上 下
57 / 159
第3章 王都 学園中等部生活編

第57話 その頃のベル

しおりを挟む
「ふわぁー...」

うーん...まだ眠い。学園は休みだけど、こういう休みの時でもちゃんと起きないといけないとお父さんから言われてるから、ちゃんと起きないと...

「...よいしょっと」

ベットから起きて顔を洗う。着替えは...今日は依頼を受けたいから、動きやすい服にしよっと。

下に降りて、いつもご飯を食べる部屋にいくと、セバスチャンさんしかいなかった。

「おはようございます、ベル様」
「おはようございます。あの...フィリアちゃんやカトリーナ様は...」
「フィリア様とカトリーナ様はもう既にお出かけになられました」

お出かけ?

「どこに行ったんですか?」
「フィリア様の精密検査のために学園に向かうと聞いています」

あ、そう言えばそんなことを言ってた気がする。

「いつ帰ってくるか分かりますか?」
「日暮れまでには帰ってくると聞いています」

日暮れかぁ...じゃあフィリアちゃんとは今日一緒にいけないかな。

「朝食にいたしますか?」
「あ、お願いします。あとお昼ご飯を2人分お願いできますか?」
「はい、もちろんでございます」

セバスチャンさんが朝ごはんの用意をしてくれて、食べている間にお昼ご飯のサンドイッチの用意もしてくれた。私はフィリアちゃんみたいに収納魔法が使えないから、リュックに入れられるように蓋付きのバスケットに入れもらった。

「ありがとうございます!」
「いえ、お気をつけて」
「はい!行ってきます!」

ポーションやお昼ご飯、矢、弓、短剣などを持って、ある場所へ。

「すいませーん。シリル君いますか?」

私がやってきたのは孤児院。なんかいつの間にかフィリアちゃんの弟子になったシリル君を迎えに来た。シリル君はこの孤児院の子達のために一生懸命頑張ってて、今日はランクアップの依頼を受ける予定なんだよね。もともとフィリアちゃんと一緒にやる予定だったんだけど、フィリアちゃんは予定が出来ちゃったし、私1人で依頼をうけるのもなんか寂しいので、ついでにやることにした。

「あ、ベルお姉ちゃん!いらっしゃい!」

この孤児院には何回かきてるから、私の事を知ってる子達がいっぱいいる。フィリアちゃんは子供が苦手だとかいって来ないけどね。フィリアちゃん自身も十分子供だと思うけど。

「シリル君呼んでくれる?」
「分かった!シリルお兄ちゃーん!ベルお姉ちゃんがきたよー!」
「あ、分かった!今行く!」

奥の方からシリル君の声が聞こえて、その直後に走ってくる足音が聞こえてきた。

「悪ぃ、待ったか?」
「ううん、今来たとこ」

シリル君のランクはまだG。私とフィリアちゃんはEランク。でもシリル君もそれくらいの実力はあると思う。じゃあなんでGなのかっていうと、フィリアちゃんがする依頼にシリル君を強制参加させてるから。それはシリル君が依頼を受けてる訳じゃないから、依頼達成にカウントされなくて、ランクが上がらない。経験を積ませるためらしいけど、もう十分積んでると思う...。

シリル君が使うのは剣と盾。フィリアちゃんが言うには、シリル君は動きはいいけど、いざって時に動けなくなって避けるのが下手だから、盾を使わせてるんだって。だからタンクの人が使うような大盾じゃなくて、金属で補強された木製の取り回しやすい小さめの盾を使ってる。魔法は魔力はあるんだけど、適性が少なくて、雷と無属性しか使えない。基本は剣で攻撃する。

「じゃ、いくか...って師匠は?」
「ぷっくく...」

フィリアちゃんが師匠って呼ばれてることがなんか面白くて、つい笑っちゃった。

「お、おーい」
「あ、ごめんごめん。フィリアちゃんは予定が出来ちゃって、来れないって」
「そうか。なら2人だけか」
「そうだよ」
「あ!お兄ちゃんデート?」
「んなわけあるか!」

そう言ってシリル君はデートと言ってきた男の子の頭にゲンコツを落とした。

「いったぁ!」

うわぁ、痛そー...って、デートか...そう言われるとなんだか恥ずかしいなぁ...

「ったく。じゃ、いくか」
「う、うん!」

とりあえずシリル君とギルドに向かう。

「うーん...受けるのはこのあたりかな」

ランクアップのためにFランクの依頼を受ける。ゴブリンの討伐依頼あたりがいいかな?シリル君もう既に1人で倒せるし。

「ゴブリン討伐でいい?」
「ああ、ベルはどうすんだ?」

一緒にゴブリンをやってもいいけど、それだとシリル君のためにならないから、別の依頼を受けるんだけど...

「うーん...いいのがないなぁ」

もうだいぶ依頼の数は無くなっていて、私1人でできるちょうどいい依頼がないから、薬草採取にしようかな。

「私は今日は常時依頼にする」
「そうか。じゃあ俺は依頼受けてくるな」
「うん。出口で待ってるね」

シリル君は受付に行ったから、私はギルドの出入口で待つ。

「おいおい、こんなとこに可愛い嬢ちゃんがいるぜ」
「ほんとだぜ。なぁ嬢ちゃん、俺たちとイイコトしないか?」

待っていたら、知らない2人のおじさんに絡まれた。前にもこんなことはあったんだけど、それはフィリアちゃんが蹴散らしてくれた。どうしよう...

「なあなあ」

そう言って近づいてくる。

「やだ!来ないで!」
「おい!お前らなにやってる」

あ、シリル君が来てくれた...

「あん?なんだ、この嬢ちゃんの知り合いか?」
「そうだ!その子から離れろ!」
「へ!いっちょ前な口ききやがるじゃねぇか!」

2人組がシリル君に襲いかかった。だめ!逃げて!

「うーん...師匠に比べたら全然だな」

シリル君がそう言って、あっという間に2人組を手刀で気絶させた。
...凄い。

「シリル君、大丈夫?!」
「これくらいなんともねぇよ。師匠のほうがよっぽど怖ぇぜ」

...フィリアちゃん、一体なにをしたんだろ?

「あ、ありがとう...」
「おう。じゃあいくか」
「うん!」

おじさん2人組はギルドの人に引きずられて行った。多分オハナシがあるんだと思う。

...それにしても、シリル君かっこよかったなぁ...あの時のシリル君を思い出すと、なんかこう胸の中が暖かくなるというか...なんなんだろ?この気持ち。

しおりを挟む
感想 166

あなたにおすすめの小説

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

処理中です...