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学園 高等部1年 対抗戦編

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  私があの子に会ったのは初等部の時だった。
  消極的で物静かで、いつも教室の端に座って本を読んでいた。周りはそれが当たり前だという風に接していた。というより、近寄ろうとしなかった。だからいつも1人で、その子もそれを気にしていないようだった。

  …だけど、私には、あの子…クーリアの瞳が時折寂しそうな感情を宿していると思った。確信はなくて、でもどうしても話しかけなきゃって思った。
  思い切って話しかけたら、クーリアは誰とも変わらない、普通の女の子だった。
  ちょっと抜けてて、控えめに笑う。でも、私はその笑顔に魅せられた。
  みんなはクーリアが無表情だと言っていたけど、そんなのは嘘だった。ちょっと分かりにくいかもしれないけれど、同じように笑い、同じように泣く。2つの微妙に色が違う瞳に見つめられると、つい守りたくなる。不思議な子だった。

  クーリアはいつも授業中眠っていた。何度怒られても懲りなくて、時には私も叱ったりした。
  ……でも、それでも眠っていた。これには私もイラついた。

「なんで真面目にやらないのよ!!」

  ついそう怒鳴ってしまった。クーリアはしばらく唖然としていたけど、すぐにいつもの表情にもどった。

「えっとね……だってそう見えるようにしてるんだもん」
「え?」

  私はクーリアが何を言ったのか分からなかった。

「私が白ってことは知ってるよね?」
「それは…うん」
「ふふっ。正直に言ってくれてありがとう」

   まるで自身を嘲笑するような笑みを浮かべた。

「だからね、私は目立っちゃいけないんだよ」
「…どういうこと? 」
「誰だって白になんか負けたくないって思うでしょ?だから、私が勝っちゃうと何かと面倒なの」

  そう言って窓の外を見つめる。表情は分からなかったけど、それがクーリアの本心でないということは分かった。ちゃんと真面目にやりたいけど、出来ない。周りがそれを許さない。

「そんなことって…」
「だから…こんな風にしか出来ない私だから、別に離れてもいいんだよ?」

  その言葉は私の心にとても深く突き刺さった。今までクーリアが1人でいた理由が分かったから。
  本当は1人でいたくない。そんな気持ちがひしひしと伝わった。

「……いやだ」
「え?」
「そんなの、悲しすぎる!私は何がなんでもクーリアのそばにいる!だから、だから…!」

  そんな悲しそうな顔をしないで欲しい。

  私はそれからよりずっと一緒にいるようにした。陰口を言うやつは徹底的に叩き潰した。

「そこまでしなくても…」

  クーリアはいつも申し訳無さそうだった。
  直接はなにもしてこないんだから、別に気にしなくていいと。
  私もそうは思った。だけど、クーリアと共にいるにつれて、その陰口がどれだけ精神に響くのかを身に染みて理解した。
  どんな力よりも、言葉のほうがより鋭利な武器となる。

「よくクーリアは耐えたね…」
「まぁ慣れかな。そもそも父親に比べたら全然だし」
「父親…?家族からもやられてたの?」

  私はとても驚いた。だっていつも母親や兄妹の話をするクーリアは、とても楽しそうだったから。

「父親からだけ。今は会ってないから、されてないよ」
「そうなの?」
「うん」

  その会話の後、正直に言うと、私はその父親のことを調べあげた。無論クーリアには内緒で。

「こんな奴が…」

  そしたら出るわ出るわ不正の証拠。だけど、これはの仕事。あれからその男がどうなったのかは知らない。多分…もういないかも。
  そんなことをクーリアに話すつもりはないけどね。

「ねぇ、サラ?」
「なぁに?」
「……なにした?」

  でもやっぱりクーリアにはバレてしまった。おかしいなぁ?完璧に私が関わったっていうのは隠蔽したんだけど…

「貴方が何者なのか、それは言わないけど、あまり他人のことに首を突っ込まないほうがいいよ?」
「そう言うってことはもう分かってるんだ?」

  驚いた。まさかそんなに早く気付かれてるなんて…

「…はぁ。まぁ私の1番の秘密は気付いてないか…」
「え?なにそれ?」
「教えなーい」

  それから何度も追求したけど、クーリアは教えてくれなかった。まだ信頼が足りないから教えてくれないのかな?だったら、いつか話してくれるようになったらいいな……


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