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第3章 王都 学園中等部生活編
第65話 模擬戦...
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教室を後にして、闘技場に向かった。
闘技場に入ると、入り口でミシャちゃんが待っていた。
「お待たせ。待った?」
「大丈夫。じゃあやろ」
そう言って闘技場へ入っていくミシャちゃんの後をついて行く。
「どういう形式の模擬戦なの?」
するとミシャちゃんは、ひとつのネックレスを差し出した。
「これは?」
「これはこの闘技場に張ってある結界と連動してて、死んじゃうくらいの攻撃を受けたとき、強制的に闘技場から出す魔道具なの」
ほぇー。そんな魔道具があったんだ。
早速付けてみる。すると一瞬だけ、なんだか体が覆われる感じがした。
...ていうか、それって闘技場じゃなかったら死んじゃうくらいの模擬戦をするってことだよね...
「じゃあ...」
「こんなとこにいたか!媚び売り女!」
ミシャちゃんが開始の合図をしようとしたところで、そう叫びながら闘技場に人が入ってきた。てか媚び売り女って?
「が、ガブリエル様?!」
ミシャちゃんが驚いてる。まぁそれもそうかな。ガブリエル、本名、ガブリエル・スペリオ。スペリオ公爵家の三男にあたる。三男なので家を継ぐ資格はない。それなのに両親が溺愛しているせいで、色々と残念な人。
「ふん!この俺様が来たのに表情ひとつ変えないとはな!」
うわぁー俺様だってー、俺様。嫌だねぇー。
「おい!聞いているのか!」
あら?どうやら私に向かって話していたみたい。
「なんでしょうか?」
「とぼけるな!この媚び売り女!」
...はい?私がいつ媚びなんて売ったっけ?
「...意味が分からないのですが?」
「とぼけても無駄だ!あれだけアレク殿下に媚びを売っておいて!」
えっとー...うん、ものすごく訂正したい。
「...私がいつ媚びなんて売ったでしょうか?」
「しらばっくれるな!アレク殿下といつも一緒にいる俺様が分からないとでも思ったか!」
あ、そうそう。この人アレク殿下の取り巻きだったりする。だからなんというか...虎の威を借る狐みたいな?
...まぁアレク殿下の目的は別にあるんだけどね。その事には気づいていないっぽい。
てか、私媚び売るどころか、むしろアレク殿下のこと邪険に思ってたんだけど?
「言いがかりです。媚びを売ったことなど1度もありません」
「嘘をつくな!」
「では、アレク殿下に聞いてみてはいかがでしょうか?」
「なに!?俺様の追求を否定するというのか!」
「そうではなく...あーもう。ちゃっちゃと出てきてくださいよ!そこにいますよね?」
私はそう言って、誰もいない壁を睨みつけた。
「おい!一体なにを...」
「いやぁ~バレてたか」
「な?!」
まぁ驚くの無理はない。アレク殿下は、気配を完璧に隠蔽して、忍者みたいに壁に化けてたんだから。
「よく気がついたね」
「たまたまですよ。それで?この騒動どうしてくれるんです?」
「どうしようかなぁ~。僕の取り巻きだし」
「そ、そうだ!俺様はアレク殿下の取り巻きだぞ!」
はぁ~...もうこの人可哀想になってきた。
「アレク殿下...それ、ほんとに言ってます?」
「な?!なにを言って...」
「ほう?本当じゃないなら、ガブリエルと僕の関係はなんなんだい?」
...この人、絶対楽しんでる。
「...言っていいんですか?」
「ああ。もう終わったからね」
「アレク殿下?一体なにを言って...」
まぁガブリエル様...様いらないかな。ガブリエルはなにも知らなかっただろうしね。
「アレク殿下がガブリエル...様に近づいたのは、ガブリエル...様のお父様について調べるためなのでは?」
「父上だと?どういうことです?アレク殿下」
「ガブリエル、今は黙っていてくれ。後で話す。それで?僕はなにを調べようとしていたのかな?」
...アレク殿下の狙いはなんだ?なんで私に話させる?
「...それ以上は」
「嘘は良くないよ。もう知ってるんだろう?」
...こうして話してると、さすが王族だって感じる。こういうタイプの人と話すのは苦手だ...
