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第4章 王都 学園高等部生活編
第90話 罠
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えっとー…今の状況を説明しますと……落ちてます。絶賛急降下中です。
「ちょっと待ってぇぇぇ!!?」
「うおぉぉぉ!?」
なんでこんなことになってるのか。それはほんのちょっと時間が遡る。
───────
「いねぇな…」
5階層からずっと進んでいるけれど、一向に魔物の気配はない。とはいえ、気配を消すことができる魔物もいるにはいるので、警戒し続ける必要がある。
「フィリアも反応ない?」
「うん…全く」
ダンジョンの力を奪っているのなら、魔物がいないということも理解できる。ただ、今まで行方不明になっている人はここを通ったってことだよね。不信に思わなかったのかな?
「とりあえず、一旦戻るか?」
まだ私たちは6階層にいる。5階層のゲートキーパー部屋に戻ることは可能。確かに一旦戻って状況を整理したほうがいいかもしれない。ゲートキーパーは時間が経つと復活するそうだけど、それにはまだ時間があるらしい。
「ええ、そうね。戻りましょうか」
私たちは道を引き返して5階層へ戻ることにした。
……だけど
ガチャンッ!
「へ?」
「お?」
「え?」
戻ろうとした矢先、突然私たちの下の地面が開いた。
「えぇぇぇぇ!?」
そして冒頭に戻る。いや、まさか地面が落とし穴の罠になってるなんて、夢にも思わなかったんだもの。
「どこまで落ちるんだよぉぉぉ!」
ロビンの悲痛な叫びが木霊する。絶対このまま地面に衝突したら死ぬ!
「あ!」
突然地面が目に入る。ヤバい!?
「エアクッション!!」
咄嗟に魔法を使う。エアクッションはその名の通り空気のクッション。かなりの速度で落ちてきたはずだから、魔力を多めに込めて発動させる。
ボフンッ!
せ、成功…
「助かったぁ…」
「ええ…ありがとう、フィリア…」
マリアもリーナもパニック状態だったから、とても魔法は使えなそうだったのよね。咄嗟に魔法を使えた自分を褒めたい。
「ここは…」
ライトはまだ健在なので、落ちた場所がよく見える。
「横穴…?それに壁に魔石が埋まってる…」
どうやらただの穴ではないらしい。マリアの言葉通り本来落とし穴にはないだろう横穴があって、壁には無数の小さな魔石が埋まっていた。
「これは…エアクッションの魔法が込められた魔石?」
それが埋め込まれているってことは、どうやら死なせるつもりはなかったみたい。でも、なんのために?
「ひとまず、動けるか?」
「ああ、大丈夫だ」
「私もよ」
一応みんなを鑑定してみると、擦り傷はあっても大した怪我はないみたい。
「…進むしかないか」
どちらにしろ上に上がるつもりはない。魔法を使えば可能かもしれないけど、わざわざこんな怪しい装置を放っておく訳にはいかないもの。
ドノバンさんを先頭に横穴へと入っていく。すると気配察知が曇ったような感覚になった。どうやら妨害されているみたい。
「怪しすぎるわね…」
「うん…それに魔法もちょっと使いにくい」
ずっとライトを使ってるから分かるけど、いつもより魔力の消費が多い。と言っても私にとっては微々たるものだけどね。
「え、本当に?……確かにそうね」
マリアが軽い風を起こして確認する。
「消費が多いというより…」
「吸収されてる感じ?」
そう。感覚的には吸われてる気がする。そのせいで魔法を発動するのに必要な魔力が多くなっているみたい。それに体からも少し吸われてる。
「ひとまず、結界」
全員の体に結界を纏わせる。これで魔力が吸われることはないはず。
「フィリア、ほんとに大丈夫なの?そんなに使って…」
「うん…」
正直言って、怖い。無くなるかじゃなくて……多すぎて。いくら使っても無くなる気がしない。また増えたかなぁ…?
「無理しないでよ?…あなたは私の大切な子なんだから」
「うん…ありがと」
直接は言ってないけど、おそらく私が使徒だからって関係ないって言いたいんだと思う。使徒であっても大切な子には変わりない、と。
……嬉しいね。
「おい、分かれ道だ」
先行していたドノバンさんの先には7つの分かれ道。7つ…?
今私たちは全員で7人。丁度同じ。いや…これは…
「これって明らかにわざとよね?」
マリアがそう呟く。明らかにわざとだ。
1本1本の道は人1人がかろうじて通れる程度。
「あえて乗るか」
「…そう、ね」
マリアが迷いながら返事をする。理由は多分…私だ。
「ママ、大丈夫だから」
「フィリア……ええ、そうね。だって私の子だものね」
マリアの瞳は未だ迷いの色が見える。だけど、例えこれがもし罠だったとしても、私は行く。わざわざこんなことをするのには理由があるはずだから。
「よし。じゃあ俺はこっち」
「私はここを行くわ」
「じゃあここだ」
「私はここ」
それぞれが配置に着く。私は1番右端。マリアはその隣り。
「なにかあったらここまで戻ってくることにしよう。みんな十分に気をつけてな」
「ええ、もちろん」
頷き合い、一斉に通路へと入っていく。マリアも覚悟を決めたらしく、1度私を心配そうに見てから、入っていった。
「私も…」
結界は残してあるけど、ライトは一つだけ。まぁ簡単な魔法だから、それぞれが発動させるよね。
そう思って、私は通路へと足を踏み入れた。
「ちょっと待ってぇぇぇ!!?」
「うおぉぉぉ!?」
なんでこんなことになってるのか。それはほんのちょっと時間が遡る。
───────
「いねぇな…」
5階層からずっと進んでいるけれど、一向に魔物の気配はない。とはいえ、気配を消すことができる魔物もいるにはいるので、警戒し続ける必要がある。
「フィリアも反応ない?」
「うん…全く」
ダンジョンの力を奪っているのなら、魔物がいないということも理解できる。ただ、今まで行方不明になっている人はここを通ったってことだよね。不信に思わなかったのかな?
