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第二十二章 無敵形態
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「ヤダぁごめんなさい。アタシったらつい見とれちゃって……悪いクセね。でも男×男の立ち姿ってなんでこんなに絵になるんでしょう!」
男爵が口に手を当ててオホホと笑い、軽く咳払いをした後、あらためて周囲を見回して言った。
「じゃあみなさん、準備はいいわね?」
やや緊張した面持ちのリナと、普段通り無表情のマティアスがうなずく。
少し離れた場所で待機している王の騎士団からも、特に異論は出ない。
ところがリューゴだけが一人で思案顔をしている。
しばし考え、首をひねり、そらから男爵に声をかけた。
「男爵、少々お待ちください。一つ提案があるのですが」
「あらなあに、リューゴ君?」
「さっきも申し上げたとおり、作戦自体は問題ないと思います。ですが後に残るのがあなた方四人だけという点に、私としてはどうしても不安を感じてしまうのです」
「んーそうかしら? アタシは大丈夫だと思うけど」
「しかし万が一ということもあります。負傷者もかなりの数に上るでしょうし、兵士たちをうまくデュロワ城まで誘導するのは大変な作業ですよ。ですから是非、我々からも人員を割かせてください」
「それは助かるけど、貴重な人材を借りちゃって本当にいいのかしら?」
「もちろんです。この際、王の騎士団の中でも特に優秀な者を選んでおきましょう。――おい、クロード! ミュゼット! ちょっと出て来てくれ」
リューゴが三十余名の騎士団員に向かって呼びかける。
するとすぐに、二人の竜騎士が馬を降り僕たちに方へ歩いてきた。
男爵が口に手を当ててオホホと笑い、軽く咳払いをした後、あらためて周囲を見回して言った。
「じゃあみなさん、準備はいいわね?」
やや緊張した面持ちのリナと、普段通り無表情のマティアスがうなずく。
少し離れた場所で待機している王の騎士団からも、特に異論は出ない。
ところがリューゴだけが一人で思案顔をしている。
しばし考え、首をひねり、そらから男爵に声をかけた。
「男爵、少々お待ちください。一つ提案があるのですが」
「あらなあに、リューゴ君?」
「さっきも申し上げたとおり、作戦自体は問題ないと思います。ですが後に残るのがあなた方四人だけという点に、私としてはどうしても不安を感じてしまうのです」
「んーそうかしら? アタシは大丈夫だと思うけど」
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