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学園 高等部1年 対抗戦編

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 それからクーリアは、サラの父親と昼食を共にした。

「そういえば、お母様は?」
「まだ仕事がある。だが、夜には帰れるそうだ」

 その返答を聞いて、サラが嬉しそうにする。
 なぜなら、両親がそろうことなど最近ほとんどなかったからである。

「じゃあわたしはこの辺で…」

 親子水入らずの時には邪魔であろうと判断し、クーリアは帰ることを告げた。

「あぁ。すまんな。もっとゆっくりしていってもらいたかったが…」
「残念だけど……じゃあ玄関まで送るね」

 そしてサラの父親に別れの挨拶をし、サラと共に屋敷の玄関へと向かった。

「あ、そうだ。クー、これあげる」

 そう言ってサラがクーリアに渡したのは……片耳分のイヤリングだった。装飾などはなく、透明な小さい石が付いているだけのシンプルなもの。

「なにこれ?」

 どこからどうみてもイヤリングではあるが、サラが普通のイヤリングを渡すなど考えられない。
 ……まぁ普通のイヤリングをサラが渡すとしたら、装飾が綺麗などう見ても高価なものになるだろう。

「これは通信具よ」
「通信具?」
「そう。わたしのものと一対になっていて、魔力を流せばいつでも、どこでも会話できるの」

 通信具はかなり広まっている道具ではある。現にクーリアも母親…フィーリヤと通信できる通信具を持っている。
 だがそのことから分かるように、難点は決まったペア同士でしか通信できないということだった。
 なのでサラは、クーリアに新しい通信具を渡したのだ。
 ……だが、疑問点はそこではない。

「なんで今これを?」

 そう。何故渡したのかということが疑問なのだ。

「……明日、もしかしたらかもしれないの」

 その言葉だけでクーリアはすべてを理解した。

「分かった…じゃあ明日は付けとくね」
「その…できるならいつもつけて欲しいなぁ、なんて…」

 そもそもいつも身につけなければ、通信具を持っている意味がないのだが。

「…分かった。じゃあ付けて?」
「分かった!」

 サラが妙に嬉しそうにする。なぜならクーリアは、基本そういった装飾品を身につけないからである。

(絶対付けたほうが可愛いのに!)

 サラはクーリアを可愛くしたいらしい……。

(はた迷惑な……でも、まぁ…サラからならいっか)

 なんだかんだ言って、クーリアも満更ではないようであった……。

「うん。似合うよ。お揃いだね」

 サラが耳にかかった髪をあげ、右耳についたイヤリングをクーリアに見せた。ペアなのだから、お揃いなのは当然なのだが。

「そうだね。ありがとう」
「どういたしまして」
「じゃあバイバイ」
「うん。バイバ──ちょっと待ちなさい」

 帰ろうとしたクーリアの首根っこをサラが掴む。

「な、なに?」
「これ、忘れてないよね?」

 サラが紙袋を差し出す。その中身は…昨日クーリアが寝る時に着せられた服であった。

「うっ!」
「やっぱり分かってて帰ろうとしたのね!?」

 当然である。

「はい、ちゃんと持ちなさい」
「……分かったよ」

 渋々クーリアはサラから紙袋を受け取った。

「じゃあまた明日」
「……うん。バイバイ」
「バイバイ」

 そう言って今度こそ、クーリアはサラの屋敷を後にした。


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