「はぁ...アレク殿下が調べていたのは、ガブリエル...様のお父様、ロンドリア・スペリオ様の悪事についてなのでは?」
「父上が悪事だと?ふざけるな!!」
ガブリエルが怒ってるけど、これは本当のこと。なんでこんなこと知ってるのかっていうと、学園に通うにあたって、リーナが色々と教えてくれたから。この貴族は大丈夫だとか、あの貴族はダメだとか、そんな感じで。
「そこまで分かっていたか...じゃあその悪事が何かも知ってるね?」
「...憶測ですが」
「構わない。話してくれ」
...なんでそこまで話す必要がある?
「...何故です?」
「うん?何がだい?」
「アレク殿下は全て分かっているのでしょう?なぜ私の話を聞くのです?」
「面白そうだから」
そう言って静かに微笑んだ。やっぱり苦手だ。
「...ロンドリア様がしていたのは高利貸し、奴隷商、市場の値のつり上げ、闇ギルドとの繋がり...そんなところでしょうか?」
闇ギルドっていうのは、お金で殺し、窃盗などの仕事を引き受ける組織の名称だ。
「...さすがだね」
どこがさすがなのだろうか?まぁ私も気になったから、少し調査したけどね。そしたら出るわ出るわ。よく今まで捕まらなかったなーって思うほどにね。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!アレク殿下!嘘ですよね?」
ガブリエルは必死の形相でアレク殿下にしがみついたけど、本当のことだしね。アレク殿下は終わったって言ったから、多分もう捕まってるね。
「いや、本当のことだ。ただ、君はこの件に関わっていないことが判明したから、捕まることはない」
「捕まることはないって...じゃあ父上は?!父上はどうなるのです?」
「君の父親...ロンドリア・スペリオは今回、国の法律を破ったとして裁かれる。恐らく、もう出ることはできないだろう」
出ることができない...それは外に出ることができないってことだろうね。
「そ、そんな...」
ガブリエルは膝から崩れ落ちた。まぁ今まで溺愛してくれていた父親がそんなことしてたなんて知らなかったんだもんね。
「君のお兄さんはこの件に関わっていたから同罪だ。無罪なのは君の母親、妹だけだったよ」
...てことはガブリエルが家を継ぐの?なんかヤバそう...
「は、母上は無罪なのですね?」
「ああ。これからの話は、母親と話すといい」
「...はい、分かりました。失礼します」
そう言ってガブリエルは去っていった。最初の威勢はどこへやら。とぼとぼと帰っていった。
「さてと。じゃあ2人の模擬戦を見学させて貰おうかな」
...なんで爽やかな笑顔でそんなこと言ってくるんだ...
「え!?あ、アレク殿下が?!え、ちょ、どどどうしよう?!」
ミシャちゃん、こういう立場の人苦手なのかな?だけど、これは絶好のチャンスかも!
「アレク殿下、ミシャちゃんがとてもこの状態では戦えないので今日は...」
「...そうか、残念だ(見せてはくれないか...)」
しっかり聞こえてますよ~。見せるわけないじゃん。
アレク殿下が去ってから、仕切り直して模擬戦を開始した。
「いくよ!ファイヤーボール!」
「ウォーターボール」
互いに魔法をぶつけ合う。だけど、このままだったら魔力量で上回る私が勝っちゃう...
「はぁはぁ...」
ミシャちゃんはだいぶ消耗してるね。
「ここまで力の差があるとは...降参よ」
あれ?
「いいの?」
「いいも悪いも、今の私だったら全く歯がたたないもの...」
まぁそうかもね。まだ本気ではないけど、このままやってたら手加減をいつか間違ったかも...降参してくれて助かったよ。
「ただし!今度は私が勝つからね!」
「うん。何時でも相手するよ」
「約束だからね!」
「もちろん」
さすがに夜とかにこないよね...こないよね?!なんか今のミシャちゃんのキャラが違い過ぎて、しそうな気がしてならないんだけど...
「じゃあまた明日!」
「う、うん。また明日」
物静かな感じだったのに、なんか変わったなぁ...ま、それが本来のミシャちゃんなのかな?
