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最終章
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しばらく進むと、開けた場所に出た。そしてクーリアの目に飛び込んできたのは、その中心に佇む、それ。
「ここ、は…」
突然目の前に現れたものを見て、クーリアが言葉を失う。それは、クーリアにとってとても見覚えのあるものだった。
銀色のフレームで形作られた、ガーデンハウス。あの女性がいた場所。
(なんで、ここに…)
ここは森の最深部。クーリアの記憶が正しければ、このガーデンハウスは比較的王都に近い場所にあったはずだ。
「……これ、放置されてる…?」
しばらく眺めて、その結論に至る。形は保っているものの、ところどころ部品が欠落し、蔦が絡んでいる。放置されたもので間違いないだろう。
「でも、なんで…」
何故、放置されたのか。要らなくなった、という可能性もあるが………
『…知リタい?』
「っ!?」
突如、声が響いた。それはあの時、クーリアが聞いた声で。
「ど、どこ!?」
クーリアの問いかけには答えず、代わりにガーデンハウスの奥の茂みが揺れる。咄嗟にクーリアが魔導銃を構えた。
『ココは礎』
そんな言葉を紡ぎながら、茂みからソレが姿を現す。その姿は、何処と無くクーリアに似た、白い、小さな少女だった。
「礎…?」
『ワタシの、ケド、モう必ヨウナイ』
静かに言葉が響く。
(わたしの、礎…? でも、必要ないって…)
「一体、何を言って…いえ、あなたは、誰?」
『……』
少女は答えない。だが、その白い、細い指が、クーリアを指す。
「わた、し…?」
『アナタはワタし、ワタシハ、アなタ』
答えになっていない。
『オワラセル。今度コソ』
「…それは、させないっ!」
クーリアが魔導銃の引き金を引く。けれど……
『ジャマ、するナ』
「きゃっ!?」
暴風が吹き荒れ、弾丸すらも弾き飛ばしてしまった。
『何故ダ? オ前も、モウ分カってイルはずダ』
「……ええ、そうね」
終わらせる。その意味を。理由を。知っているから。いや、思い出したから。
「でも」
クーリアが魔導銃をもう一度構える。
「わたしには、護るべきものがある。例え、わたしと戦うことになろうとも」
『……愚カな。勝テナイと分かっテイテモ、か?』
(そう。確かにわたしは勝てない。本体に、勝てる訳が無い)
「愚かでもいい。でもわたしは……わたしは、もう、誰も失いたくない」
『………ダマレ』
「あなたも、そうでしょう? もう、こんなことに意味なんて」
『ダマレッ!!』
強力な、怒気が含まれた威圧。クーリアが思わず息を飲む。
『人ゲンナド、同じダ。変ワリなドシナイ』
「違う。人は変わる」
『……ナラバ、そノ身で知レ』
「え……」
その瞬間、クーリアの意識が暗転した。
「ここ、は…」
突然目の前に現れたものを見て、クーリアが言葉を失う。それは、クーリアにとってとても見覚えのあるものだった。
銀色のフレームで形作られた、ガーデンハウス。あの女性がいた場所。
(なんで、ここに…)
ここは森の最深部。クーリアの記憶が正しければ、このガーデンハウスは比較的王都に近い場所にあったはずだ。
「……これ、放置されてる…?」
しばらく眺めて、その結論に至る。形は保っているものの、ところどころ部品が欠落し、蔦が絡んでいる。放置されたもので間違いないだろう。
「でも、なんで…」
何故、放置されたのか。要らなくなった、という可能性もあるが………
『…知リタい?』
「っ!?」
突如、声が響いた。それはあの時、クーリアが聞いた声で。
「ど、どこ!?」
クーリアの問いかけには答えず、代わりにガーデンハウスの奥の茂みが揺れる。咄嗟にクーリアが魔導銃を構えた。
『ココは礎』
そんな言葉を紡ぎながら、茂みからソレが姿を現す。その姿は、何処と無くクーリアに似た、白い、小さな少女だった。
「礎…?」
『ワタシの、ケド、モう必ヨウナイ』
静かに言葉が響く。
(わたしの、礎…? でも、必要ないって…)
「一体、何を言って…いえ、あなたは、誰?」
『……』
少女は答えない。だが、その白い、細い指が、クーリアを指す。
「わた、し…?」
『アナタはワタし、ワタシハ、アなタ』
答えになっていない。
『オワラセル。今度コソ』
「…それは、させないっ!」
クーリアが魔導銃の引き金を引く。けれど……
『ジャマ、するナ』
「きゃっ!?」
暴風が吹き荒れ、弾丸すらも弾き飛ばしてしまった。
『何故ダ? オ前も、モウ分カってイルはずダ』
「……ええ、そうね」
終わらせる。その意味を。理由を。知っているから。いや、思い出したから。
「でも」
クーリアが魔導銃をもう一度構える。
「わたしには、護るべきものがある。例え、わたしと戦うことになろうとも」
『……愚カな。勝テナイと分かっテイテモ、か?』
(そう。確かにわたしは勝てない。本体に、勝てる訳が無い)
「愚かでもいい。でもわたしは……わたしは、もう、誰も失いたくない」
『………ダマレ』
「あなたも、そうでしょう? もう、こんなことに意味なんて」
『ダマレッ!!』
強力な、怒気が含まれた威圧。クーリアが思わず息を飲む。
『人ゲンナド、同じダ。変ワリなドシナイ』
「違う。人は変わる」
『……ナラバ、そノ身で知レ』
「え……」
その瞬間、クーリアの意識が暗転した。
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