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学園 高等部1年 始

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  15歳ほどになれば親とさほど変わらない身長になるはず…だが、クーリアはまだフィーリヤに届いていなかった。風呂場に椅子はない。仕方なく、フィーリヤは床に座った。

「ママ、そこまでしなくても…」
「いいじゃない。久しぶりなんだから」

  そう言われてしまっては、やるしかない。クーリアはフィーリヤの髪を丁寧に洗っていった。

「クーはもうちょっと食べないと」
「ちゃんと食べてるもん」

  なのに身長はあまり伸びていない。サラにも身長で越される始末だ。
……女性的な部分も。

「はい。出来たよ」

    フィーリヤも洗い終わり、クーリアと共に湯船に浸かる。

「ふわぁ~…」
「気持ちいいわねぇ」

  そのまましばらく談笑しながら、夜は更けていった。



「おやすみなさい」
「ええ、おやすみ」

  クーリアはフィーリヤと別れ、自分の部屋へと入っていった。今日くらい家族と寝てもいいような気はするが…フェルナスが酒を飲んでいたのだ。そのためクーリアはやめた。フィーリヤは流石に夜も自身の夫をほっとく訳にはいかないので、クーリアと別れたのだった。

  自身の部屋に入り、クーリアは一目散にクローゼットを開ける。

「うわぁー…増えてる」

  部屋に備え付けられたクローゼットの中身を見て、思わずそう吹く。以前見た時よりも明らかに収納されている服が増えていた。
  ………しかも、どれも高そうなもの。無論それら全て、フェルナスがクーリアにと買ったものだ。

  パタンっとクローゼットの扉を閉めて、クーリアはベットに潜り込んだ。

「…見なかったことに」

  そう言って、クーリアは夢の中へと堕ちていった。

◆◆◆

  次の日、クーリアが起きて制服に着替えていると、ふと鏡の中の自身の姿が目に入った。

「誰に似たのかなぁ…」

  青みがかった銀髪に青色の瞳。だが、少し両目の色が違う。右目は深い青。左目は…薄い青をしている。

  両目で色が違うのは、貴族の間では不吉だと言われている。そのため、クーリアは前の父親から気味悪がられていた。
……もちろん、不吉だなんてただの迷信でしかないのだが。
  
  しばらく鏡を眺めた後、クーリアは部屋を出て、家族と共に食事を食べた。

「仕事やりたくない…家族との時間が欲しい…」
「パパ、頑張って」

  食事中、ぶつぶつとそうつぶやくフェルナスを、クーリアが励ました。最近フェルナスは仕事が忙しいらしい。

「うぅー、クーリア!」
「うわぁ!ちょ、待って!」

  泣きながら抱きついてきたフェルナスに、食事を食べていたクーリアは大慌てだ。

「はいはい。フェルもそんなことしてないで早く行きなさい」

  その光景を見かねたのか、フィーリヤがそう言った。そうしてようやく、フェルナスは渋々といった様子で仕事に出かけていった。

「はぁ…」
「ふふっ。クーも大変ね」

  心底面白そうにフィーリヤがそう言う。

「嬉しいけど…もうちょっと控えて欲しい」
「それを言ったら絶対悲しむわね」

  だよねぇー…はぁ…まぁいっか。

  クーリアもなんだかんだ言って、フェルナスが好きなのだ。渋々、でも少し嬉しそうに、クーリアはフェルナスを説得することを諦めたのだった。

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