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最終章
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もう1人のクーリアのような少女は、蔦の柵の外からサラ達をその紅い瞳で静かに見つめていた。
『ソれはわたシノ』
そう口にし腕を上げた瞬間、蔦がサラ達のほうへと襲いかかる。
「っ!《ファイヤーボール》!」
いきなりのことに動揺しつつも、襲いかかってきた蔦をサラが焼き尽くした。
そのまま柵の蔦も焼こうとしたが、新たに地面から現れた蔦がサラの魔法を薙ぎ払う。
『ムダ。にんゲンはヨワい』
「なら、貴方はどうなのよっ!」
魔法が効かないならと、サラが魔導銃の引き金を引く。しかし、それもまた蔦に叩き落とされた。目には到底見えない速度で飛ぶ魔導弾を、だ。
「なっ!?」
『…ソノ武器、キらイ。うばッタ、わたシの…だカラ、ケス。ぜんぶ。邪魔、サセナイ』
その言葉とともにサラ達の足元から蔦が突き出し、完全に身体を拘束する。
必死で藻掻くが、更にキツく拘束されていく。
さらに地面から現れた蔦は、ナターシャの腕の中で眠るクーリアへと伸び……
「《リジェクト》」
砕け散った。
『……ふぅン。まダ、生キてたンだ』
「勝手に殺さないでくれる?」
未だ身動きが取れないナターシャの腕から、クーリアがするりと抜け出す。
「クー…」
「大丈夫だよ、サラ」
クーリアが微笑み、サラ達に絡み付いた蔦に触れる。すると、蔦はまるでクーリアの意思に従うようにサラ達から離れ、地面へと消えていった。
「え……?」
「痛いところ、ない?」
「あ、うん…って、それわたしの台詞だから! クーは大丈夫なの!?」
鬼気迫る表情を浮かべ、クーリアに詰め寄る。
「平気だよ、心配掛けてごめんね」
「ホントにそうよ! 全く貴方は……」
クーリアの腕を掴みながら、サラが泣き崩れる。
『……ソレが、ソンなに大ジ?』
「当たり前でしょ! わたしの親友なんだから!」
少女の言葉に対して、サラが涙目になりながら怒りの声を上げる。
『……気ニいラナイ。破ヘンの癖に』
「破片……? どういうことなの?」
サラがクーリアへと目線を向ける。だが、クーリアは少女を見つめるだけで何も答えない。
『もうイイ。モう、いらないカラ』
その言葉と共に蔦がクーリア達へと襲いかかる。
……だが、
「戻って」
クーリアがそう呟くだけで、蔦が地面へと戻っていく。その様子を見て、今まで無表情だった少女の顔に僅かな驚愕が浮かんだ。
「驚いた? 破片如きに力を使われて」
『……ワタしをコロすつもリ?』
「さぁ? でも、貴方が止まらないのなら、わたしはそれをするかもね」
『止まルツモりなんテない』
クーリアの言葉に食い気味に答える。……まるで、それだけが生きる理由だとでも言うように。
「そう……なら、戦うしかないみたいね」
クーリアが、ホルスターから魔導銃を引き抜いた。
『ソれはわたシノ』
そう口にし腕を上げた瞬間、蔦がサラ達のほうへと襲いかかる。
「っ!《ファイヤーボール》!」
いきなりのことに動揺しつつも、襲いかかってきた蔦をサラが焼き尽くした。
そのまま柵の蔦も焼こうとしたが、新たに地面から現れた蔦がサラの魔法を薙ぎ払う。
『ムダ。にんゲンはヨワい』
「なら、貴方はどうなのよっ!」
魔法が効かないならと、サラが魔導銃の引き金を引く。しかし、それもまた蔦に叩き落とされた。目には到底見えない速度で飛ぶ魔導弾を、だ。
「なっ!?」
『…ソノ武器、キらイ。うばッタ、わたシの…だカラ、ケス。ぜんぶ。邪魔、サセナイ』
その言葉とともにサラ達の足元から蔦が突き出し、完全に身体を拘束する。
必死で藻掻くが、更にキツく拘束されていく。
さらに地面から現れた蔦は、ナターシャの腕の中で眠るクーリアへと伸び……
「《リジェクト》」
砕け散った。
『……ふぅン。まダ、生キてたンだ』
「勝手に殺さないでくれる?」
未だ身動きが取れないナターシャの腕から、クーリアがするりと抜け出す。
「クー…」
「大丈夫だよ、サラ」
クーリアが微笑み、サラ達に絡み付いた蔦に触れる。すると、蔦はまるでクーリアの意思に従うようにサラ達から離れ、地面へと消えていった。
「え……?」
「痛いところ、ない?」
「あ、うん…って、それわたしの台詞だから! クーは大丈夫なの!?」
鬼気迫る表情を浮かべ、クーリアに詰め寄る。
「平気だよ、心配掛けてごめんね」
「ホントにそうよ! 全く貴方は……」
クーリアの腕を掴みながら、サラが泣き崩れる。
『……ソレが、ソンなに大ジ?』
「当たり前でしょ! わたしの親友なんだから!」
少女の言葉に対して、サラが涙目になりながら怒りの声を上げる。
『……気ニいラナイ。破ヘンの癖に』
「破片……? どういうことなの?」
サラがクーリアへと目線を向ける。だが、クーリアは少女を見つめるだけで何も答えない。
『もうイイ。モう、いらないカラ』
その言葉と共に蔦がクーリア達へと襲いかかる。
……だが、
「戻って」
クーリアがそう呟くだけで、蔦が地面へと戻っていく。その様子を見て、今まで無表情だった少女の顔に僅かな驚愕が浮かんだ。
「驚いた? 破片如きに力を使われて」
『……ワタしをコロすつもリ?』
「さぁ? でも、貴方が止まらないのなら、わたしはそれをするかもね」
『止まルツモりなんテない』
クーリアの言葉に食い気味に答える。……まるで、それだけが生きる理由だとでも言うように。
「そう……なら、戦うしかないみたいね」
クーリアが、ホルスターから魔導銃を引き抜いた。
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