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学園 高等部1年 対抗戦編

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 教室でのいざこざがありながらも、クーリア達は対抗戦の会場へと到着した。ちなみに今日は準決勝である。

「あぁもう!今すぐにでもあの教師の顔面を…」

 未だにグチグチとサラが先程のことを口にする。
 しかし、もしそんなことをすれば大騒ぎである。最悪退学処分されても文句は言えないほどの。

「サラ」
「なに…ひっ!?」

 サラがイラつきながらも呼ばれて振り向けば、表情が抜け落ちたクーリアが見つめていた。
 その姿を見て、サラが短く悲鳴を上げる。

「ちょっとは冷静になって」

 微力の魔力をサラにだけピンポイントに当てる。それだけで、サラはクーリアが密かに怒っていることに気づいた。
 いつものサラなら、クーリアがそんなことをせずとも、密かに怒っていることに気づけたはずだ。だが、頭に血が上っていたサラはそのことに気づけなかった。

「ご、ごめん…」
「わたしは別にあんなことを言われても気にしない。でも、それに怒ってサラが問題を起こすことは望まない」

 クーリアは別にナイジェルの言葉に怒っているのではない。頭に血が上って、サラが問題を起そうとしたことに怒りを覚えたのだ。
 というのも、クーリアは、自分のせいで知り合いが問題を起こすことを嫌う。なぜなら、それにより後で罪悪感に苛まれるのは、クーリア自身だからである。
 それをサラが知らないはずはない。それ故にクーリアは怒っていたのだ。

「ごめん……」
「頭冷えた?」
「…うん」
「なら、よろしい」

 クーリアはサラの言葉を聞き、サラだけに当てていた魔力を霧散させた。

「ふぅ…」

 思わずサラが息を吐く。それだけクーリアの魔力による威圧はキツいものであった。

「喧嘩は終わったか?」

 ヴィクターが軽く尋ねてくる。クーリアの威圧はサラに対してしか行われていなかったので、ヴィクターとイルミーナはただの喧嘩としか認識していなかった。
 ……無論クーリアはそれを狙ってやっていたのだが。

「おわったよ」

 表情が戻ったクーリアが答えた。

「そうか。もうそろそろ時間だから、転移の魔法陣に向かうぞ」
「「「はーい」」」

 対抗戦でのリーダーはサラであるが、こう言った日常では、ヴィクターが指揮を執ることが多い。
 まぁヴィクター以外適任がいないだけではあるのだが……

「さてと。頑張りましょう!」
「「おー!」」
「おー……」

 クーリアだけが乗り気でない。元々負けるつもりだったのだから、無理もないが。

(でもサラから言われちゃったしなぁ…まぁ、ぼちぼちやりますか)

 そんな気持ちで、クーリアは皆が待つ魔法陣の上へと立った。
 その瞬間、魔法陣が起動し、クーリア達は対抗戦の準決勝の舞台へと転移されたのだった。






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