ミシャちゃんと別れ、私は学園を後にした。
...その時、私はこれから毎日放課後に、ミシャちゃんから模擬戦を挑まれることになるとは知りもしなかった...
闘技場に入ると、入り口でミシャちゃんが待っていた。
「お待たせ。待った?」
「大丈夫。じゃあやろ」
そう言って闘技場へ入っていくミシャちゃんの後をついて行く。
「どういう形式の模擬戦なの?」
するとミシャちゃんは、ひとつのネックレスを差し出した。
「これは?」
「これはこの闘技場に張ってある結界と連動してて、死んじゃうくらいの攻撃を受けたとき、強制的に闘技場から出す魔道具なの」
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早速付けてみる。すると一瞬だけ、なんだか体が覆われる感じがした。
...ていうか、それって闘技場じゃなかったら死んじゃうくらいの模擬戦をするってことだよね...
「じゃあ...」
「こんなとこにいたか!媚び売り女!」
ミシャちゃんが開始の合図をしようとしたところで、そう叫びながら闘技場に人が入ってきた。てか媚び売り女って?
「が、ガブリエル様?!」
ミシャちゃんが驚いてる。まぁそれもそうかな。ガブリエル、本名、ガブリエル・スペリオ。スペリオ公爵家の三男にあたる。三男なので家を継ぐ資格はない。それなのに両親が溺愛しているせいで、色々と残念な人。
「ふん!この俺様が来たのに表情ひとつ変えないとはな!」
うわぁー俺様だってー、俺様。嫌だねぇー。
「おい!聞いているのか!」
あら?どうやら私に向かって話していたみたい。
「なんでしょうか?」
「とぼけるな!この媚び売り女!」
...はい?私がいつ媚びなんて売ったっけ?
「...意味が分からないのですが?」
「とぼけても無駄だ!あれだけアレク殿下に媚びを売っておいて!」
えっとー...うん、ものすごく訂正したい。
「...私がいつ媚びなんて売ったでしょうか?」
「しらばっくれるな!アレク殿下といつも一緒にいる俺様が分からないとでも思ったか!」
あ、そうそう。この人アレク殿下の取り巻きだったりする。だからなんというか...虎の威を借る狐みたいな?
...まぁアレク殿下の目的は別にあるんだけどね。その事には気づいていないっぽい。
てか、私媚び売るどころか、むしろアレク殿下のこと邪険に思ってたんだけど?
「言いがかりです。媚びを売ったことなど1度もありません」
「嘘をつくな!」
「では、アレク殿下に聞いてみてはいかがでしょうか?」
「なに!?俺様の追求を否定するというのか!」
「そうではなく...あーもう。ちゃっちゃと出てきてくださいよ!そこにいますよね?」
私はそう言って、誰もいない壁を睨みつけた。
「おい!一体なにを...」
「いやぁ~バレてたか」
「な?!」
まぁ驚くの無理はない。アレク殿下は、気配を完璧に隠蔽して、忍者みたいに壁に化けてたんだから。
「よく気がついたね」
「たまたまですよ。それで?この騒動どうしてくれるんです?」
「どうしようかなぁ~。僕の取り巻きだし」
「そ、そうだ!俺様はアレク殿下の取り巻きだぞ!」
はぁ~...もうこの人可哀想になってきた。
「アレク殿下...それ、ほんとに言ってます?」
「な?!なにを言って...」
「ほう?本当じゃないなら、ガブリエルと僕の関係はなんなんだい?」
...この人、絶対楽しんでる。
「...言っていいんですか?」
「ああ。もう終わったからね」
「アレク殿下?一体なにを言って...」
まぁガブリエル様...様いらないかな。ガブリエルはなにも知らなかっただろうしね。
「アレク殿下がガブリエル...様に近づいたのは、ガブリエル...様のお父様について調べるためなのでは?」
「父上だと?どういうことです?アレク殿下」
「ガブリエル、今は黙っていてくれ。後で話す。それで?僕はなにを調べようとしていたのかな?」
...アレク殿下の狙いはなんだ?なんで私に話させる?
