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第二十九章 生の悦びを知りやがって
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「フフフ……。ユウト様、殿方なら時にはもっと積極的になった方がよいですよぉ、もちろん無理やりはだめですけれど。さぁ、そして今こそその絶好の機会。どうぞ勇気を出してここに触れてみてくださいな♡」
リゼットはそう言うと微笑みながら僕の右手を取り、自分の美しく柔らかそうな胸に導いた。
が、もちろん拒絶!
リナの身が危ないと言うのに、今、こんな不埒なことをするなんて絶対に許されるわけない。
と、頭の中でわかっていた、もちろん……。
しかし――しかし、だ。
男の本能というもの厄介で、理性だけでそう簡単には抑えることはできない。
結局、僕はリゼットの手を振り払うことができず、誘われるままに彼女の形の良い胸をゆっくりと触れてしまった。
その瞬間、体内に衝撃が走る。
な、なんだこれは――!?
柔らかい。でも、ふにゃふにゃしているわけでもない。
張りあるというか、こしがあるというか……。
こんな感触、いままで経験したことがない。
そして素晴らしい!
「いい感じですユウト様。でもぉ遠慮せずもうちょっと力を入れて……その方が私もより気持ちよくなれますわ」
と、リゼットが耳元でささやく。
……そうまで言われては、やらずにはいられない。
僕は半ば無意識のうち左手も伸ばし、今度は両手でリゼットの胸をより強く揉み始めてしまった。
素晴らしい、本当に素晴らしい!
するとなぜか――
「……いい感じですわ、ユウト様。私も気持ちよく――あれれ?」
リゼットが僕の顔を見て不思議そうに言った。
「ユウト様、もしかして泣いています?」
「……ええ、はい」
リゼットの指摘通りだった。
なぜだか彼女の胸に触れるうちに、目にじんわり涙が浮かんできたのだ。
「あらまあ、もしかして何か悲しい過去の記憶でも思い出してしまったのですか?」
「違います。これは感動の涙です」
「……感動の涙? つまり感涙している、と?」
「はい。世の中にこんなに素晴らしいことがあるだなんて今まで思ってもみませんでした。女性の胸がこんなにも柔らかで気持ちの良いものだとは――」
「まあ、それはいくらなんでも大袈裟ですわ」
「これはお世辞ではありません。本心から言っています」
「フフフ、それは光栄ですけれど、もうお気づきかもしれませんが、正確に言えば私は女でもあり男でもある――そんな存在なのですよ。だとしても感想は変わりませんか?」
「もちろんです。そんなことはまったく問題ではありません。性別なんて関係なくとにかくリゼットさんは素晴らしい。ただそれだけのことです。こんな最高の体験ができて何だか今まで死なずに生きて来てよかったとすら思っています」
それは事実だった。
リゼットのおっぱいを揉んでるうちに、なんだか自然と力がみなぎってきたというか、これから先、生きる希望が湧いて来たのだ。
「確かに“性”は“生”に通ずるなどと言いますけれど――」
と、リゼットは嬉しそうに笑った。
「でも、この程度でのおさわりで満足せず次の段階に進みましょうか。より深い性の世界へ私がユウト様を誘いましょう」
しかし、僕はリゼットの胸から手を放して首を振った。
「ありがとうございます。でも、今の僕にはこれで十分。むしろ身の丈に合わないようなことをしてしまった気がします」
「まあ、慎み深いお方……。では、続きはまた今度?」
「はい、僕がリゼットさんに相応しいような人間に成長したら、その時お願いします」
「では、約束ですよ」
リゼットはニッコリして小指を差し出してくれたので、僕は迷うことなく、そこへ自分の小指をからめた。
リゼットはまるで異世界のセラピスト。
荒みきったセフィーゼに対しては母性を持って接しその心を治癒し、女性にどう接していいか苦手な僕に対しては、性愛の世界を教えて自信をつけさせようとしてくれたのだ。
僕は一応回復職《ヒーラー》なわけだけれど、とても彼女のようなマネはできない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ねえ―ユウト、入るよ! ――ゲゲッ、リゼット姉! なんで裸なわけぇ!!」
ちょうどリゼットとの指切りげんまんが終わった時だった。
部屋の中にちょっと乱暴だけど、明るい声が牢屋の中に響いた。
それはメイド服から私服に着替えた、ゼット三姉妹の三女、ミュゼットだ。
タイミングが最悪――
が、仕方ない。
彼女をここに呼んでおいたのは、他ならぬ僕だからだ。
リゼットはそう言うと微笑みながら僕の右手を取り、自分の美しく柔らかそうな胸に導いた。
が、もちろん拒絶!
