43 / 138
学園 高等部1年 対抗戦編
37
しおりを挟む
教室でのいざこざがありながらも、クーリア達は対抗戦の会場へと到着した。ちなみに今日は準決勝である。
「あぁもう!今すぐにでもあの教師の顔面を…」
未だにグチグチとサラが先程のことを口にする。
しかし、もしそんなことをすれば大騒ぎである。最悪退学処分されても文句は言えないほどの。
「サラ」
「なに…ひっ!?」
サラがイラつきながらも呼ばれて振り向けば、表情が抜け落ちたクーリアが見つめていた。
その姿を見て、サラが短く悲鳴を上げる。
「ちょっとは冷静になって」
微力の魔力をサラにだけピンポイントに当てる。それだけで、サラはクーリアが密かに怒っていることに気づいた。
いつものサラなら、クーリアがそんなことをせずとも、密かに怒っていることに気づけたはずだ。だが、頭に血が上っていたサラはそのことに気づけなかった。
「ご、ごめん…」
「わたしは別にあんなことを言われても気にしない。でも、それに怒ってサラが問題を起こすことは望まない」
クーリアは別にナイジェルの言葉に怒っているのではない。頭に血が上って、サラが問題を起そうとしたことに怒りを覚えたのだ。
というのも、クーリアは、自分のせいで知り合いが問題を起こすことを嫌う。なぜなら、それにより後で罪悪感に苛まれるのは、クーリア自身だからである。
それをサラが知らないはずはない。それ故にクーリアは怒っていたのだ。
「ごめん……」
「頭冷えた?」
「…うん」
「なら、よろしい」
クーリアはサラの言葉を聞き、サラだけに当てていた魔力を霧散させた。
「ふぅ…」
思わずサラが息を吐く。それだけクーリアの魔力による威圧はキツいものであった。
「喧嘩は終わったか?」
ヴィクターが軽く尋ねてくる。クーリアの威圧はサラに対してしか行われていなかったので、ヴィクターとイルミーナはただの喧嘩としか認識していなかった。
……無論クーリアはそれを狙ってやっていたのだが。
「おわったよ」
表情が戻ったクーリアが答えた。
「そうか。もうそろそろ時間だから、転移の魔法陣に向かうぞ」
「「「はーい」」」
対抗戦でのリーダーはサラであるが、こう言った日常では、ヴィクターが指揮を執ることが多い。
まぁヴィクター以外適任がいないだけではあるのだが……
「さてと。頑張りましょう!」
「「おー!」」
「おー……」
クーリアだけが乗り気でない。元々負けるつもりだったのだから、無理もないが。
(でもサラから言われちゃったしなぁ…まぁ、ぼちぼちやりますか)
そんな気持ちで、クーリアは皆が待つ魔法陣の上へと立った。
その瞬間、魔法陣が起動し、クーリア達は対抗戦の準決勝の舞台へと転移されたのだった。
「あぁもう!今すぐにでもあの教師の顔面を…」
未だにグチグチとサラが先程のことを口にする。
しかし、もしそんなことをすれば大騒ぎである。最悪退学処分されても文句は言えないほどの。
「サラ」
「なに…ひっ!?」
サラがイラつきながらも呼ばれて振り向けば、表情が抜け落ちたクーリアが見つめていた。
その姿を見て、サラが短く悲鳴を上げる。
「ちょっとは冷静になって」
微力の魔力をサラにだけピンポイントに当てる。それだけで、サラはクーリアが密かに怒っていることに気づいた。
いつものサラなら、クーリアがそんなことをせずとも、密かに怒っていることに気づけたはずだ。だが、頭に血が上っていたサラはそのことに気づけなかった。
「ご、ごめん…」
「わたしは別にあんなことを言われても気にしない。でも、それに怒ってサラが問題を起こすことは望まない」
クーリアは別にナイジェルの言葉に怒っているのではない。頭に血が上って、サラが問題を起そうとしたことに怒りを覚えたのだ。
というのも、クーリアは、自分のせいで知り合いが問題を起こすことを嫌う。なぜなら、それにより後で罪悪感に苛まれるのは、クーリア自身だからである。
それをサラが知らないはずはない。それ故にクーリアは怒っていたのだ。
「ごめん……」
「頭冷えた?」
「…うん」
「なら、よろしい」
クーリアはサラの言葉を聞き、サラだけに当てていた魔力を霧散させた。
「ふぅ…」
