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学園 高等部1年 対抗戦編

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  私はクーが負けるつもりでいることを、すこし間があった返事で察知した。
  クーは目立ちたがり屋ではない。それは分かっていたこと。だけど、だからってわざと負けようとするのは許さない。

「クーの防御は心配しなくていい。私は私のことをするだけ」

  それにしてもクッキーを買っておいて正解だったわね。とはいえ、1個しか用意していない。どうしようかな…

「っ!」

  魔力の塊が飛んできたので、それをかわす。
  そしてすぐに飛んできた場所を把握する。どうやら上かららしい。厄介ね…

「あれをかわすかよ…」
「残念だったわね」

  正直なところ、かなり危なかった。私がかわせたのには理由がある。
  魔力を塊をぶつける方法。それは、クーがよく使う攻撃手段。だからこそ分かった。
  ……まぁあの子はそれ以外にも色々出来ちゃうんだけど。

  『白』は攻撃手段をほとんど持たない。だから魔力の塊を飛ばすことが多い。
  それをねじ曲げてしまったのが彼女だけど。それが嬉しくもあり、危惧している。
  クーの力は強力。だからあまり人に知られる訳にはいかない。それはクーも理解している。だから目立たないよう負けようとしたんだろうけど…私が負けたくないのよね。

「まぁ、クーならバレないよう上手くやるでしょう」
「さっきから何言ってんだよっ!」

  今度は水の塊が飛んできた。それを同じ水の塊で相殺する。へぇ。なかなか。

「じゃあこっちから《エアバレット》」
「《エアバレットっ!》」

  またしても相殺。これじゃあ埒が明かない。

「並列。《ファイアボール》《ファイアバレット》」

  相手と同じ高さへと移動し、ふたつの魔法を同時に行使する。同じ属性で並列するのはそこまで難しいことでは無いけれど、高等部1年生でできる人はあまりいない。
  ……それを初等部でやった子なら知ってるけど。

「なっ!《ファイアボールっ!》」

  どうやら相手は出来ないようね。ファイアボールは相殺されたけど、ファイアバレットは生きている。
  さすがに直接狙うのは危険だから、相手の後ろにあるフラッグを狙う。フラッグは燃え上がり、炭になる。フラッグを破壊するのも可なのよね。

「くそっ!」

  やぶれかぶれの突進。魔法しかできない人なら有効かもね。

「でも残念」

  キレイな一本背負いを決める。それでネックレスが割れる。ふぅ。

「あーあ…」
「楽しかったわ」

  私がそう言うと、相手は悔しげな顔をして去っていった。
  
『赤チームフラッグ全滅!よって青チームの勝利!』

  どうやら終わったようね。後でクーにクッキーあげないと……あれ、高かったんだけどなぁ。まぁクーの笑顔が見たいからいいんだけど。





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