、黙ってても結局バレるでしょ。
「…知るなというのであれば聞かぬが」
:あぁ…えっとねぇ…。
:簡単に言っちゃうと、瑠華ちゃん作ってます。
「……妾?」
コテンと小首を傾げる。その様子にコメント欄が騒がしくなると同時に、奏が瑠華の存在に気付く。
「あっ、瑠華ちゃん! 見て見てー!」
「どれ……なるほど」
奏が手で示した先にあったのは、一枚のクッキー。瑠華の掌に収まりきらない程の大きさのそれは人型を模しており、その造形は極めて瑠華に酷似していた。
「えへへ…型抜きした生地が余ってたから、集めて作ってみたんだ」
「これは中々…上手いものじゃの」
:それな!
:マジでそっくりじゃん。
:これを主導したのが当然の如く奏ちゃんっていうねwww
「瑠華ちゃんの身体の事なら全部分かるもん!」
「かな姉それは流石にキモイ」
「えっ」
:ま、まぁ変な意味じゃないし…
「かな姉何時もどさくさに紛れて瑠華お姉ちゃんの身体触ってたの皆知ってる」
「ほわぁっ!?」
:これは…うんwww
:言い逃れ出来ないwww
「まぁ妾は触られようが気にせんが。気付かぬ訳もないしの」
「瑠華お姉ちゃんは甘い。でもそこが好き」
:おっとぉ!?
:どさくさ紛れに告白しましたよこの子!?
「わ、私も瑠華ちゃん好きなんだからねっ!」
「そうか。妾も好きじゃよ」
:∑(°∀°)コレハァ!!
:何このてぇてぇ空間…。
:これは瑠華ちゃんが悪い。
「…妾何か間違いを犯したかの?」
「あー…大丈夫だよ。瑠華ちゃんはそのままでいてね」
「うむ? まぁ良い。皆作ったクッキーは天板に乗せ終わったかの?」
「終わったー!」
「よし。ここからは妾がやっておくからの。先に手を洗ってくると良い」
「はーい!」
ドタドタと騒がしく洗面台へ走る姿を後目に、余熱を終えたオーブンにクッキーを乗せた天板を入れて、焼き時間を設定する。
:瑠華ちゃんの火属性で焼いたら早くない?
「妾は日常において魔法は極力使いたくは無いのじゃよ」
瑠華が魔法を使えばこの【柊】の管理も座ったまま全て完結する事が出来る。しかし、それではわざわざ人間に転生した意味が無い。だからこそ、ある一定の制約を独自に設けているのだ。
:あーね。
:便利に慣れるとーって事か。
「まぁそのような所じゃな。ここからは焼けるまで時間がかかるでの。暫し配信は止めて休憩じゃ。この後配信するかは奏次第じゃの」
:了解!
:じゃあ俺はプリン作ってみようかな。
:電子レンジなら多分瑠華ちゃん達が食べる時間に間に合う?
「間に合いはするじゃろうが…ぬるいぞ?」
:あっ…
:確かにプリンは冷たい方が好きかも…
:瑠華ちゃん氷属性使えるのずる過ぎる。
「ふふふ。それは当人の努力次第じゃな。ではまたの」
:バイバイ!
:後で配信して!
配信を終了してプリンとクッキーの状態を確認しつつ、後片付けを始める。
「……妾がこうも染まるとはのう」
しみじみとそう呟くも、それを嫌っている訳では無い瑠華であった。
◆ ◆ ◆
「配信再開っ!」
:待ってた!
:予想通りだったwww
クッキーとプリンが完成したところで、奏がまた配信を再開する。元々奏に委ねると瑠華から聞いていたが、大半の視聴者は配信があると確信しており、直ぐに人が集まった。
「瑠華ちゃんこれ冷やして!」
「うむ」
鍋から出したプリンを、瑠華が魔法で負荷が掛からない程度に急冷する。その後裏返してカップを揺すれば……
「わぁ…! 綺麗に出来たね!」
「そうじゃの」
:おお…美味そう!
:冷やせるのいいなぁ。
:しかも耐熱カップ割れないよう調整してるの凄すぎ。
:私氷属性持ちだけど、こんなに器用に冷やせない…。
「氷属性持ちか。ふむ…この様に何かを冷やしたいと思うのであれば、冷やす対象を魔力で覆い掌握するのがコツになるかの」
:おっ、瑠華先生!
:魔力…掌握?
「なんと言えば良いか…一体化、いや…」
:んー?
:まぁこれは感覚だろうし。
:出来ました!
:草。
:感覚派だったかwww
「おぉ、どうやら出来たようじゃの」
:満足気に頷く瑠華ちゃん可愛い。
「瑠華ちゃん食べよ?」
「む。そうじゃの」
瑠華が対応している間に奏がオーブンで焼いたクッキーを皿に並べて、凪沙と茜が人数分の紅茶を用意し終えていた。
「では食べようかの」
「うんっ! いただきます!」
奏がまず手を付けたのはプリンだった。スプーンで掬い口に入れると、途端に頬を緩ませる。
「うまぁ…」
「自分で作ったというのも関係しているじゃろうな」
:マジで美味そう…。
:ワイ、耐えきれずコンビニでプリン買ってきた。
:偶に食べたくなるよなぁ。
:クッキーはどうなん?
