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学園 高等部1年 対抗戦編

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  クーリアが兄たちの方へと向かうと、周りを囲んでいた令嬢がまるで壁のように立ちはだかった。

「あなた、誰ですの?」
「えっと…妹です」

  正直にクーリアが答えたのに、令嬢は目を見開き、まるでクーリアの言葉が信じられないといったような反応をした。

「嘘をつくのも大概になさい!」
「えぇー…」

  クーリアは呆れ顔だ。しかし、そうなることも予想していなかった訳では無い。妹と言われても、まるで似ていないのだから。

「ちょっと、その発言はどうかと思うよ?クーは正真正銘僕達の妹なんだから」
「「「えぇ?!」」」

(だから来たくなかったのに…はぁ)

  クーリアが内心うんざりしているとは夢にも思わないで、兄2人はクーリアの手を取った。

「行こっか」
「……うん」

  とても不服そうにクーリアが答えた。だが、それが令嬢達の気に触ったらしい。

「あなた生意気ですわ!せっかくアラン様が手を取ってくださったのに!」

  今にも掴みかかろうとする令嬢を、もう1人の兄が宥める。

「どこが生意気なのかな?実の妹だよ?どんな反応をしようがいいだろう?」

  宥めるようでいて、有無を言わさない口調でそう問いかける。

「あ…いえ…その…」

  令嬢は兄の怒りに触れたことが分かったらしい。明らかに動揺し始めた。

「それじゃあ御機嫌よう」

  クーリアは兄2人から手を引かれ、その場を後にした。その後ろを、サラたちが追いかけた。





  



  場所は変わって食堂に。
  対抗戦は学園で行われているため、基本的食事をとるのは食堂になる。

「どうしたの?そんな不服そうな顔をして」

  傍から見ればクーリアはいつもの無表情だが、兄たちには分かったらしい。

「…分かってますよね?」
「分からないなぁ。ちゃんと教えてくれないと」

  明らかにわざとらしくそう言ったのは、次男のアラン。以前職員室前にいたのは、長男のウィリアムだ。
  アランもウィリアムも同じ朱色の髪で、顔立ちはウィリアムのほうが美形。アランも美形だが、武人よりの顔立ちで、ゴツゴツしている。

「…もういいです」

  プイとそっぽを向くクーリア。そのクーリアの頬をウィリアムが突く。

「クーが可愛い…」

  ウィリアム、シスコンである。

「兄さん、クーが可愛いのは当たり前だよ」

  ……アランもシスコンであった。

「それより、なにか食べないかい?もうペコペコで…」

  その言葉を裏付けるように、アランの腹の虫が鳴いた。

「そうだな。クーは何がいい?払ってあげるよ」
「……じゃあAセット」

  食堂は日替わりのセットメニューとなっており、その中で1番高いのがAセットだ。

「1番高いの…」
「払ってくれるんですよね?」

  あざとく首を傾げるクーリア。その姿を見て、ウィリアムは苦笑しながらも、食事を取りに行った。

「アランは残って。クーが何されるか分からないから」

  去り際にそう言い残した。実際クーリア達には食堂にいるほぼ全ての目線が集まっていた。

「だから嫌だったのに…」

  ちなみにサラたちは少し離れた場所に座っていた。せっかくの兄妹揃っての食事を邪魔したく無かったらしい。

「クー、そろそろ本性を見せてもいいんじゃないかな?」

  いきなりアランがクーリアに爆弾発言をかました。それはどこか確信めいた口調だった。

「……なんの事ですか」
「兄さんはいい意味で天然だから気づいてないけど、僕は分かるよ。クーが実は猫を被ってるって」

  アランの言っていることは、実は正しかったりする。クーリアは基本本性を隠している。というより…バカ、いや、天然を演じている。

「…私にはなんの事だか」
「そう?まぁ話す気になったらでいいよ」

  そう言って思わせぶりな笑みを浮かべた。

(やっぱりアランお兄ちゃんは苦手…)

  クーリアは早くウィリアムが帰ってきてくれないかと、食事の受け渡し口を見つめるのだった。

  

  
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