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学園 高等部2年 始
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しおりを挟む時は流れ、クーリアは高等部2年となっていた。今日はそのクラス分けが発表される日だ。
「…よし」
新しくサラから貰ったイヤリング型の通信具を身につけ、鏡の前で確認する。もう随分と手馴れたものだ。
「クー!ご飯よー!」
「はーい!」
クーリアは大急ぎで下へと降り、母親であるフィーリアと朝の挨拶を交わす。
「おはよう、クー」
「おはよう」
挨拶もそこそこに、クーリアは朝食に手を付ける。
「クー!来たわよー!」
朝食を食べ終わり少しのんびりとしていると、扉の向こうから元気そうな声が聞こえた。
クーリアは鞄を持ち、家でもあるパン屋の扉を開いた。
「おはよ、クー」
「おはよう、サラ」
扉の向こうには、燃えるような赤い髪を靡かせたサラが立っていた。あの事件の後から今に至るまで、ずっとクーリアを迎えに来ているのだ。
「じゃあいこっか」
「うん」
サラと共にクーリアは学園へと向かった。
クーリア達が学園へとたどり着いた時、もう既に多くの人でごった返していた。
「あちゃー…少し遅かったかな」
集まった人達は皆、大きなボードの前に群がっている。クラス分けが張り出されているのだ。
サラが言うように、もう少し早く来ていれば、この混雑に巻き込まれることなくクラス分けを確認出来ていただろう。だが過ぎた時間は戻りはしない。仕方なく2人ははぐれないよう手を繋ぎ、人混みを掻き分けてボードの前へと向かうことにした。
「はぁ…ついた」
サラが一息つく。人混みをかき分けるという行為は、存外体力を消耗するものなのである。
「えぇっと……」
「どこだろうね……」
ボードの前に来たはいいが、膨大な人の名前から探すことも一苦労なのだ。
2人は手分けして名前を探し………やっとの思いで見つけることが出来た。
「やっぱりGだね」
最底辺のクラスに分けられたと言うのに、クーリアの声色はどことなく嬉しそうであった。
「Gに振り分けられて喜ぶのなんて、クーくらいじゃない?」
「そう言うサラもGでほっとしてたじゃない」
クーリアは案外人のことを見ているのである。サラもGクラスにある自分の名前を見つけた時、ほっと胸をなでおろしていたのを、クーリアは見逃さなかった。
「……ほら!いくわよ!」
「あっ」
まるで見られていた恥ずかしさを誤魔化すかのように、サラはクーリアの手を強引に引いて教室へと向かうのだった……。
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