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第二十三章 ロードラントの笛吹き娘
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見ているだけで涙を誘うような感動的な対面シーン。
ここでとりあえず物語は一区切り。
映画やドラマなら、このままエンドロールに突入してもおかしくないのだが――
現実はそうはいかない。
これからもずっと危険と困難が続くのだ。
レーモンも周囲に大勢の人がいるのに気付き、たちまち元の厳しい顔つきにもどってしまった。
さらに僕を見つけて――
「む! ユウト!」
と、口をへの字に曲げて叫んだ。
「ご安心下さい」
が、僕は機先を制して言った。
「アリス様はちゃんとデュロワ城に送り届けました。高い城壁に囲まれ、当分の間は安全でしょう」
「むむ!」
唯一の心配事が解消され、レーモンはそれ以上もう何も言えなくなったようだ。
プイと横を向き、僕から視線を逸らしてしまう。
「まったく……ユウトにお礼の一つぐらい言いやがれよ」
それを見ていたエリックがぶつくさつぶやく。
「命がけで戻ってきたのは分かっているだろうに、まったくこのジジイは――」
「エリックさん!」
それを聞いていたリナが、思わず立ち上がってエリックをにらんだ。
「叔父様に――公爵様に向かってそんな口をきいて、いくらなんでも失礼です!」
「おっと、ついつい口がスベっちまった。こりゃまたご免なさいよ」
そう言いながらも、エリックはヘラヘラしてまったく悪びれていない。
が、レーモンはそれを聞いて怒る様子はなかった。
むしろ諭すようにしゃがれ声でリナに言った。
「……もうよい、リナ。その男には好きなように言わせておけ。――それよりお前は速くここから脱出し、動ける者を連れてデュロワ城に戻るのだ」
「え!? 叔父様は? 叔父様はどうなされるのですか?」
「傷は多少回復したようだが、まだまともに立ち上がることもできぬ。さりとて皆の足手まといにはなりたくない。だからこのままここへ置いていってもらう」
「おいおいおい」
エリックがあきれたように叫んだ。
「せっかく助かったのにそりゃないだろ! そんなこと許せるかよ。俺はジジイを戸板に括り付けてでも一緒に連れて行くぜ」
「まあエリックさん! また“ジ……ジジイ”だなんて汚い言葉を使って!! 助けてくれたのは有難いですが、それとこれとは話は別。叔父様にちゃんと謝って下さらないと、本気で怒りますよ!」
……どうもゴタゴタしてきた。
ここでとりあえず物語は一区切り。
映画やドラマなら、このままエンドロールに突入してもおかしくないのだが――
現実はそうはいかない。
これからもずっと危険と困難が続くのだ。
レーモンも周囲に大勢の人がいるのに気付き、たちまち元の厳しい顔つきにもどってしまった。
さらに僕を見つけて――
「む! ユウト!」
と、口をへの字に曲げて叫んだ。
「ご安心下さい」
が、僕は機先を制して言った。
「アリス様はちゃんとデュロワ城に送り届けました。高い城壁に囲まれ、当分の間は安全でしょう」
「むむ!」
唯一の心配事が解消され、レーモンはそれ以上もう何も言えなくなったようだ。
プイと横を向き、僕から視線を逸らしてしまう。
「まったく……ユウトにお礼の一つぐらい言いやがれよ」
それを見ていたエリックがぶつくさつぶやく。
「命がけで戻ってきたのは分かっているだろうに、まったくこのジジイは――」
「エリックさん!」
それを聞いていたリナが、思わず立ち上がってエリックをにらんだ。
「叔父様に――公爵様に向かってそんな口をきいて、いくらなんでも失礼です!」
「おっと、ついつい口がスベっちまった。こりゃまたご免なさいよ」
そう言いながらも、エリックはヘラヘラしてまったく悪びれていない。
が、レーモンはそれを聞いて怒る様子はなかった。
むしろ諭すようにしゃがれ声でリナに言った。
「……もうよい、リナ。その男には好きなように言わせておけ。――それよりお前は速くここから脱出し、動ける者を連れてデュロワ城に戻るのだ」
「え!? 叔父様は? 叔父様はどうなされるのですか?」
「傷は多少回復したようだが、まだまともに立ち上がることもできぬ。さりとて皆の足手まといにはなりたくない。だからこのままここへ置いていってもらう」
「おいおいおい」
エリックがあきれたように叫んだ。
「せっかく助かったのにそりゃないだろ! そんなこと許せるかよ。俺はジジイを戸板に括り付けてでも一緒に連れて行くぜ」
「まあエリックさん! また“ジ……ジジイ”だなんて汚い言葉を使って!! 助けてくれたのは有難いですが、それとこれとは話は別。叔父様にちゃんと謝って下さらないと、本気で怒りますよ!」
……どうもゴタゴタしてきた。
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