思わずサラが息を吐く。それだけクーリアの魔力による威圧はキツいものであった。
「喧嘩は終わったか?」
ヴィクターが軽く尋ねてくる。クーリアの威圧はサラに対してしか行われていなかったので、ヴィクターとイルミーナはただの喧嘩としか認識していなかった。
……無論クーリアはそれを狙ってやっていたのだが。
「おわったよ」
表情が戻ったクーリアが答えた。
「そうか。もうそろそろ時間だから、転移の魔法陣に向かうぞ」
「「「はーい」」」
対抗戦でのリーダーはサラであるが、こう言った日常では、ヴィクターが指揮を執ることが多い。
まぁヴィクター以外適任がいないだけではあるのだが……
「さてと。頑張りましょう!」
「「おー!」」
「おー……」
クーリアだけが乗り気でない。元々負けるつもりだったのだから、無理もないが。
(でもサラから言われちゃったしなぁ…まぁ、ぼちぼちやりますか)
そんな気持ちで、クーリアは皆が待つ魔法陣の上へと立った。
その瞬間、魔法陣が起動し、クーリア達は対抗戦の準決勝の舞台へと転移されたのだった。
0
お気に入りに追加
213
あなたにおすすめの小説
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
公爵家の半端者~悪役令嬢なんてやるよりも、隣国で冒険する方がいい~
石動なつめ
ファンタジー
半端者の公爵令嬢ベリル・ミスリルハンドは、王立学院の休日を利用して隣国のダンジョンに潜ったりと冒険者生活を満喫していた。
しかしある日、王様から『悪役令嬢役』を押し付けられる。何でも王妃様が最近悪役令嬢を主人公とした小説にはまっているのだとか。
冗談ではないと断りたいが権力には逆らえず、残念な演技力と棒読みで悪役令嬢役をこなしていく。
自分からは率先して何もする気はないベリルだったが、その『役』のせいでだんだんとおかしな状況になっていき……。
※小説家になろうにも掲載しています。
この幸せがあなたに届きますように 〜『空の子』様は年齢不詳〜
ちくわぶ(まるどらむぎ)
ファンタジー
天寿を全うしたチヒロが生まれ変わった先は、なんと異世界だった。
目が覚めたら知らない世界で、少女になっていたチヒロ。
前世の記憶はある。でも今世の記憶は全くない。
そんなチヒロは人々から『空の子』様と呼ばれる存在になっていた!
だけど『空の子』様とは《高い知識を持って空からやってくる男の子》のことらしい。
高い知識なんてない。男の子でもない。私はどうしたら?
何が何だかわからないまま、それでも今を受け入れ生きていこうとするチヒロ。
チヒロが現れたことで変わっていく王子レオン、近衛騎士のエリサ。そしてシンを
始めとするまわりの人々。そのうち彼女の秘密も明らかになって?
※年ごとに章の完結。
※ 多視点で話が進みます。設定はかなり緩め。話はゆっくり。恋愛成分はかなり薄いです。
3/1 あまりに恋愛要素が薄いためカテゴリーを変更させていただきました。
ただ最終的には恋愛話のつもり……です。優柔不断で申し訳ありません。
※ 2/28 R15指定を外しました。
※ この小説は小説家になろうさんでも公開しています。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
【番外編】貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
譚音アルン
ファンタジー
『貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。』の番外編です。
本編にくっつけるとスクロールが大変そうなので別にしました。
出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-
はまち
恋愛
出勤したら代替わりをした親方に解雇と言われた宝石加工職人のミカエラは独り立ちを選んだ。
次こそ自分のペースで好きなことをしてお金を稼ぐ。
労働には正当な報酬を休暇を!!!低賃金では二度と働かない!!!
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる