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学園 高等部1年 対抗戦編

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  クーリア達が転移したのは、森林だった。転移した場所には、1本のフラッグが立っている。これはどの場合でも同じだ。

「森林…じゃあ予定通りに」
「「「分かった」」」

  サラ達は、クーリアだけを残して敵陣へと突っ込んでいった。

  (さてと。私もちゃんと役目を果たさないとね)

  もう一度転移の魔法陣を見たいがためだけに勝とうとするクーリアは、無論チームメイトの考えとはかなりズレていた。だが、サラ達は気づいてない。それは当然だ。人の考えなど、千差万別なのだから。
  ……最も、クーリアのような考えを持つ人はまずないだろうが。

  (まずはフラッグの位置の把握)

  本来チームメイトがそれぞれ歩き回り、フラッグの場所を確認する。だか、ここにはクーリア1人しかいない。なので歩いて探せば、他のフラッグを取られたり、時間が掛かる。

「あ、あった」

 ……そう。
  だが、クーリアは1歩も動かず、フラッグを見つけてしまった。
  タネは簡単。魔力を薄く広げただけだ。これは風魔法の《索敵》という魔法に近い。だが、消費する魔力は、今回の方が少ない。しかしその反面、魔力を精密に制御する必要がある。おそらく、学生でこの方法が出来るのはクーリアくらいだろう。

  (どうせなら監視の魔道具も停止させたいけど、それしたら失格だしなぁ…)

  実はこのフィールドには、教師が監視するための魔道具が仕掛けられている。それは映像を別のところに送るもので、観客にも届けられている。
  監視する理由は、危険行為を行わないか見るためだ。この対抗戦は、言わば模擬戦だ。そのため、そこまで強力な攻撃は禁止されている。しかし、例年強力な攻撃により怪我をする者が後を絶たないのだ。それを少しでも防ごうと、この魔道具が設置されている。

  クーリアとしてはあまり注目を浴びたくないので、できる限り映りたくない。そのため、停止させたかったのだが、これを故意に破壊、もしく停止させた場合は、問答無用で失格となってしまう。

  (はぁ…とりあえず、場所は把握したから、映らないように動こう)

  クーリアは絶妙な位置に陣取り、魔道具に映らないようにした。

  (ここなら大丈夫。さて、フラッグを守るとしますか)

  クーリアは遠距離から全てのフラッグを防御魔法で覆った。これは風属性の《結界》という魔法のようなものだが、結界より脆い……と言われている。
  だが実際のところ、込める魔力が多いほど、この防御魔法は強度を増す。それこそ、《結界》を超えるほどに。

  (研究が進んでないにも程があるよねぇ。はぁ…)

  この理論はクーリアが研究から導き出したものだ。そのため、一般的には知られていない。もちろんクーリアは目立ちたくないので、公開するつもりも無いが。

  (名前を偽るっていうのもありだけど……多分、にはバレるしなぁ…)

  そんなことを考えながら、クーリアは敵が来るのを待ち構えていた。


  ……鼻歌を歌いながら。その歌はクーリア本人が映像には映らずとも音として届けられ、観客を大いにざわつかせたとか……  
  
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