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第4章 王都 学園高等部生活編
第101話 事件の終息
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私は瞑想を終え、目を開ける。
魔力は……8割ってとこかな。
「あ、フィリア。大丈夫?」
「大丈夫だよ」
周りを見渡すと、もう既にそこは洞窟では無くなっていた。
見覚えのあるタイルが敷き詰められた部屋。
部屋の真ん中には、巨大な物体が横たわっていた。
それはもちろん、ゴルギアスだ。
「戻ってきたんだ」
「ええ」
立ち上がり、コルギアスへと近づく。既に目に光はなく、事切れている。
首元の逆鱗の部分には、魔剣が突き刺さっていた。
引き抜くと剣先がボロボロと崩れていく。おそらく限界だったのだろう。
そのまま魔剣は塵となって消えてしまった。
「これはしまっちゃった方がいい?」
「その方がいいわ」
許可が出たので、コルギアスの死体をアイテムボックスへと収納する。
でも、元の部屋に戻ってきたけど、救出すべき生徒の姿は見えない。
「多分だけど、あの扉のさきじゃないかしら」
マリアが指さしたのは、魔法無効が施されていた扉。
「開けないの?」
「開かないのよ」
それじゃあだめじゃん。
「一応全員試して、後はフィリアだけなの」
あ、そうですか…
「……やってみる」
私は扉の前に立つ。そして、両手を扉にあてる。
あれ……魔法無効がない?
少し力を入れてみる。
すると、扉は私の手から離れ、ひとりでに開いていく。
「開いたわね…」
マリアが、若干の驚きと呆れが混じった声を出す。
「さすが俺の娘だな!」
…そこの親バカはちょっと黙りなさい。
扉の先は真っ暗な通路になっていた。私はライトを使ってその道を照らす。
「行きましょう」
「だな」
ここでも警戒は怠らず、ドノバンさんが前に出る。
心無しかマルティエナさんが俯きがちなような…?
どうしたんだろ?
「マルティエナさん、何かあったの?」
近くにいたマリアに声をかける。
「あぁー…えっと…ちょっとね」
マリアが言葉を濁す。心を読むことは出来るけど、話したくない内容を知りたいとは思わない。まぁ多分大丈夫。仲間がいるんだから。
「おい!」
ドノバンさんが声を出す。見ると扉があった。
私はマリアを見る。するとマリアが頷く。
私は前に出て、扉を押して開ける。
すんなり開き、その先が見えた。
「……っ!ベル!」
真っ先に目に入ったのは、椅子に座ったベルの姿だった。
思わず駆け寄る。
「ベル!大丈夫!?」
揺するけど、目を閉じていて起きる気配がない。
「フィリア!?いきなり飛び出したら危ないじゃない!」
後ろからマリアが現れる。
辺りを見渡すと、ベルと同じように椅子に座ったまま目を閉じ、動かない人の姿があった。
「これは…」
マリアがベルの状態を確認する。
私も改めて見てみると、鎖のようなものが巻きついていた。
「これが魔力を吸ってる…?」
その鎖の端は地面へと垂れ下がり、ある場所へと繋がっていた。
「魔法陣……」
部屋の地面にえがかれた巨大な魔法陣。その真ん中に繋がっていた。
ベルだけではない。全ての鎖がそこへ向かっていた。
「これは……」
私には魔法陣の知識はない。だから壊して大丈夫なのか分からない。
ー壊しちゃっていいよー
いきなりエルザの声が聞こえた。
壊していいの?
ーうん。翡翠を真ん中に突き刺してー
言われた通り、翡翠を真ん中に突き刺すために魔法陣の真ん中へと向かう。
「フィリア…?」
「ちょっと仕事してくる」
私がそう言うと、何をしようとしているのか理解したのか、黙って頷いた。
翡翠は見られたくないので、ロビン達には死角になるよう立つ。
そして翡翠を真ん中へと突き刺す。
パリンッ!
突き刺した瞬間、ガラスが割れるような音がして、鎖が消滅した。
私は翡翠を仕舞い、直ぐにベルの元へと駆け寄る。
「ベル、ベル!」
「うぅん……あ、あれ?フィリアちゃん?」
「どこか痛いとことかない?」
「え?えっと…痛くはないけど…ちょっとボーッとする」
それはおそらく魔力切れだろう。とりあえず私の魔力を少し注いでおく。
「ほんとに良かった…」
「え?え?なんで?」
ベルは今の状況を把握できていないようだ。まぁ仕方ないのかな。
「説明は後よ。とりあえず立てる?」
「はい…って、マリア様!?」
隣りにいたのがマリアで、随分驚いたようだ。
「そうよ。フィリア、後は任せていい?」
「うん。大丈夫」
マリアは私の頭をひとなですると、別の人の所へと去っていった。多分治療とかをするためだろう。
「なんでマリア様がいるの!?」
ベルはさっきから叫んでばかりだ。
「えっと…とりあえず落ち着いて」
「落ち着いてって言われても…」
その気持ちは分かるけど。
「状態は分かる?」
「分からないよ」
「なんでここに居るかは?」
「えっとキャサリンさんとダンジョンいって…あれ?なんか記憶が曖昧」
それは多分消されたということだろうか?
