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7話
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お互いの得物が定まったところで、遂に実技試験が始まる。
試験内容は至って単純で、グラウンドの中央に立つ試験官に対して思い思いの攻撃を仕掛けるのみだ。
「じゃあ私から!」
「いつでもどうぞ」
模擬戦なので扱う武器は全て刃が潰されている。しかしそれでも当たると痛いので、基本的に試験官からは攻撃を仕掛けないそうだ。
奏が腰に佩いた刀に手を掛けて、抜刀。その重さに若干重心を取られつつも正眼に構え、息を吐く。
「はぁ!」
切っ先を右下に下げた瞬間一気に試験官へと詰め寄ると、そのままの速さで刀を横薙ぎに振るう。
「威勢は良いですがまだ重さに慣れていませんね」
冷静に奏へと告げると、手にした両刃の剣で刀を受けて滑らせる。
「うわっ!?」
試験官の言葉通り刀の重さに慣れていなかった奏は、逸らされた刀に引っ張られるようにしてたたらを踏む。
「ふむ。転ぶと思いましたが持ち堪えましたか」
「体幹は良い方です!」
「成程。刀は少し扱いが特殊なので、不安であれば武器講習を後程受ける事をお勧めします」
ダンジョン適性が高い場合感覚だけでその武器を使い熟す者が多いが、当然それに該当しない人も居る。そんな人向けに存在しているのが、武器講習というダンジョン協会のサポートである。
「分かりました!」
素直で元気な奏は試験官からも好印象なのか、その後何度か打ち合ってから頭を下げて瑠華の元へと戻る奏に柔らかい笑みを浮かべていた。
「さて…じゃあ次ね」
「よろしくお願いする」
瑠華も奏に倣い試験官へと一礼して薙刀を構える。とはいえ一度も使った事が無い武器なので、何となくの構えだが。
(重さはそう無い。長さはあれど最適な持ち手は中腹。当てる必要が無いなら薙ぐのが最適解かの)
「っ!」
地面を蹴り上げ、跳ぶ様にして肉迫する。受け流される事は分かっている為に力は掛けず、薙刀の重心を使って横薙ぎに振るう。
「っ!?」
試験官が何やら驚愕した表情を浮かべながらも剣を刀身に当てて滑らせる。そこで瑠華は薙刀を引き戻し、手首のスナップを使い薙刀を半回転させて石突で剣を弾いた。
「なっ!?」
その回転を維持して再度刀身を構え、無防備になった試験官の首に切っ先を突き付ければ勝負ありだ。
「…ふむ。意外と動けるものじゃの」
「瑠華ちゃん凄…」
「……聞いてはいましたがここまでとは…薙刀を持ったのは初めてなのですよね?」
「そうじゃの。生まれてこの方包丁以外は持った事がないのう」
因みに【柊】の食事係で一番人気なのは瑠華である。……本当にこの子龍だったんだろうか。
「それで試験はこれで終了かえ?」
「…あっ、はい。これで終了ですので、武器を戻して控え室でお待ちください」
若干呆けてしまった試験官が瑠華の声で引き戻される。その様子に瑠華が思わず苦笑を浮かべるも、それ以上口を開く事は無く奏を連れ添い訓練場を後にした。
「やっぱり瑠華ちゃんって何でも出来るんだね…」
「買い被り過ぎじゃ。先程のはあくまで動きが分かっていたから。駆け引きも技も無いそれで、評価は出来ぬよ」
瑠華としては先程の模擬戦は満足など到底出来ないと思っていた。何せ身体能力だけのゴリ押しだったからだ。
「奏の方こそ、刀の使い心地はどうだったのかえ?」
「あー…使い勝手は悪そうだけど、私は結構好きかな。そして何よりカッコイイ!」
「…さよけ」
二人が控え室のソファーに座って数分後。アナウンスにて名前が呼ばれたので、受付をしたカウンターへと向かった。
「奏さんと瑠華さんですね。試験の結果合格基準に達していましたので、探索者として認定致します。こちらが探索者証明証になり、紛失された際は速やかにダンジョン協会へとお申し付け下さい」
そうして受付の職員から二人に渡されたのは、銀色に輝く二枚のプレート。大きさとしては一般的なカードとほぼ同じだ。
その表面にはそれぞれの氏名が彫られているが、それ以外の装飾は殆ど無いシンプルなもの。
「これが証明証…」
「ダンジョンに潜る際は、裏に記載されたシリアルナンバーを公式サイトに入力して予約を行ってください」
「そこは予約があるのか…」
これはダンジョンにおいて死亡したかどうかを確認する為に行っている事なので、例外は無い。
「あそうだ。探索者ってランクがありますよね? それってどうやったら上がるんですか?」
「基本的にはそのランクと同じダンジョン、そしてその上でランクが一つ上のダンジョンを踏破するとランクが上がります」
探索者とは当然の事ながら実力主義であり、その指標としてランク制度が設けられている。
ダンジョンにもそれぞれ脅威度に応じてランク付けがなされ、基本的に同じランクのダンジョンしか入る事を許されない。
「んー? …あっ、F?」
奏が名前の横に彫られた、Fという文字を見付けた。それが今のランクである。
「はい。最低ランクはFとなっていて、例外なく全員がそのランクから始まります」
「成程。ありがとうございます!」
「いえ。ほかに質問はございますか?」
「無いです!」
「特にはないのう」
「ではお気を付けて行ってらっしゃいませ」
受付の職員に見送られ、ダンジョン協会を後にする。
「どうするどうする? 早速行く?」
「これ。今日は妾達が食事担当であろう? 買い物に行かねば間に合わぬぞ?」
