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最終章

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 薄暗い森に、閃光が走る。

「ちっ」
『ムダ』

 クーリアの魔導弾は蔦の壁に阻まれ、少女に届くことは無かった。

(離れてる蔦なら奪えるのに……!)

 行使者から離れれば離れるほど、力の制御は奪いやすい。逆に近ければ不可能に近い。

「サラさん、私たちで蔦の柵を!」
「分かった!」

 少女の気をクーリアが逸らしているうちに、サラ達が蔦の柵を壊しにかかる。

「「《ウィンドカッター》!」」

 2人の魔法が、蔦の柵に牙を剥く。

『っ! サセナい!』
「貴方の相手はわたし達よ!」

 サラ達の魔法を邪魔しようとした蔦をナターシャが切り捨てる。
 邪魔されなかったサラ達の魔法が蔦にくい込み、一部分が崩れ落ちた。だが、全てを壊すには時間がかかりそうだ。

『チッ…』
「……驚いたよ。まさか貴方がそんな慌てるなんて」
『……』
「そんなにクーちゃんを逃がしたくないの?」
『…ジャマ、されナイたメ。わたシの復讐・・ヲ』
「復讐……?」

 その言葉を聞き、クーリアの表情に影が差す。

「……きっかけは、かつて起きた魔の氾濫」

 クーリアが、静かに語り始める。その当時を、思い出す・・・・かのように

「今から137年前、起きた魔の氾濫の復讐」
「な、なんでクーがそれを…」

 その話はサラ達が先程ドリトールから聞いたばかりのものだ。そこに居なかったクーリアが知るはずも無い。

「……サラ達が聞いたのは多分、代償魔法で国を救ったってだけ・・話じゃない?」
「だけって…まさか、続きがあるの…?」

 クーリアが静かに頷く。

「その代償魔法、本当に望んだ・・・もの?」
「まさか…」
『……ソウ、あノは、やさシカッたかラ』
「じゃあ貴方は……」
「かつて代償魔法を使った精霊使いの、契約精霊だよ」

 サラ達が息を呑む。まさか、まだ生きていたとは思わなかったからだ。

「でも、それをなんでクーが…」
「……わたしは、あなた。あなたは、わたし。わたしにとって、貴方は命の……いや、命そのもの・・・・だから、かな」

 そう言って少女のことを見つめるクーリアの瞳は、悲しげに歪んでいた。

「クーの、命そのもの?」
『…クーリアをたすケタのハ、ただノ偶然』
「そんなことない!」

 クーリアが珍しく声を荒らげる。

「もし偶然なら、貴方は既にわたしを殺していたはず。貴方がわたしを生かす理由がないもの」
『たダ、りよウできルト思ったカラ。憎悪ヲあつメル為に』
「それなら、なんで木偶の坊を操作できるようにしたの」

 クーリアと繋がっていた木偶の坊は、クーリアが操作していなかった。それが途中でクーリアに操作が移っていたのだ。

(だから、わたしの魔導弾を防がなかった…)

 クーリアが操作していなかったのならば、あの時のサラの魔導弾を避けるなりして防いでいただろう。それをしなかったのは、クーリアが操作していたからに他ならなかった。

「貴方は、本当は」
『チガウッ! わたシは、ワタシは…!』

 突如蔦の柵が崩れ、全ての蔦がその鋭利な切っ先をもってクーリア達へと襲いかかった。

「《防御》!」

 クーリアが咄嗟に行使するが、数の暴力には叶わない。防御を突き破った蔦がクーリア達へと迫る。

(言う事、聞かない…!)

 近付いてきた蔦の制御を奪おうとするが、全く言う事を聞かない。
 あっという間にクーリアの眼前へと蔦が迫り……






























「ワンっ!」

 



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