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学園 高等部1年 対抗戦編

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 次の日、クーリアはサラよりも早く目が覚めた。
 クーリアはパン屋を手伝っているため、比較的早起きなのだ。

「まだ寝てる…」

 サラは隣で爆睡中だ。クーリアはそのほっぺをつついてみた。

「んふぅ…」
「ふふっ」

 サラが吐息のような声を出し、クーリアは思わず笑ってしまった。
 それでも一向に起きる気配がしないので、クーリアは起こさないよう1人でベットから抜け出した。

「んんー…」

 大きく上に伸びをする。

(いい天気だなぁ…)

 窓から見えるのは真っ青な空。曇りない、いい天気だ。
 窓から身を乗り出し、深呼吸をしてから、クーリアは昨日着ていた自分の服に着替えた。といっても、学園の制服なのだが。

「ふわぁ……あれ、おはよう」
「おはよう、サラ」

 サラが眠そうな目を擦り、ベットから起き上がった。

「早いのね…」
「そうでもないよ」

 今日はパン屋を手伝う必要がないので、ちょっとだけ長く寝ていたのだ。

「あれ、クー、制服なの?」
「それ以外ないじゃない」
「それならあげるのに…」
「ケッコウデス」

 ただでさえ高い寝間着を貰うことになっているのだ。それ以上貰うつもりはない。

「遠慮しなくても……」
「いいの。それより、早く着替えないの?」
「あ、ごめん」

 サラが着替え始める。サラは貴族ではあるが、別にドレスを着る訳でもないので、自分だけで着替えを終えた。クーリアと同じ制服だ。

「これならクーと一緒ね」

 サラはクーリアが居心地悪い思いをしないために、制服を着たのだった。

「サラ…」
「ほら、いくよ」

 サラは照れ隠しのようにクーリアの手を引き、寝室を後にした。






「美味しい?」
「うん、とっても」

 朝食も夕食と同じく、クーリアが普段食べるものより豪華であった。しかし、そこまで高価な食材は使っていない。だが、栄養バランスまでよく考えられていた。ひとえに料理人の腕のお陰であろう。

「クー、昨日の約束覚えてるよね?」
「あぁ…覚えてるけど、その前に読んでいい?」

 あれ、とは無属性の魔法書である。
 昨日の約束。模擬戦をするにしても、どうせなら魔法書から得たことを使ってみたかったのだ。

「うーん……まぁ、そっちのほうが後で手応えありそうだし、いいよ」
「やった!」

 ある程度は理解できていたが、それでも完璧ではない。理解が完璧でなければ、何が起こるかわかったものでは無い。なのでクーリアは、しっかりと理解しておきたかったのだ。

 クーリアとサラは急いで朝食を食べ終わると、書庫へと向かうのだった。






 
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