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第二十八章 王女殿下がXXXの丸焼きをお召し上がりなるまで
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「そうなの、アリス様が素っ裸でベッドにねぇ。なかなかやるわね、アリス様も」
グリモ男爵はウンウン首肯しながら、僕の話を聞いている。
「あ、一応アリス様の名誉のために言っておきますが、多分その行為自体に特別な意味はないかと……裸になったのは単に寝る時のアリス様の習慣だそうですし、ベッドで一緒に休めってすすめてくださったのは言葉通り眠れってことで、たぶん二人でナニかしようというわけではないと思います」
「あのねえ、ユウちゃん」
と、男爵が少しあきれたように言った。
「いくらなんでもさ、若い男女が一つのベッドに入ってただ“おやすみ”するだけってことはありえないでしょう? 常識的に考えて。んー、違って?」
「いいえ、アリス様はそういうお方なのではないでしょうか? なにしろ箱入りの王女様ですから、その、なんと言うか、男と女のそういった方面のことには疎いんですよ、きっと」
「あらぁ、そんなことないわよ。アリス様も愛し合う男女の営み――もちろん肉体的なことについてね、それ相応の知識はあるはずよ」
「……どうしてそこまで断言できるんですか?」
「だってさ、まさに、このアタシですもの」
と、男爵はなぜか自慢げに言った。
「むかし昔、さまざまな性の知識についてアリス様に色々レクチャーしてあげたのは、ね」
「えっ!?」
「前に言ったと思うけど、アタシはアリス様が子供のころの教育係の一人だったのよ。このデュロワ城に追放されるはるか前のことだけど」
「そういえば聞いたような気がしますけど……でも」
『帝王学』みたいなことを教えてたっていうならわかるけど、性の知識って……。
「そんなおかしな顔しないの。アタシはね、人に教授することが得意なのよ。――ところでユウちゃん、ここで一つクイズなんだけど、王様がしなきゃいけない最大の仕事って何かわかる?」
「えーと……? 普通に考えれば政治を執り行うことだと思いますけど」
「はい残念、不正解。ま、もちろん政治も大事なんだけど、真に大切なこととは――」
と、男爵は僕に顔を近づけて囁いた。
「こ・づ・く・り」
「こづくり……子作り、ですか?」
「そう、その通り! 王様の一番の仕事は、子供を産むなり産ませるなりすることなのよ。王国を繁栄永続させるためには立派な子孫を残すのが絶対条件。極端な話、政治なんて有能な大臣なり家来なりに任せても十分回っていく。けれども、自分の継承者を作ることができるのは王様のみ、他の誰かでは絶対に無理でしょ」
「なるほど、確かにそうですね」
僕は相槌を打った。
男爵の話は理屈にかなっていると思ったからだ。
「そしてアリス様は王位の第一継承者で将来はロードラント王国の王冠をかぶるお方。だからこそキチンとした性の知識が必要なの。ね? そこでアタシの出番ってわけ。どうやったら赤ちゃんができるか幼い頃からこのアタシがしっかり教えて差し上げたの。コウノトリが運んでくるとかキャベツが割れてそこから生まれるとか、そういったバカげたおとぎ話や迷信を他のお堅い教育係に吹きこまれる前にね。どう? 納得した?」
「はあ……まあ納得しました。けど、それと今夜の出来事となんの関係が?」
「ごめんなさい、ちょっと回りくどかったかしら。要するにアタシが言いたいのはね、アリス様が服を脱いでユウちゃんをベッドに誘ったてことは、それなりの知識と覚悟をもってユウちゃんとエッチをしてもいい――その意思表示をしたってことなのよ」
「え…………」
本当に男爵の言う通りなのか?
やっぱり自分は千載一遇のチャンスを逃してしまったのか?