「...それ以上は」
「嘘は良くないよ。もう知ってるんだろう?」
...こうして話してると、さすが王族だって感じる。こういうタイプの人と話すのは苦手だ...
「はぁ...アレク殿下が調べていたのは、ガブリエル...様のお父様、ロンドリア・スペリオ様の悪事についてなのでは?」
「父上が悪事だと?ふざけるな!!」
ガブリエルが怒ってるけど、これは本当のこと。なんでこんなこと知ってるのかっていうと、学園に通うにあたって、リーナが色々と教えてくれたから。この貴族は大丈夫だとか、あの貴族はダメだとか、そんな感じで。
「そこまで分かっていたか...じゃあその悪事が何かも知ってるね?」
「...憶測ですが」
「構わない。話してくれ」
...なんでそこまで話す必要がある?
「...何故です?」
「うん?何がだい?」
「アレク殿下は全て分かっているのでしょう?なぜ私の話を聞くのです?」
「面白そうだから」
そう言って静かに微笑んだ。やっぱり苦手だ。
「...ロンドリア様がしていたのは高利貸し、奴隷商、市場の値のつり上げ、闇ギルドとの繋がり...そんなところでしょうか?」
闇ギルドっていうのは、お金で殺し、窃盗などの仕事を引き受ける組織の名称だ。
「...さすがだね」
どこがさすがなのだろうか?まぁ私も気になったから、少し調査したけどね。そしたら出るわ出るわ。よく今まで捕まらなかったなーって思うほどにね。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!アレク殿下!嘘ですよね?」
ガブリエルは必死の形相でアレク殿下にしがみついたけど、本当のことだしね。アレク殿下は終わったって言ったから、多分もう捕まってるね。
「いや、本当のことだ。ただ、君はこの件に関わっていないことが判明したから、捕まることはない」
「捕まることはないって...じゃあ父上は?!父上はどうなるのです?」
「君の父親...ロンドリア・スペリオは今回、国の法律を破ったとして裁かれる。恐らく、もう出ることはできないだろう」
出ることができない...それは外に出ることができないってことだろうね。
「そ、そんな...」
ガブリエルは膝から崩れ落ちた。まぁ今まで溺愛してくれていた父親がそんなことしてたなんて知らなかったんだもんね。
「君のお兄さんはこの件に関わっていたから同罪だ。無罪なのは君の母親、妹だけだったよ」
...てことはガブリエルが家を継ぐの?なんかヤバそう...
「は、母上は無罪なのですね?」
「ああ。これからの話は、母親と話すといい」
「...はい、分かりました。失礼します」
そう言ってガブリエルは去っていった。最初の威勢はどこへやら。とぼとぼと帰っていった。
「さてと。じゃあ2人の模擬戦を見学させて貰おうかな」
...なんで爽やかな笑顔でそんなこと言ってくるんだ...
「え!?あ、アレク殿下が?!え、ちょ、どどどうしよう?!」
ミシャちゃん、こういう立場の人苦手なのかな?だけど、これは絶好のチャンスかも!
「アレク殿下、ミシャちゃんがとてもこの状態では戦えないので今日は...」
「...そうか、残念だ(見せてはくれないか...)」
しっかり聞こえてますよ~。見せるわけないじゃん。
アレク殿下が去ってから、仕切り直して模擬戦を開始した。
「いくよ!ファイヤーボール!」
「ウォーターボール」
互いに魔法をぶつけ合う。だけど、このままだったら魔力量で上回る私が勝っちゃう...
「はぁはぁ...」
ミシャちゃんはだいぶ消耗してるね。
「ここまで力の差があるとは...降参よ」
あれ?
「いいの?」
「いいも悪いも、今の私だったら全く歯がたたないもの...」
まぁそうかもね。まだ本気ではないけど、このままやってたら手加減をいつか間違ったかも...降参してくれて助かったよ。
「ただし!今度は私が勝つからね!」
「うん。何時でも相手するよ」
「約束だからね!」
「もちろん」
さすがに夜とかにこないよね...こないよね?!なんか今のミシャちゃんのキャラが違い過ぎて、しそうな気がしてならないんだけど...
「じゃあまた明日!」
「う、うん。また明日」
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