「サクホロ。ウマウマ」
凪沙はクッキーから先に食べた様で、紅茶で渇きを癒しながら既に何枚もクッキーを摘んでいた。
「これこれ。一人で食べ過ぎてはいかんぞ」
「むぅ…じゃあこれ最後」
:可愛い。
:クッキーそんなバクバク食べれんわ…若いのぅ。
:まぁ実際若いし。
:大半中学生だもんな…。
瑠華もクッキーを摘んでその表情を綻ばせる。味わいとしては素朴だが、それがかえって全粒粉の香ばしさを引き立たせた。
「瑠華ちゃん瑠華ちゃん」
「なんじゃ?」
「これ!」
奏が瑠華へと渡したのは、あの瑠華クッキーであった。
:おおっ!
:ガチでそっくり!
:上手く焼けたねぇ。
「良く出来ておるのう」
「えへへ…これ瑠華ちゃんが食べて!」
「……妾が妾を食べるのかえ?」
:確かにwww
:共食いだぁ!
「だって瑠華ちゃんが食べないと揉めるし」
「……まぁ、くれると言うのならば有難く貰うがの」
:取り合いになるのか。
:確かにそれなら瑠華ちゃんに渡すのが無難。
:でも瑠華ちゃんならこのクッキー保存とか出来そう。
「出来るぞ」
「出来るの!?」
:出来るんだwww
:まじかwww
「空間を隔離し保持すれば半永久的に保存は可能じゃよ」
「空間、隔離…?」
:えと…それってもしかして…
:空間属性使えるの!?
「…そういえば瑠華ちゃんの魔法属性って」
「一応全て使えるのう」
:( ˙꒳˙ )oh......
:え、サラッと言ったけど結構な事件では?
:少なくとも現在確認されてる魔法属性持ちの最大数は五だぞ。
「まぁこれは妾の特性上と言うべきか…通常の属性とは少々異なっておるがの」
:固有スキルによる恩恵的な話って事?
「まぁ、似ているのう。妾が使う魔法は、原始的な魔法とも呼べるかの」
瑠華がレギノルカであった頃から持っている超越スキルが一つ、〖原初〗の効果である。
(そも魔法属性は妾から派生したものじゃからのう…)
故に全ての属性を使えぬ道理など無いのだ。
:確かになんというか…氷属性使う時、私は呪文を紡げばオートで発動するけど、瑠華ちゃんは魔力から作ってる感じがする。
:つまり毎回一から魔法を構築してるって事!?
「ねぇねぇ瑠華ちゃん」
「なんじゃ?」
「その魔法なら私でも使えたりする?」
「ふむ……素質次第じゃの。知りたいか?」
「知りたい!」
:はーい!
:これで使えるようになったらニュースになるぞ。
:大丈夫。もうニュースになってる。
「うぇっ!? 瑠華ちゃんニュースに載ってるって!」
「…良い事なのか?」
「え? う、うーん…」
:良くは無いかも。
:内容は?
:使える魔法属性が増える固有スキルが発見? とか何とかって内容。
:それならまぁそこまでかな? 固有スキルって説明されてるなら聞き出しても無駄だと思うやつ多いだろうし。
:流石に【柊】まで押し寄せる事は無いと思いたいが…
「その点ならば心配要らんぞ」
「え?」
「この【柊】は妾が〖認識阻害〗しておるからの。妾が許可した者しか認識出来ん」
「えぇ……」
:認識阻害魔法なんてあるの!?
「魔法ではなく妾の固有スキルじゃよ」
:もうなんでもありじゃんwww
:でもそれってつまり外に出たら大変なんじゃ?
「【柊】の子らにはその為のストラップを渡しておる」
「ストラップ…あっ、これ?」
奏が取り出したのは、スマホに付いた木製の木札だ。
「それじゃ。簡易結界と認識阻害、位置情報といった機能を付けておる」
「まじか」
:まじか(真顔)www
:奏ちゃんも知らなかったのかwww
:オーバーテクノロジー…いや、オーバーファンタジー?
:確かにテクノロジーではないわなwww
:てか当然の様に物に魔法とスキル付与してる…
:瑠華ちゃんだからな。
:それで全部言い表せちゃうのが何とも…
:草。
「失くすでないぞ?」
「う、うん」
「まぁ落としても持ち主に戻るようにはしておるがの」
:至れり尽くせり。
:失せ物防止とか普通に欲しいんですけど。
:ていうか瑠華ちゃん、日常で魔法は極力使いたく無いんじゃなかったの?
「そうじゃの。しかしそれで防げる物も防げなければ本末転倒であろう?」
:それはそう。
:誘拐とか怖いもんね。
「兎に角これは有難く頂くとしよう。食べ物は食べてこそ意味があるでの」
:偉い。
:まぁこういうのってグッバイアートって言う、消える事も含めた一種の芸術だし。
:それでお味の方は?
「同じじゃの」
:草。
:そうだけど! そうなんだけどっ!
:これが瑠華ちゃんクオリティwww
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