16 / 138
学園 高等部1年 始
10
しおりを挟む
「次からはちゃんと気をつけるのよ?」
「は、はーい」
クーリアが思う絶対に逆らってはいけない人。それがフィーリヤだった。
「時間管理はしっかりとな」
「うん」
フェルナスとの会話は少ないが、クーリアにとっては十分だった。なにせ、前の家では父親と楽しく会話するなど不可能だったからだ。
「まだ…こちらに移る気は無いのか?」
躊躇いがちながらも、フェルナスはそう切り出した。無論移るとは、クーリアがこの家に住むということだ。
「まだ、というか、来る気はないかな。だって私はあっちの方が好きだもん」
「そうか…」
クーリアがそう答えると、フェルナスは悲しそうな表情でそう言った。
「ふふっ。まぁクーの気持ちも分かるけどね」
フィーリヤがクーリアの青い銀髪を指ですきながら、クーリアに笑いかける。
「でも、いずれはこっちに来てくれないと私が寂しいわ」
「うっ!それは…」
「ふふっ。冗談よ。あなたはあなたの好きな方で住むといいわ。でも、今日は一緒にお風呂に入りましょ?」
「うん!」
クーリアは元気よく頷いた。もう15歳になったが、いつまでもクーリアは自分の母が大好きなのだ。
「私も…」
「「やだ」」
フェルナスの要望は、母娘2人で却下された。
場所は移り、屋敷の風呂場へ。
「いつ見ても大っきい…」
…胸ではない。浴槽が、だ。
「そうねぇ。クーはお風呂好き?」
「うーん…まぁ好き」
「そう(好きって断言したらこの家に誘う口実になったのに…)」
そんなフィーリヤの心の声は、もちろんクーリアには届かなかった。
まずは湯船に浸かる前に、体を洗う。
「洗いっこしましょうか」
「うん」
「じゃあまず髪からね」
フィーリヤがクーリアの髪を洗っていく。
「クーの髪はいつ見ても綺麗ね」
「そう?」
クーリアの髪を見ながら、うっとりとした表情でそう吹いた。ちなみにフィーリヤの髪色は黒だ。庶民にありふれた色。
「でも、なんでクーの髪はこんな色なのかしら?」
「さぁ?」
実はクーリアの父親の髪色は朱色だったのだ。兄2人や妹はそれを受け継いでいたが、クーリアだけ違ったのだ。それも、どこからの遺伝なのかも分からない青みがかった銀髪。故にクーリアは別の子供じゃないかと思われてしまった。だが、フィーリヤは結婚してから家を出ることを許されず、加えて、結婚する前に異性と何かしらの関係を持ったこともない。つまり正真正銘、クーリアは実の子なのだ。
「不思議なこともあるのねぇ」
「そうだね」
クーリアも不思議でしょうがない。だが、どうやっても分からなかった。本にすら載っていなかったのだ。
可能性としてはママの先祖…だけど、よく分からないしなぁ…
前の父親の家系はしっかりと記録が残っていたため、調べることができた。しかし、それに銀髪の人はいなかった。そうなると、必然的にフィーリヤの家系が関係しているはずなのだが…一介の庶民がそんな記録を持っているはずも無い。とどのつまり、髪色の原因は分からなかった。
ま、いっか!
クーリアはそう思った。そもそも大して興味がなかったのだ。ちょっと気になったから調べてみただけに過ぎなかった。
「あ、次は私ね」
そんな事を思い出しているうちに、クーリアの身体中全て洗い終わっていた。次はクーリアがフィーリヤを洗う番だ。
「洗う…届かない」
「あ…」
………クーリアは少々平均身長より小さかった。
「は、はーい」
クーリアが思う絶対に逆らってはいけない人。それがフィーリヤだった。
「時間管理はしっかりとな」
「うん」
フェルナスとの会話は少ないが、クーリアにとっては十分だった。なにせ、前の家では父親と楽しく会話するなど不可能だったからだ。
「まだ…こちらに移る気は無いのか?」
躊躇いがちながらも、フェルナスはそう切り出した。無論移るとは、クーリアがこの家に住むということだ。
「まだ、というか、来る気はないかな。だって私はあっちの方が好きだもん」
「そうか…」
クーリアがそう答えると、フェルナスは悲しそうな表情でそう言った。
「ふふっ。まぁクーの気持ちも分かるけどね」
フィーリヤがクーリアの青い銀髪を指ですきながら、クーリアに笑いかける。
「でも、いずれはこっちに来てくれないと私が寂しいわ」
「うっ!それは…」
「ふふっ。冗談よ。あなたはあなたの好きな方で住むといいわ。でも、今日は一緒にお風呂に入りましょ?」
「うん!」
クーリアは元気よく頷いた。もう15歳になったが、いつまでもクーリアは自分の母が大好きなのだ。
「私も…」
「「やだ」」
フェルナスの要望は、母娘2人で却下された。
場所は移り、屋敷の風呂場へ。
「いつ見ても大っきい…」
…胸ではない。浴槽が、だ。
「そうねぇ。クーはお風呂好き?」
「うーん…まぁ好き」
