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学園 高等部1年 対抗戦編

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 予想通りというべきか。クーリアの祖父母はサラの家にいくことを許可した。
 というかものすごく喜んでいた。 
 その様子を見て、クーリア、そしてサラでさえ引いていた。

「クーのおじいさん達、喜んでたね…」
「うん……わたし、そこまで心配させてたのかな?」
「……クーって今まで誰かと遊んだことある?」
「ない」

 クーリアが即答した。

(それならあの喜びようも納得だわ…)

 サラはすこしクーリアの祖父母に同情した。

「ところで…」
「なぁに?」
「……この時間からサラの家に行くってことは…泊まり、なの?」
「もちろん」

 クーリアの祖父母はそれも分かっていて、許可したのだ。もちろんクーリアも分かってはいたのだが、どうしても聞かずにはいられなかった。
 ……もしかしたら違うかもという期待を込めて。
 それは見事に玉砕した。



 クーリアの住む家から歩き始めてしばらく。もう既に日は落ち、辺りは暗くなり始めていた。
 そんな時、クーリアが唐突に口を開いた。

「サラの家って…?」

 その言葉の意味を理解できる人は、おそらくサラしかいないだろう。

「……知ってたの?」
「まぁ多少は?」

 あっけらかんとそう答えるクーリアだが、サラは内心とても驚いていた。
 なぜなら、話したことなど1度もないからだ。


「そう……行くのは本邸よ」
「帰っていい?いいよね」
「ダメに決まってるでしょ。こら!言ってるそばから逃げようとしない!」

 本邸と言う言葉を聞いた途端、クーリアは逃げ出した。
 だが、体格で優るサラに簡単に捕獲された。

「やだ!帰る!」
「大丈夫だって!」

 一体なにが大丈夫なのか…。
 まだ逃げようとするクーリアを、サラは引きずりながら家へと向かった。

「うぅ…」
「本、読みたいでしょ?」
「そうだけどぉー……」

 クーリアが嫌がったのにはある理由があった。
 無論その理由はサラも知っていた。だからこそ、大丈夫だと言ったのだ。
 その理由というのが……

「サラのお父さん、いない?」

 そう、サラの父親だ。
 決して暴力をふるってくるだとか、下に見てくるだとか、そういう理由ではない。
 ただ、その……クーリアは怒っているのだ。
 クーリアはサラの父親と会ったことがある。その時のある発言で……ちょっとクーリアが傷付いたのだ。
 体ではない。心が、だ。

「いないよ。でも、そろそろクーも許してあげたら?」

 もちろん謝ってはくれたのだが、その傷は相当深かったらしく、未だクーリアはサラの父親を許していない。というより、会うのを避けているので、そもそも許す機会がないのだ。

「……考えとく」

 短くそう言い、クーリアはそのままサラによって引きずられていった…。
 


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