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学園 高等部2年 校外実習編

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「もし話したら、死ぬだけなので」

 ……馬車の外から聞こえたクーの言葉が、わたしの頭の中で反芻する。


 馬車に入る時の「安心して寝てていいよ」というクーの言葉が引っかかり、わたしとリーフィアは寝たフリをしていた。のだけれど……

「…お姉ちゃんは、本気でしょうね」

 隣で寝るリーフィアがそう口にする。

「…本当に?」
「…他の人に危険が及ぶと判断すれば、間違いなく」
「……そう、ね」

 クーは、そういう子だ。誰かを救う為ならば、自分自身の命を手にかけることも厭わないだろう。

「…お姉ちゃんは、わたしにノートを見せてくれませんでした」
「………」

 クーが作った魔法を書き記しているノート。それを見せないのは、リーフィアを危険にさらさないようにする為なのだろう。

「……その認識でいいよ」
「「っ!?」」

 声が聞こえた方を見る。すると、幌の窓から顔を覗かせるクーと目が合った。

「…気付いてたのね」
「そっちこそね」

 クスッとクーが笑う。
 …どうして、笑えるの…?

「…本気、なの?」
「ん?……あぁ、うん。本気だよ」

 何も気にしていないような表情でクーがそう言う。

「死ぬってことなのよ…?」
「うん。そうだね」
「…どうして、」

 どうして、そんな簡単に言えるの…?

「だって、わたしが死ぬだけで、それは全て闇に消える。わたしの死ぬ人が居なくなる。なら、わたしは迷いなく死を選ぶよ。これは変わらないから。誰が何と言おうと」

 ……目を見ればわかる。意志を曲げるつもりは無いということが。

「………」
「そんな顔しないでよ。学園を卒業するまでは一緒にいるから」
「少なくとも…?」
「あっ…」

 クーが口を手で覆う。どうやら失言だったようだ。
 少なくとも…それはつまり、学園を卒業した後にそうなる可能性があるということ…?

「……まぁ、否定はしないよ」
「………」
「あともうちょっとで交代だから、少しでも寝ておいた方がいいよ」
「……分かった」
「ん、おやすみ」
「…おやすみ」

 最後にクーが笑顔をうかべ、窓の幌を下ろした。
 ………絶対に、死なせるもんですか。
 




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