「そう(好きって断言したらこの家に誘う口実になったのに…)」
そんなフィーリヤの心の声は、もちろんクーリアには届かなかった。
まずは湯船に浸かる前に、体を洗う。
「洗いっこしましょうか」
「うん」
「じゃあまず髪からね」
フィーリヤがクーリアの髪を洗っていく。
「クーの髪はいつ見ても綺麗ね」
「そう?」
クーリアの髪を見ながら、うっとりとした表情でそう吹いた。ちなみにフィーリヤの髪色は黒だ。庶民にありふれた色。
「でも、なんでクーの髪はこんな色なのかしら?」
「さぁ?」
実はクーリアの父親の髪色は朱色だったのだ。兄2人や妹はそれを受け継いでいたが、クーリアだけ違ったのだ。それも、どこからの遺伝なのかも分からない青みがかった銀髪。故にクーリアは別の子供じゃないかと思われてしまった。だが、フィーリヤは結婚してから家を出ることを許されず、加えて、結婚する前に異性と何かしらの関係を持ったこともない。つまり正真正銘、クーリアは実の子なのだ。
「不思議なこともあるのねぇ」
「そうだね」
クーリアも不思議でしょうがない。だが、どうやっても分からなかった。本にすら載っていなかったのだ。
可能性としてはママの先祖…だけど、よく分からないしなぁ…
前の父親の家系はしっかりと記録が残っていたため、調べることができた。しかし、それに銀髪の人はいなかった。そうなると、必然的にフィーリヤの家系が関係しているはずなのだが…一介の庶民がそんな記録を持っているはずも無い。とどのつまり、髪色の原因は分からなかった。
ま、いっか!
クーリアはそう思った。そもそも大して興味がなかったのだ。ちょっと気になったから調べてみただけに過ぎなかった。
「あ、次は私ね」
そんな事を思い出しているうちに、クーリアの身体中全て洗い終わっていた。次はクーリアがフィーリヤを洗う番だ。
「洗う…届かない」
「あ…」
………クーリアは少々平均身長より小さかった。
0
お気に入りに追加
213
あなたにおすすめの小説
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます
今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。
アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて……
表紙 チルヲさん
出てくる料理は架空のものです
造語もあります11/9
参考にしている本
中世ヨーロッパの農村の生活
中世ヨーロッパを生きる
中世ヨーロッパの都市の生活
中世ヨーロッパの暮らし
中世ヨーロッパのレシピ
wikipediaなど
【本編完結】魔眼持ちの伯爵令嬢〜2度目のチャンスは好きにやる〜
ロシキ
ファンタジー
魔眼、それは人が魔法を使うために絶的に必要であるが、1万人の人間が居て1人か2人が得られれば良い方という貴重な物
そんな魔眼の最上級の強さの物を持った令嬢は、家族に魔眼を奪い取られ、挙句の果てに処刑台で処刑された
筈だった
※どこまで書ける分からないので、ひとまず長編予定ですが、区切りの良いところで終わる可能性あり
ローニャの年齢を5歳から12 歳に引き上げます。
突然の変更になり、申し訳ありません。
※1章(王国編)(1話〜47話)
※2章(対魔獣戦闘編)(48話〜82話)
※3章前編(『エンドシート学園』編)(83話〜111話)
※3章後編(『終わり』編)(112話〜145話)
※番外編『王国学園』編(1話〜)
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。
新婚初夜に浮気ですか、王太子殿下。これは報復しかありませんね。新妻の聖女は、王国を頂戴することにしました。
星ふくろう
ファンタジー
紅の美しい髪とエメラルドの瞳を持つ、太陽神アギトの聖女シェイラ。
彼女は、太陽神を信仰するクルード王国の王太子殿下と結婚式を迎えて幸せの絶頂だった。
新婚旅行に出る前夜に初夜を迎えるのが王国のしきたり。
大勢の前で、新婦は処女であることを証明しなければならない。
まあ、そんな恥ずかしいことも愛する夫の為なら我慢できた。
しかし!!!!
その最愛の男性、リクト王太子殿下はかつてからの二股相手、アルム公爵令嬢エリカと‥‥‥
あろうことか、新婚初夜の数時間前に夫婦の寝室で、ことに及んでいた。
それを親戚の叔父でもある、大司教猊下から聞かされたシェイラは嫉妬の炎を燃やすが、静かに決意する。
この王国を貰おう。
これはそんな波乱を描いた、たくましい聖女様のお話。
小説家になろうでも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる