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第4章 王都 学園高等部生活編
第98話 聖剣
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とりあえずロビン達の目線がコルギアスに向いているうちに、翡翠をアイテムボックスに戻しておく。
おそらく翡翠の力は必要になるだろうけど、見せびらかしたくはない。
まぁロビンの持つ聖剣が光を帯びているあたり、それでも倒せる可能性はある…と思う。
「ドノバン!」
「ああ!」
「私も手伝う」
コルギアスが口を開け、ブレスの体勢をとる。
ドノバンさんが前にでて、大盾を構える。私もそれの補助にまわる。
「鉄壁っ!」
ドノバンさんが武闘スキルを発動させるのと同時に結界を展開する。
ドノバンさんを真ん中に△みたいな形にして、ブレスを逃がすように。
「くるぞ!」
グワァァァァァァァ!
黒い炎のようなブレスが襲う。結界を張っているのに熱さを感じる。
「くっ!」
ドノバンさんが苦しそうな声を出す。額からは汗が流れ落ちている。だいぶキツいみたいだ。
私が張った結界は機能している。けれど、結界が軋む音が聞こえる。どんどん魔力が削られていくのが分かる。分かってはいたけどキツい!
「うっ!」
「フィリア!?」
魔力の使いすぎでふらつく。だけど、ここで結界を解除する訳にはいかない!
ドノバンさん自身に張っていた結界を残し、他を解除してその分の魔力を回す。
「フィリア、大丈夫?」
「大、丈夫」
長い!ブレスが長い!
「終わったぞ!」
「よし!」
やっとブレスが終わる。私は結界を解除し、またみんなの分の結界を張り直す。
ふぅ…やっと一息つけるけど、座ったりはできない。臨戦態勢をとる。
「フィリア、もし辛いなら後ろで…」
「大丈夫。それに私だけ休むなんてできない」
魔力を吸収するような感覚はまだある。なので結界は維持しておかないと。
ついでに接近戦をするロビンやドノバンさんの結界は強化しておく。
……あと、マルティエナさんの分も。
マルティエナさんに張っていた結界は破られていた。なので最優先に張り直した。無事かどうかはここからじゃ分からない。無事なことを信じよう。
「くそっ!硬いっ!」
ロビンがそんな言葉を零す。
硬い鱗に覆われたコルギアスの体に刃が入らないようだ。
「ホーリーランス!」
マリアが魔法を行使する。私はそれを更に上乗せで強化する。
「フィリア!?」
マリアが驚いているけど、気にしない。
強化され、より強力になったホーリーランスは、刺さりはしなかったが、鱗を溶かし、素肌をさらけ出すことに成功した。
グキャァァァァァ!!
鱗がやられたことに対する痛みか、怒りか。コルギアスが暴れ出す。
「危ないっ!」
太い尻尾がしなり、ロビンへと襲いかかる。
「…っ!」
それに気づいたドノバンさんが守ろうとするが、もう遅い。
ロビンもバックステップでかわそうとしたが、尻尾が思いのほか長く、避けきれなかった。
「くそっ!」
思わず咄嗟に剣でガードしようとする。
バキンッ!!
……嫌な音が響いた。そのまま、ロビンは壁へと吹き飛ばされた。
「がはっ!」
風魔法で衝突の勢いをある程度殺すことはできたけど、それでもかなりのダメージを受けたようだ。
ロビンの体も……剣も。
「嘘…でしょ…」
ロビンの手には、刃が5分の1ほどだけ残った、剣の柄が握られていた。
「かはっ…」
ロビンが血を吐く。
「パパ!」
私は一気に駆け寄り、魔法で治す。もう身体中がボロボロだ。
「あぁ…ありがとう、フィリア…」
そう言いながら、ロビンは自身の手にある剣を見つめる。
余程ショックだったのだろう。
「接近戦ができるのはロビンだけなのに…!」
マリアが魔法で応戦しながらそう言う。本来ならマルティエナさんがその代わりを務めることができた。しかし、マルティエナさんは今戦力にならない。
「私しかいないか…」
「フィリア…いや、フィリアはいい。俺がいく」
「でも…」
「大丈夫だ。体はフィリアが治してくれたろ?剣ならまだ予備がある」
予備であっても、聖剣ではない。ただの鋼の剣だ。
それなりの業物だろうが、コルギアスには効かない。
「じゃあ私の…」
私は自分の剣を差し出そうとする。
「いや、それはフィリアが持っておけ。それはフィリアの武器だ」
「でも……」
何か、ないの?何か…聖剣の代わりになる物が………
「……あ」
あるじゃないか。まさにうってつけの剣が。
「パパ。これ使って」
私はアイテムボックスから、真っ黒な剣を取り出した。
「これ……どこで」
ロビンは気づいたようだ。
ロビンに渡したのは……コルギアスの魔剣。かつてギルディア魔国で戦った男が持っていた剣。説明文には、聖剣に近いと書かれていた。これならば……
「内緒。でも、聖剣と同じ力があるはず」
「内緒って……まぁいい。それじゃあ、借りるぞ」
ロビンが立ち上がり、魔剣に魔力を流し始める。
すると、青白い光が刀身を包む。
「これは……」
ロビンが驚きの声を上げる。私も正直驚いた。それは、翡翠と同じ光だったから。
グルワァ!?
コルギアスも力の流れに気づいたのか、驚いた様子でこちらへと目線を向ける。
………そして、その赤い目がさらに赤く光る。そら、自分の素材で作られた剣だものね。怒り狂うわ。
「フィリア、アイツの気を逸らせるか?」
「分かった」
出来るかどうかは分からないけど。
ひとまず私は一気にコルギアスへと走り込む。
ギャァァァ!!
甲高い鳴き声を上げ、簡易型のブレスを吐く体勢になる。
「フィリア!?」
後ろからロビンの声が聞こえる。それでも私は構わずそのまま突っ込んだ。
さぁ。格好の的だよ。
───────────
やっと魔剣を出せた……無計画でやるもんじゃない。
おそらく翡翠の力は必要になるだろうけど、見せびらかしたくはない。
まぁロビンの持つ聖剣が光を帯びているあたり、それでも倒せる可能性はある…と思う。
「ドノバン!」
「ああ!」
「私も手伝う」
コルギアスが口を開け、ブレスの体勢をとる。
ドノバンさんが前にでて、大盾を構える。私もそれの補助にまわる。
「鉄壁っ!」
ドノバンさんが武闘スキルを発動させるのと同時に結界を展開する。
ドノバンさんを真ん中に△みたいな形にして、ブレスを逃がすように。
「くるぞ!」
グワァァァァァァァ!
黒い炎のようなブレスが襲う。結界を張っているのに熱さを感じる。
「くっ!」
ドノバンさんが苦しそうな声を出す。額からは汗が流れ落ちている。だいぶキツいみたいだ。
私が張った結界は機能している。けれど、結界が軋む音が聞こえる。どんどん魔力が削られていくのが分かる。分かってはいたけどキツい!
「うっ!」
「フィリア!?」
魔力の使いすぎでふらつく。だけど、ここで結界を解除する訳にはいかない!
ドノバンさん自身に張っていた結界を残し、他を解除してその分の魔力を回す。
「フィリア、大丈夫?」
「大、丈夫」
長い!ブレスが長い!
「終わったぞ!」
「よし!」
やっとブレスが終わる。私は結界を解除し、またみんなの分の結界を張り直す。
ふぅ…やっと一息つけるけど、座ったりはできない。臨戦態勢をとる。
「フィリア、もし辛いなら後ろで…」
「大丈夫。それに私だけ休むなんてできない」
魔力を吸収するような感覚はまだある。なので結界は維持しておかないと。
ついでに接近戦をするロビンやドノバンさんの結界は強化しておく。
……あと、マルティエナさんの分も。
マルティエナさんに張っていた結界は破られていた。なので最優先に張り直した。無事かどうかはここからじゃ分からない。無事なことを信じよう。
「くそっ!硬いっ!」
ロビンがそんな言葉を零す。
硬い鱗に覆われたコルギアスの体に刃が入らないようだ。
「ホーリーランス!」
マリアが魔法を行使する。私はそれを更に上乗せで強化する。
「フィリア!?」
マリアが驚いているけど、気にしない。
強化され、より強力になったホーリーランスは、刺さりはしなかったが、鱗を溶かし、素肌をさらけ出すことに成功した。
グキャァァァァァ!!
鱗がやられたことに対する痛みか、怒りか。コルギアスが暴れ出す。
「危ないっ!」
太い尻尾がしなり、ロビンへと襲いかかる。
「…っ!」
それに気づいたドノバンさんが守ろうとするが、もう遅い。
ロビンもバックステップでかわそうとしたが、尻尾が思いのほか長く、避けきれなかった。
「くそっ!」
思わず咄嗟に剣でガードしようとする。
バキンッ!!
……嫌な音が響いた。そのまま、ロビンは壁へと吹き飛ばされた。
「がはっ!」
風魔法で衝突の勢いをある程度殺すことはできたけど、それでもかなりのダメージを受けたようだ。
ロビンの体も……剣も。
「嘘…でしょ…」
ロビンの手には、刃が5分の1ほどだけ残った、剣の柄が握られていた。
「かはっ…」
ロビンが血を吐く。
「パパ!」
私は一気に駆け寄り、魔法で治す。もう身体中がボロボロだ。
「あぁ…ありがとう、フィリア…」
そう言いながら、ロビンは自身の手にある剣を見つめる。
余程ショックだったのだろう。
「接近戦ができるのはロビンだけなのに…!」
マリアが魔法で応戦しながらそう言う。本来ならマルティエナさんがその代わりを務めることができた。しかし、マルティエナさんは今戦力にならない。
「私しかいないか…」
「フィリア…いや、フィリアはいい。俺がいく」
「でも…」
「大丈夫だ。体はフィリアが治してくれたろ?剣ならまだ予備がある」
予備であっても、聖剣ではない。ただの鋼の剣だ。
それなりの業物だろうが、コルギアスには効かない。
「じゃあ私の…」
私は自分の剣を差し出そうとする。
「いや、それはフィリアが持っておけ。それはフィリアの武器だ」
「でも……」
何か、ないの?何か…聖剣の代わりになる物が………
「……あ」
あるじゃないか。まさにうってつけの剣が。
「パパ。これ使って」
私はアイテムボックスから、真っ黒な剣を取り出した。
「これ……どこで」
ロビンは気づいたようだ。
ロビンに渡したのは……コルギアスの魔剣。かつてギルディア魔国で戦った男が持っていた剣。説明文には、聖剣に近いと書かれていた。これならば……
「内緒。でも、聖剣と同じ力があるはず」
「内緒って……まぁいい。それじゃあ、借りるぞ」
ロビンが立ち上がり、魔剣に魔力を流し始める。
すると、青白い光が刀身を包む。
「これは……」
ロビンが驚きの声を上げる。私も正直驚いた。それは、翡翠と同じ光だったから。
グルワァ!?
コルギアスも力の流れに気づいたのか、驚いた様子でこちらへと目線を向ける。
………そして、その赤い目がさらに赤く光る。そら、自分の素材で作られた剣だものね。怒り狂うわ。
「フィリア、アイツの気を逸らせるか?」
「分かった」
出来るかどうかは分からないけど。
ひとまず私は一気にコルギアスへと走り込む。
ギャァァァ!!
甲高い鳴き声を上げ、簡易型のブレスを吐く体勢になる。
「フィリア!?」
後ろからロビンの声が聞こえる。それでも私は構わずそのまま突っ込んだ。
さぁ。格好の的だよ。
───────────
やっと魔剣を出せた……無計画でやるもんじゃない。
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