リナの身が危ないと言うのに、今、こんな不埒なことをするなんて絶対に許されるわけない。
と、頭の中でわかっていた、もちろん……。
しかし――しかし、だ。
男の本能というもの厄介で、理性だけでそう簡単には抑えることはできない。
結局、僕はリゼットの手を振り払うことができず、誘われるままに彼女の形の良い胸をゆっくりと触れてしまった。
その瞬間、体内に衝撃が走る。
な、なんだこれは――!?
柔らかい。でも、ふにゃふにゃしているわけでもない。
張りあるというか、こしがあるというか……。
こんな感触、いままで経験したことがない。
そして素晴らしい!
「いい感じですユウト様。でもぉ遠慮せずもうちょっと力を入れて……その方が私もより気持ちよくなれますわ」
と、リゼットが耳元でささやく。
……そうまで言われては、やらずにはいられない。
僕は半ば無意識のうち左手も伸ばし、今度は両手でリゼットの胸をより強く揉み始めてしまった。
素晴らしい、本当に素晴らしい!
するとなぜか――
「……いい感じですわ、ユウト様。私も気持ちよく――あれれ?」
リゼットが僕の顔を見て不思議そうに言った。
「ユウト様、もしかして泣いています?」
「……ええ、はい」
リゼットの指摘通りだった。
なぜだか彼女の胸に触れるうちに、目にじんわり涙が浮かんできたのだ。
「あらまあ、もしかして何か悲しい過去の記憶でも思い出してしまったのですか?」
「違います。これは感動の涙です」
「……感動の涙? つまり感涙している、と?」
「はい。世の中にこんなに素晴らしいことがあるだなんて今まで思ってもみませんでした。女性の胸がこんなにも柔らかで気持ちの良いものだとは――」
「まあ、それはいくらなんでも大袈裟ですわ」
「これはお世辞ではありません。本心から言っています」
「フフフ、それは光栄ですけれど、もうお気づきかもしれませんが、正確に言えば私は女でもあり男でもある――そんな存在なのですよ。だとしても感想は変わりませんか?」
「もちろんです。そんなことはまったく問題ではありません。性別なんて関係なくとにかくリゼットさんは素晴らしい。ただそれだけのことです。こんな最高の体験ができて何だか今まで死なずに生きて来てよかったとすら思っています」
それは事実だった。
リゼットのおっぱいを揉んでるうちに、なんだか自然と力がみなぎってきたというか、これから先、生きる希望が湧いて来たのだ。
「確かに“性”は“生”に通ずるなどと言いますけれど――」
と、リゼットは嬉しそうに笑った。
「でも、この程度でのおさわりで満足せず次の段階に進みましょうか。より深い性の世界へ私がユウト様を誘いましょう」
しかし、僕はリゼットの胸から手を放して首を振った。
「ありがとうございます。でも、今の僕にはこれで十分。むしろ身の丈に合わないようなことをしてしまった気がします」
「まあ、慎み深いお方……。では、続きはまた今度?」
「はい、僕がリゼットさんに相応しいような人間に成長したら、その時お願いします」
「では、約束ですよ」
リゼットはニッコリして小指を差し出してくれたので、僕は迷うことなく、そこへ自分の小指をからめた。
リゼットはまるで異世界のセラピスト。
荒みきったセフィーゼに対しては母性を持って接しその心を治癒し、女性にどう接していいか苦手な僕に対しては、性愛の世界を教えて自信をつけさせようとしてくれたのだ。
僕は一応回復職《ヒーラー》なわけだけれど、とても彼女のようなマネはできない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ねえ―ユウト、入るよ! ――ゲゲッ、リゼット姉! なんで裸なわけぇ!!」
ちょうどリゼットとの指切りげんまんが終わった時だった。
部屋の中にちょっと乱暴だけど、明るい声が牢屋の中に響いた。
それはメイド服から私服に着替えた、ゼット三姉妹の三女、ミュゼットだ。
タイミングが最悪――
が、仕方ない。
彼女をここに呼んでおいたのは、他ならぬ僕だからだ。
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