だが、しかし――
「で、でもですね。いくらなんでも僕とアリス様では身分が違いすぎてありえないっていうか……」
「あら、それは意気地なしで臆病者の言い訳よ。愛があれば身分の違いなんて飛び越えられる。アリス様がユウちゃんを初めてのメイクラブの相手に選んだんだからそれでいいじゃない。先のことを考えすぎて、いまを思い悩む必要はないのよ」
「……臆病者ですみませんね。それに僕はくよくよ悩む性格なんです」
「フフフ、そのしょげ返った顔たらないわね! でも大丈夫、まだ遅くないわ。さあ、今からでも勇気を出して部屋に引き返しベッドの中に飛び込んでみちゃいなさいよ! まだ夜は長いんだから」
そう言ってから、男爵はまたニヤリと笑った。
グリモ男爵はウンウン首肯しながら、僕の話を聞いている。
「あ、一応アリス様の名誉のために言っておきますが、多分その行為自体に特別な意味はないかと……裸になったのは単に寝る時のアリス様の習慣だそうですし、ベッドで一緒に休めってすすめてくださったのは言葉通り眠れってことで、たぶん二人でナニかしようというわけではないと思います」
「あのねえ、ユウちゃん」
と、男爵が少しあきれたように言った。
「いくらなんでもさ、若い男女が一つのベッドに入ってただ“おやすみ”するだけってことはありえないでしょう? 常識的に考えて。んー、違って?」
「いいえ、アリス様はそういうお方なのではないでしょうか? なにしろ箱入りの王女様ですから、その、なんと言うか、男と女のそういった方面のことには疎いんですよ、きっと」
「あらぁ、そんなことないわよ。アリス様も愛し合う男女の営み――もちろん肉体的なことについてね、それ相応の知識はあるはずよ」
「……どうしてそこまで断言できるんですか?」
「だってさ、まさに、このアタシですもの」
と、男爵はなぜか自慢げに言った。
「むかし昔、さまざまな性の知識についてアリス様に色々レクチャーしてあげたのは、ね」
「えっ!?」
「前に言ったと思うけど、アタシはアリス様が子供のころの教育係の一人だったのよ。このデュロワ城に追放されるはるか前のことだけど」
「そういえば聞いたような気がしますけど……でも」
『帝王学』みたいなことを教えてたっていうならわかるけど、性の知識って……。
「そんなおかしな顔しないの。アタシはね、人に教授することが得意なのよ。――ところでユウちゃん、ここで一つクイズなんだけど、王様がしなきゃいけない最大の仕事って何かわかる?」
「えーと……? 普通に考えれば政治を執り行うことだと思いますけど」
「はい残念、不正解。ま、もちろん政治も大事なんだけど、真に大切なこととは――」
と、男爵は僕に顔を近づけて囁いた。
「こ・づ・く・り」
「こづくり……子作り、ですか?」
「そう、その通り! 王様の一番の仕事は、子供を産むなり産ませるなりすることなのよ。王国を繁栄永続させるためには立派な子孫を残すのが絶対条件。極端な話、政治なんて有能な大臣なり家来なりに任せても十分回っていく。けれども、自分の継承者を作ることができるのは王様のみ、他の誰かでは絶対に無理でしょ」
「なるほど、確かにそうですね」
僕は相槌を打った。
男爵の話は理屈にかなっていると思ったからだ。
「そしてアリス様は王位の第一継承者で将来はロードラント王国の王冠をかぶるお方。だからこそキチンとした性の知識が必要なの。ね? そこでアタシの出番ってわけ。どうやったら赤ちゃんができるか幼い頃からこのアタシがしっかり教えて差し上げたの。コウノトリが運んでくるとかキャベツが割れてそこから生まれるとか、そういったバカげたおとぎ話や迷信を他のお堅い教育係に吹きこまれる前にね。どう? 納得した?」
「はあ……まあ納得しました。けど、それと今夜の出来事となんの関係が?」
「ごめんなさい、ちょっと回りくどかったかしら。要するにアタシが言いたいのはね、アリス様が服を脱いでユウちゃんをベッドに誘ったてことは、それなりの知識と覚悟をもってユウちゃんとエッチをしてもいい――その意思表示をしたってことなのよ」
「え…………」
本当に男爵の言う通りなのか?
やっぱり自分は千載一遇のチャンスを逃してしまったのか?
だが、しかし――
「で、でもですね。いくらなんでも僕とアリス様では身分が違いすぎてありえないっていうか……」
「あら、それは意気地なしで臆病者の言い訳よ。愛があれば身分の違いなんて飛び越えられる。アリス様がユウちゃんを初めてのメイクラブの相手に選んだんだからそれでいいじゃない。先のことを考えすぎて、いまを思い悩む必要はないのよ」
「……臆病者ですみませんね。それに僕はくよくよ悩む性格なんです」
「フフフ、そのしょげ返った顔たらないわね! でも大丈夫、まだ遅くないわ。さあ、今からでも勇気を出して部屋に引き返しベッドの中に飛び込んでみちゃいなさいよ! まだ夜は長いんだから」
そう言ってから、男爵はまたニヤリと笑った。
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