「あっ!? そうだった!」
……本当にこの子ry
試験内容は至って単純で、グラウンドの中央に立つ試験官に対して思い思いの攻撃を仕掛けるのみだ。
「じゃあ私から!」
「いつでもどうぞ」
模擬戦なので扱う武器は全て刃が潰されている。しかしそれでも当たると痛いので、基本的に試験官からは攻撃を仕掛けないそうだ。
奏が腰に佩いた刀に手を掛けて、抜刀。その重さに若干重心を取られつつも正眼に構え、息を吐く。
「はぁ!」
切っ先を右下に下げた瞬間一気に試験官へと詰め寄ると、そのままの速さで刀を横薙ぎに振るう。
「威勢は良いですがまだ重さに慣れていませんね」
冷静に奏へと告げると、手にした両刃の剣で刀を受けて滑らせる。
「うわっ!?」
試験官の言葉通り刀の重さに慣れていなかった奏は、逸らされた刀に引っ張られるようにしてたたらを踏む。
「ふむ。転ぶと思いましたが持ち堪えましたか」
「体幹は良い方です!」
「成程。刀は少し扱いが特殊なので、不安であれば武器講習を後程受ける事をお勧めします」
ダンジョン適性が高い場合感覚だけでその武器を使い熟す者が多いが、当然それに該当しない人も居る。そんな人向けに存在しているのが、武器講習というダンジョン協会のサポートである。
「分かりました!」
素直で元気な奏は試験官からも好印象なのか、その後何度か打ち合ってから頭を下げて瑠華の元へと戻る奏に柔らかい笑みを浮かべていた。
「さて…じゃあ次ね」
「よろしくお願いする」
瑠華も奏に倣い試験官へと一礼して薙刀を構える。とはいえ一度も使った事が無い武器なので、何となくの構えだが。
(重さはそう無い。長さはあれど最適な持ち手は中腹。当てる必要が無いなら薙ぐのが最適解かの)
「っ!」
地面を蹴り上げ、跳ぶ様にして肉迫する。受け流される事は分かっている為に力は掛けず、薙刀の重心を使って横薙ぎに振るう。
「っ!?」
試験官が何やら驚愕した表情を浮かべながらも剣を刀身に当てて滑らせる。そこで瑠華は薙刀を引き戻し、手首のスナップを使い薙刀を半回転させて石突で剣を弾いた。
「なっ!?」
その回転を維持して再度刀身を構え、無防備になった試験官の首に切っ先を突き付ければ勝負ありだ。
「…ふむ。意外と動けるものじゃの」
「瑠華ちゃん凄…」
「……聞いてはいましたがここまでとは…薙刀を持ったのは初めてなのですよね?」
「そうじゃの。生まれてこの方包丁以外は持った事がないのう」
因みに【柊】の食事係で一番人気なのは瑠華である。……本当にこの子龍だったんだろうか。
「それで試験はこれで終了かえ?」
「…あっ、はい。これで終了ですので、武器を戻して控え室でお待ちください」
若干呆けてしまった試験官が瑠華の声で引き戻される。その様子に瑠華が思わず苦笑を浮かべるも、それ以上口を開く事は無く奏を連れ添い訓練場を後にした。
「やっぱり瑠華ちゃんって何でも出来るんだね…」
「買い被り過ぎじゃ。先程のはあくまで動きが分かっていたから。駆け引きも技も無いそれで、評価は出来ぬよ」
瑠華としては先程の模擬戦は満足など到底出来ないと思っていた。何せ身体能力だけのゴリ押しだったからだ。
「奏の方こそ、刀の使い心地はどうだったのかえ?」
「あー…使い勝手は悪そうだけど、私は結構好きかな。そして何よりカッコイイ!」
「…さよけ」
二人が控え室のソファーに座って数分後。アナウンスにて名前が呼ばれたので、受付をしたカウンターへと向かった。
「奏さんと瑠華さんですね。試験の結果合格基準に達していましたので、探索者として認定致します。こちらが探索者証明証になり、紛失された際は速やかにダンジョン協会へとお申し付け下さい」
そうして受付の職員から二人に渡されたのは、銀色に輝く二枚のプレート。大きさとしては一般的なカードとほぼ同じだ。
その表面にはそれぞれの氏名が彫られているが、それ以外の装飾は殆ど無いシンプルなもの。
「これが証明証…」
「ダンジョンに潜る際は、裏に記載されたシリアルナンバーを公式サイトに入力して予約を行ってください」
「そこは予約があるのか…」
これはダンジョンにおいて死亡したかどうかを確認する為に行っている事なので、例外は無い。
「あそうだ。探索者ってランクがありますよね? それってどうやったら上がるんですか?」
「基本的にはそのランクと同じダンジョン、そしてその上でランクが一つ上のダンジョンを踏破するとランクが上がります」
探索者とは当然の事ながら実力主義であり、その指標としてランク制度が設けられている。
ダンジョンにもそれぞれ脅威度に応じてランク付けがなされ、基本的に同じランクのダンジョンしか入る事を許されない。
「んー? …あっ、F?」
奏が名前の横に彫られた、Fという文字を見付けた。それが今のランクである。
「はい。最低ランクはFとなっていて、例外なく全員がそのランクから始まります」
「成程。ありがとうございます!」
「いえ。ほかに質問はございますか?」
「無いです!」
「特にはないのう」
「ではお気を付けて行ってらっしゃいませ」
受付の職員に見送られ、ダンジョン協会を後にする。
「どうするどうする? 早速行く?」
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……本当にこの子ry
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