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学園 高等部1年 対抗戦編

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 しばらくリーフィアがリーヴォを撫でていると、クーリアが口を開いた。

「で、用件は?」
「………会いたかったから?」
「疑問になってる時点で違うでしょうが……勉強?」
「…うん。悪いんだけど、また教えて貰ってもいい?」

 実は、クーリアはたまにリーフィアの勉強を手伝っていた。身近な人として兄2人がいるのだからそちらに聞けばいいものだが、ある理由から、リーフィアはクーリアに教えて貰っているのだ。

「それくらい何回でも大丈夫だよ。じゃあわたしの部屋に行こっか」

 クーリアとリーフィアは、ともに2階のクーリアの部屋へと入っていった。

 そして狭い部屋に2人隣同士で座り、狭いテーブルの上に教科書とノートを広げる。

「ここなんだけど……」
「んー?あぁ、これはね……」

 勉強の方法としては、リーフィアが分からないところを尋ねて、それをクーリアが教えるといういたって単純なもの。だが、リーフィアはそれだけで十分だった。クーリアの教え方が上手いというのもあるが、リーフィアの頭の回転が速いためだ。そのためすぐに理解する。

「ふぅ…なるほど。ありがとう。お姉ちゃん」
「いいよこれくらい。でも、毎回お兄ちゃんに聞いた方が早くない?」
「そうだけど……わたしがやってるの、これだし」

 リーフィアがテーブルの上に広がっていた教科書を持ち上げ、その表紙をクーリアへと向ける。そこには、確かに2と書いてあった。
 今リーフィアが通っているのは、3。つまり、かなり先の内容なのだ。

「それくらい気にしないと思うけどねぇ」
「だって…お姉ちゃんだって隠してるじゃない」

 それを言われると、クーリアは反論出来なかった。もう既に全ての学習を、独学で理解していることを隠しているからだ。

「まぁ、リーフがいいなら、いいけど」
「やった!」

 実の所、リーフィアはクーリアに会う口実を作るために隠していたりするのだが……それをクーリアが知ることは無かった。

「ゴホッゴホッ!」
「お、お姉ちゃん、大丈夫?」

 突然ハンカチを口に当ててクーリアが咳き込む。それをリーフィアが心配そうに見つめた。

「……うん、大丈夫」

 クーリアはそう言い、ポケットへとしまった。

「なら、いいけど……あ、そうだ」

 ゴソゴソとリーフィアが持ってきていた鞄をあさる。

「あ、あった。これ、使って?」

 リーフィアが手渡してきたのは、1本の茶色い小瓶だった。中には何かしらの液体らしきものが入っている。

「これは?」
「咳止め。前来た時も咳き込んでたでしょ?だから持ってきたの」
「……ありがとう。大事に使うね」

 クーリアは小瓶を受け取り、部屋のタンスへとしまった。

「寝る前にスプーン1杯分を目安に飲んでね」
「うん。ありがとう」
「いいよ、これくらい。あ、じゃあもう行くね」

 時計をみて、リーフィアが帰る支度を始める。

「またね」
「うん……といっても、またすぐ会えそうだけど」
「うん?」
「なんでもないよ。じゃあね!」

 そう言って、リーフィアは帰って行った。
 リーフィアのことを外まで見送ったクーリアは、その後ろ姿が見えなくなるまで眺めた後、自身の部屋へと戻り、タンスから、リーフィアから貰った小瓶を取り出した。

「咳止め、ねぇ…」

 クーリアはその小瓶をしばらく眺めたのち……その中身を捨てた。

「これは受け取れないや……ごめんね」

 まるで思わずといった様子で口から出た小さな謝罪は、静かな部屋に消え去っていった……







 
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