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最終章

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 結界が割れた瞬間、魔刃がサラ達へと迫る。

「っ!」

 見えない攻撃であったとしても、魔力の塊である以上、魔力感知で避けられる。しかし、その速さは尋常ではない。ギリギリで躱すのがやっとだ。

 魔刃を転がって躱し、サラがクーリアの足を狙って魔導銃の引き金を引く。青白い光を纏った雷撃弾が砲口から放たれた。

(せめて動きを止められれば……)

 足や腕はたとえ失ったとしても生やす・・・方法はある。それ故サラはクーリアの足を狙ったのだが……

「…《防御》」
「っ!?」

 明確にクーリアの口から紡がれた魔法は、サラの撃ち込んだ魔導弾を弾いた。

(…理性を失っているはずなのに、魔法を?)

 サラはその事が頭に引っかかった。魔法を使うためには少なからず集中が必要だ。理性を失っている状況下でそこまで1つの魔法に集中できるとは思えない。

(なにか……おかしい)

 そう悩む間にも、攻撃が止むことは無い。迫る魔刃を横に逸れて躱す。そしてサラがもう一度クーリアに目を向けると……そこに姿は無かった。

「え? ……っ!?」

 サラが足音の聞こえた方へ目を向けると……今まさにこちらへとナイフ片手に襲いかかろうとするクーリアの姿があった。
 咄嗟にサラが腰に付けた短剣を引き抜いた瞬間、キンッ! と刃物がぶつかる音が響く。

(重い…っ)

 受け止められはしたものの、クーリアのナイフはまるで岩のように重く、少しずつ押し負けていく。
 必死に抵抗しながら、サラは隙を見つけようとクーリアの顔を伺う。

(っ!?)

 その瞬間、サラは何かに気付いたかのように目を見開いた。

「サラちゃんっ!」

 ナターシャが二人の間に割り込み、サラからクーリアを引き離す。

「大丈夫?」
「は、はい…」

 クーリアから目を逸らさずナターシャがそう声をかける。サラが少しとまいどいながら言葉を返すが、その瞳はクーリアをずっと見つめていた。

(……そういうことね)

 サラがリボルバーの弾倉を回す。

「ナターシャさん、クーに近付く隙をください」
「……分かったわ」

 ナターシャはサラの言葉に驚き思わず振り向く。だが、その真剣な表情を見てそう言葉を返した。

「でも作るのは一瞬が限界よ」
「それで十分です」

 その言葉を聞き、ナターシャがクーリアへと駆け出す。するとクーリアは魔刃を作り出し、後ろへと下がりながら連続してナターシャへと放った。

「《ウィンドカッター》っ!」

 ナターシャへと迫る魔刃をリーフィアが次々に撃ち落としていく。だがリーフィアの額には疲労からか汗が浮かんでいた。もうこの手段はこれ以上取れないだろう。まさに、これがクーリアに近付く最後の機会だった。

「はぁぁ!!」

 とうとうナターシャがクーリアへと追いつきその剣を振るう。するとクーリアは足を止め、その剣を軽々とナイフで受け止めた。
 その直後。


 バンッ!

 銃声が、森に響いた。

 






 




 
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