まぁ考えてもしかたない。
キャサリンを探してみると……憧れの六大英雄に会えて目を爛々とさせている。
……英雄の娘ってバレないよう祈ろう。
「全員いるか?」
レビンさんが名簿片手に確認作業をしていた。ここにいたのは30名弱。
「大丈夫そうだな」
行方不明になった人がどれくらいか分からないけれど、全員いるらしい。良かった…
「あの、ここは?」
1人の生徒がレビンさんに尋ねる。
「その話は後でしっかりする。今はここから出るぞ」
とはいえどこから出るのだろうか。
そう思っていると、奥にも扉があった。どうやらそこから出ることが出来るらしい。前に言ってた職員用の扉かな。
レビンさんが先導する。
扉の先は分かれ道になっていて、一方は厳重そうな扉。おそらくダンジョンの管理部屋に続く扉かな。
もう一方は……階段でした。いや、ここに来て階段?ここって確か最下層だよね?
「頑張れよー」
レビンが呑気な声をかける。ということは魔法で短縮されているとか、そういうことがないようだ。
……マジで?
「ベル、大丈夫?」
「大丈夫だよ」
軽い足取りで登っていく、ベル。
あれぇ?椅子にずっと縛られていたかは分からないけど、それでも筋力は落ちてると思うんだけど……
「ダルいとかない?」
「ない!」
どうやら衰えはようだ。なんでかは分からない。ただ、他の生徒は息切れしているので、ベルが異常だということを理解した。
「ほんとに良かった…」
久しぶりにベルの顔を見れた。それが本当に嬉しい。
階段を上り続け、やっと光が見えた。私も久しぶりの外だ。
「全員いるかー?」
息も絶え絶えな生徒たち。平然とするベル。うん、なにも言うまい。
その後疲れているだろうからっていう理由で、今日は帰ることとなった。詳しい説明は後日だという。
「フィリアさん!ベルさん!」
レビンさんからの話が終わり、帰っていいとなった時、キャサリンがテンション高めに駆け寄ってきた。
「キャサリン、怪我ない?」
「ないですわ!それより六大英雄全員に会えたのがもう!」
言葉では言い表せないほど嬉しく、興奮しているようだ。
「良かったねー…」
そんなキャサリンのことを、私はなんとも言えない目で見ていた。
そしてキャサリンの興奮が冷めた後、私は久しぶりに、ベルと一緒に屋敷へ帰ったのだった。
……それを見て一緒に行こうとしたロビンはマリアに捕まっていた。感謝です…。
魔力は……8割ってとこかな。
「あ、フィリア。大丈夫?」
「大丈夫だよ」
周りを見渡すと、もう既にそこは洞窟では無くなっていた。
見覚えのあるタイルが敷き詰められた部屋。
部屋の真ん中には、巨大な物体が横たわっていた。
それはもちろん、ゴルギアスだ。
「戻ってきたんだ」
「ええ」
立ち上がり、コルギアスへと近づく。既に目に光はなく、事切れている。
首元の逆鱗の部分には、魔剣が突き刺さっていた。
引き抜くと剣先がボロボロと崩れていく。おそらく限界だったのだろう。
そのまま魔剣は塵となって消えてしまった。
「これはしまっちゃった方がいい?」
「その方がいいわ」
許可が出たので、コルギアスの死体をアイテムボックスへと収納する。
でも、元の部屋に戻ってきたけど、救出すべき生徒の姿は見えない。
「多分だけど、あの扉のさきじゃないかしら」
マリアが指さしたのは、魔法無効が施されていた扉。
「開けないの?」
「開かないのよ」
それじゃあだめじゃん。
「一応全員試して、後はフィリアだけなの」
あ、そうですか…
「……やってみる」
私は扉の前に立つ。そして、両手を扉にあてる。
あれ……魔法無効がない?
少し力を入れてみる。
すると、扉は私の手から離れ、ひとりでに開いていく。
「開いたわね…」
マリアが、若干の驚きと呆れが混じった声を出す。
「さすが俺の娘だな!」
…そこの親バカはちょっと黙りなさい。
扉の先は真っ暗な通路になっていた。私はライトを使ってその道を照らす。
「行きましょう」
「だな」
ここでも警戒は怠らず、ドノバンさんが前に出る。
心無しかマルティエナさんが俯きがちなような…?
どうしたんだろ?
