転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに

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第5章 村編

第114話 魅了は本人が1番の被害者

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 とりあえずアンクルを外して、マリアを見ないようにして男たちの方を見る。

「うぅぅ…」

 しばらく待って、ようやく1人が起き出した。

「こ、こは…?」
「目が覚めた?ここは貴方達が襲おうとした家だよ」

 私がそう言うと、次第に意識と記憶がハッキリしてきたのか、狼狽え始める。

「ば、ばかな!なぜ…」
「普通にバレバレだったよ」

 気配察知の範囲内なのに気配隠蔽すら使ってなかったからね。

「で?どうしてここにきたのかな?」
「は、話すもの、か!」

 まぁすぐに言ってはくれないよね。私の魅了に耐えてるみたいだし。

「話すまでずっと居るよ?」
「ふ、ふん!それがどうした!」

 ゴソゴソと分かりやすく何かを探すように動き始める。

「探してるのはこれかな?」

 私は奪っておいた自爆の魔道具を目の前でチラつかせる。するとすぐに男の表情が驚愕の色に染まった。

「な、何故!」
「前にこれを使われたことがあるからね。予め調べさせて貰ったよ」

 すると今度は魔法を使おうとする。
 ……だけど、魔法を使うために集まった魔力は空気中に霧散した。

「な!?」
魔法無効空間アンチマジックフィールドを展開してるから、魔法は使えないよ」

 これは前にも使った。念の為展開しておいて良かったよ。

「で、どうする?話す気になった?」
「だ、誰が」
「ふーん」

 私は男の顔を、目を見つめる。すると男が露骨に目をそらそうとした。

「どうして目をそらすのかな?」
「………」
「……こっちを向きなさい?」

 触りたく無かったけど、男を顔を無理やりこちらに向けさせる。

 じー。

 じーー。

 じーーー。

「……お、俺、いや、私は…何も知らない、んです」

 お、やっと話してくれるみたいだ。年齢的におじさんの男と、顔を合わせ続けることがそろそろ嫌だったんだよね…。良かった良かった。
 でも、何故いきなり敬語?話してくれるみたいだから別に気にしないけど。

『気にしないのね…』

 だって話してくれるなら別にいいじゃない。余計なことは考えない。とりあえず尋問だ。

「何も知らないの?」
「はい。ただ、この家に住む男児を攫えと…抵抗されたら、殺しても構わない、と…」

 男児……この家に1人しかいないね。

「アッシュが狙いだったのね…」
「アッシュ…?」

 どうやら名前すら知らなかったようだ。

「あなたが攫おうとしていた男児の名前だよ」
「そう、ですか…」
「で?攫ってどうするつもりだったの?」
「……そこまでは分かりません。ただ、攫えたのなら、森の奥で待機している馬車に乗せろ、と…」
「……ママ」

 目線は向けず、マリアを呼ぶ。

「ええ、分かってる。ここは任せたわ」
「うん」

 マリアが森の奥へと姿を消す。馬車を探すためだ。だが、おそらくもういない可能性が高い。
 マリアが去ってすぐ。他の男たちも起き出した。けれど、私が一瞬見ただけで惚けた表情になる。魅了って恐ろしい……。
 最初に起きた男が効きにくかったのは、その男だけ耐性が高かったからなのかな。

「じゃああなた達は下っ端?」
「……そうなります」
「なにの?」
「…………言えません」

 言えない……?

「どうして?」
「……呪いです」
「呪い……?」

 急いでステータスを確認する。しかし、どこにも呪いという項目は無かった。でも、男の言葉もまた、嘘ではない。

「ステータスに載らない呪い、か……」
「はい」
「具体的な効果は言える?」
「……あくまで聞いただけなのですが、組織について公言した場合、身体中から血が吹き出し、絶命する、と…」

 結構グロいな……。
 組織についてっていうのが、どこまでを指すのか分からないけれど、おそらく組織の名前、そして……元首、ボスが誰なのか。それを指すのだろう。

「……分かった。その話、信じるよ」
「ありがとう、ございます……」
「それで、あなた達はこれからどうするつもりなの?」
「……如何様にも。生かすも殺すもお好きに。どちらにしろ戻れば殺されますので」

 やっぱりただの捨て駒か……

「……一つ、聞いていい?」
「なんなりと」
「その呪いは、施した人物が意図的に遠隔で発動させられる?」
「それはないです。呪いというより、契約に近いようなものなので」

 なるほど。一応魔力とかで繋がったりしてないかとか確認してみたけど、繋がって無さそうなので、遠隔では発動させられないだろう。遠隔発動型の呪いは、魔力の糸のようなもので繋がってるらしいからね。
 となると、呪いというより契約というのは、言い得て妙なのかもしれない。

「そう。なら、公言しない限り、あなた達は呪いで殺されないのね」
「はい……」

 うむ。なら……男たちには生きてて貰おう。下っ端でも重要な証人だ。
 ただ、魅了は効果時間があるので、奴隷の首輪という効果を持つ魔道具を身につけさせようかな。
 ……確かマリアの収納にあったから。ほんとなんであるんだろう……。



「行ってみたけれど、馬車は無かったわ」
「やっぱりか」

 マリアのことを見ないようにしながら、相槌を打つ。

「で、そっちはどう?」
「そこまでの情報は無かったよ。呪いのようなもので口を塞がれてた」
「そう……」

 お互いを見ずに会話する。傍からみたらさぞシュールだろうな……。

「それじゃぁ、こいつらはどうするの?」
「生かそうかな、と。奴隷の首輪をつければ大丈夫でしょ?せっかくの証人だし」

 話せないけどね。ふとした拍子にポロッと言っちゃって死ぬなんて洒落にならないから、奴隷の首輪でその事を話せないよう制限かけとけばいいかな。

「生かすのね」
「うん。じゃあよろしく」
「……やっぱり知ってたのね」
「なんのこと?私は男たちを頼むって言っただけだよ?」

 一言も奴隷の首輪を出してなんて言ってないからね。

「……はぁ。分かったわ」

 マリアが渋々頷いた気配がしたので、もう魅了は要らないだろうと思い、男たちの意識をもう一度飛ばしつつ後ろを向き、アンクルをはめ直した。

「それにしても魅了、使えるわね」

 まぁペラペラ喋ってくれたしね。口を割らせるには便利……かな?

「面倒だからやりたくないけどね」
「まぁいちいちアンクルを外さないといけないものね」

 それもあるけどね……目を合わせるとか、色々疲れるんだよ。魅了は目を合わせないと効果的じゃないみたいだから。もう精神ゴリゴリ削られたよ……

「まぁいいわ。じゃあフィリアはもう休みなさい。後はやっておくわ」
「うん……と言ってももう夜明けだけどね」
「仮眠くらいとれるでしょ?」
「まぁ、ね……分かった。じゃあ後はよろしくね」
「ええ。任せなさい」

 マリアに後を任せつつ家へ入り、ベットへとダイブした。
 精神的な疲れがピークに達していたのか、すぐに意識を手放した。




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