「とりあえず、一旦戻るか?」
まだ私たちは6階層にいる。5階層のゲートキーパー部屋に戻ることは可能。確かに一旦戻って状況を整理したほうがいいかもしれない。ゲートキーパーは時間が経つと復活するそうだけど、それにはまだ時間があるらしい。
「ええ、そうね。戻りましょうか」
私たちは道を引き返して5階層へ戻ることにした。
……だけど
ガチャンッ!
「へ?」
「お?」
「え?」
戻ろうとした矢先、突然私たちの下の地面が開いた。
「えぇぇぇぇ!?」
そして冒頭に戻る。いや、まさか地面が落とし穴の罠になってるなんて、夢にも思わなかったんだもの。
「どこまで落ちるんだよぉぉぉ!」
ロビンの悲痛な叫びが木霊する。絶対このまま地面に衝突したら死ぬ!
「あ!」
突然地面が目に入る。ヤバい!?
「エアクッション!!」
咄嗟に魔法を使う。エアクッションはその名の通り空気のクッション。かなりの速度で落ちてきたはずだから、魔力を多めに込めて発動させる。
ボフンッ!
せ、成功…
「助かったぁ…」
「ええ…ありがとう、フィリア…」
マリアもリーナもパニック状態だったから、とても魔法は使えなそうだったのよね。咄嗟に魔法を使えた自分を褒めたい。
「ここは…」
ライトはまだ健在なので、落ちた場所がよく見える。
「横穴…?それに壁に魔石が埋まってる…」
どうやらただの穴ではないらしい。マリアの言葉通り本来落とし穴にはないだろう横穴があって、壁には無数の小さな魔石が埋まっていた。
「これは…エアクッションの魔法が込められた魔石?」
それが埋め込まれているってことは、どうやら死なせるつもりはなかったみたい。でも、なんのために?
「ひとまず、動けるか?」
「ああ、大丈夫だ」
「私もよ」
一応みんなを鑑定してみると、擦り傷はあっても大した怪我はないみたい。
「…進むしかないか」
どちらにしろ上に上がるつもりはない。魔法を使えば可能かもしれないけど、わざわざこんな怪しい装置を放っておく訳にはいかないもの。
ドノバンさんを先頭に横穴へと入っていく。すると気配察知が曇ったような感覚になった。どうやら妨害されているみたい。
「怪しすぎるわね…」
「うん…それに魔法もちょっと使いにくい」
ずっとライトを使ってるから分かるけど、いつもより魔力の消費が多い。と言っても私にとっては微々たるものだけどね。
「え、本当に?……確かにそうね」
マリアが軽い風を起こして確認する。
「消費が多いというより…」
「吸収されてる感じ?」
そう。感覚的には吸われてる気がする。そのせいで魔法を発動するのに必要な魔力が多くなっているみたい。それに体からも少し吸われてる。
「ひとまず、結界」
全員の体に結界を纏わせる。これで魔力が吸われることはないはず。
「フィリア、ほんとに大丈夫なの?そんなに使って…」
「うん…」
正直言って、怖い。無くなるかじゃなくて……多すぎて。いくら使っても無くなる気がしない。また増えたかなぁ…?
「無理しないでよ?…あなたは私の大切な子なんだから」
「うん…ありがと」
直接は言ってないけど、おそらく私が使徒だからって関係ないって言いたいんだと思う。使徒であっても大切な子には変わりない、と。
……嬉しいね。
「おい、分かれ道だ」
先行していたドノバンさんの先には7つの分かれ道。7つ…?
今私たちは全員で7人。丁度同じ。いや…これは…
「これって明らかにわざとよね?」
マリアがそう呟く。明らかにわざとだ。
1本1本の道は人1人がかろうじて通れる程度。
「あえて乗るか」
「…そう、ね」
マリアが迷いながら返事をする。理由は多分…私だ。
「ママ、大丈夫だから」
「フィリア……ええ、そうね。だって私の子だものね」
マリアの瞳は未だ迷いの色が見える。だけど、例えこれがもし罠だったとしても、私は行く。わざわざこんなことをするのには理由があるはずだから。
「よし。じゃあ俺はこっち」
「私はここを行くわ」
「じゃあここだ」
「私はここ」
それぞれが配置に着く。私は1番右端。マリアはその隣り。
「なにかあったらここまで戻ってくることにしよう。みんな十分に気をつけてな」
「ええ、もちろん」
頷き合い、一斉に通路へと入っていく。マリアも覚悟を決めたらしく、1度私を心配そうに見てから、入っていった。
「私も…」
結界は残してあるけど、ライトは一つだけ。まぁ簡単な魔法だから、それぞれが発動させるよね。
そう思って、私は通路へと足を踏み入れた。
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