「マルティエナさん、何かあったの?」
近くにいたマリアに声をかける。
「あぁー…えっと…ちょっとね」
マリアが言葉を濁す。心を読むことは出来るけど、話したくない内容を知りたいとは思わない。まぁ多分大丈夫。仲間がいるんだから。
「おい!」
ドノバンさんが声を出す。見ると扉があった。
私はマリアを見る。するとマリアが頷く。
私は前に出て、扉を押して開ける。
すんなり開き、その先が見えた。
「……っ!ベル!」
真っ先に目に入ったのは、椅子に座ったベルの姿だった。
思わず駆け寄る。
「ベル!大丈夫!?」
揺するけど、目を閉じていて起きる気配がない。
「フィリア!?いきなり飛び出したら危ないじゃない!」
後ろからマリアが現れる。
辺りを見渡すと、ベルと同じように椅子に座ったまま目を閉じ、動かない人の姿があった。
「これは…」
マリアがベルの状態を確認する。
私も改めて見てみると、鎖のようなものが巻きついていた。
「これが魔力を吸ってる…?」
その鎖の端は地面へと垂れ下がり、ある場所へと繋がっていた。
「魔法陣……」
部屋の地面にえがかれた巨大な魔法陣。その真ん中に繋がっていた。
ベルだけではない。全ての鎖がそこへ向かっていた。
「これは……」
私には魔法陣の知識はない。だから壊して大丈夫なのか分からない。
ー壊しちゃっていいよー
いきなりエルザの声が聞こえた。
壊していいの?
ーうん。翡翠を真ん中に突き刺してー
言われた通り、翡翠を真ん中に突き刺すために魔法陣の真ん中へと向かう。
「フィリア…?」
「ちょっと仕事してくる」
私がそう言うと、何をしようとしているのか理解したのか、黙って頷いた。
翡翠は見られたくないので、ロビン達には死角になるよう立つ。
そして翡翠を真ん中へと突き刺す。
パリンッ!
突き刺した瞬間、ガラスが割れるような音がして、鎖が消滅した。
私は翡翠を仕舞い、直ぐにベルの元へと駆け寄る。
「ベル、ベル!」
「うぅん……あ、あれ?フィリアちゃん?」
「どこか痛いとことかない?」
「え?えっと…痛くはないけど…ちょっとボーッとする」
それはおそらく魔力切れだろう。とりあえず私の魔力を少し注いでおく。
「ほんとに良かった…」
「え?え?なんで?」
ベルは今の状況を把握できていないようだ。まぁ仕方ないのかな。
「説明は後よ。とりあえず立てる?」
「はい…って、マリア様!?」
隣りにいたのがマリアで、随分驚いたようだ。
「そうよ。フィリア、後は任せていい?」
「うん。大丈夫」
マリアは私の頭をひとなですると、別の人の所へと去っていった。多分治療とかをするためだろう。
「なんでマリア様がいるの!?」
ベルはさっきから叫んでばかりだ。
「えっと…とりあえず落ち着いて」
「落ち着いてって言われても…」
その気持ちは分かるけど。
「状態は分かる?」
「分からないよ」
「なんでここに居るかは?」
「えっとキャサリンさんとダンジョンいって…あれ?なんか記憶が曖昧」
それは多分消されたということだろうか?
まぁ考えてもしかたない。
キャサリンを探してみると……憧れの六大英雄に会えて目を爛々とさせている。
……英雄の娘ってバレないよう祈ろう。
「全員いるか?」
レビンさんが名簿片手に確認作業をしていた。ここにいたのは30名弱。
「大丈夫そうだな」
行方不明になった人がどれくらいか分からないけれど、全員いるらしい。良かった…
「あの、ここは?」
1人の生徒がレビンさんに尋ねる。
「その話は後でしっかりする。今はここから出るぞ」
とはいえどこから出るのだろうか。
そう思っていると、奥にも扉があった。どうやらそこから出ることが出来るらしい。前に言ってた職員用の扉かな。
レビンさんが先導する。
扉の先は分かれ道になっていて、一方は厳重そうな扉。おそらくダンジョンの管理部屋に続く扉かな。
もう一方は……階段でした。いや、ここに来て階段?ここって確か最下層だよね?
「頑張れよー」
レビンが呑気な声をかける。ということは魔法で短縮されているとか、そういうことがないようだ。
……マジで?
「ベル、大丈夫?」
「大丈夫だよ」
軽い足取りで登っていく、ベル。
あれぇ?椅子にずっと縛られていたかは分からないけど、それでも筋力は落ちてると思うんだけど……
「ダルいとかない?」
「ない!」
どうやら衰えはようだ。なんでかは分からない。ただ、他の生徒は息切れしているので、ベルが異常だということを理解した。
「ほんとに良かった…」
久しぶりにベルの顔を見れた。それが本当に嬉しい。
階段を上り続け、やっと光が見えた。私も久しぶりの外だ。
「全員いるかー?」
息も絶え絶えな生徒たち。平然とするベル。うん、なにも言うまい。
その後疲れているだろうからっていう理由で、今日は帰ることとなった。詳しい説明は後日だという。
「フィリアさん!ベルさん!」
レビンさんからの話が終わり、帰っていいとなった時、キャサリンがテンション高めに駆け寄ってきた。
「キャサリン、怪我ない?」
「ないですわ!それより六大英雄全員に会えたのがもう!」
言葉では言い表せないほど嬉しく、興奮しているようだ。
「良かったねー…」
そんなキャサリンのことを、私はなんとも言えない目で見ていた。
そしてキャサリンの興奮が冷めた後、私は久しぶりに、ベルと一緒に屋敷へ帰ったのだった。
……それを見て一緒に行こうとしたロビンはマリアに捕まっていた。感謝です…。
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