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第二十章 再び戦場へ
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「すべて覚悟の上です。なにしろこの髪の色はすぐに元に戻りませんからどうしようもありません」
リナは美しい金色に染まった髪をさわりながら言った。
「薬を調合した宮廷魔術師の話では、効果は十日十夜続くそうです。だから私にもどうしようもないんです」
「どうしようもないなら、なおさらお城に引き返してください!」
僕は強い口調で言った。
「一緒になんてとても行けません!」
「申し訳ありませんが、お断りします。ユウトさん、これまでにお互い何度も危険な目に合ってきたのに、いったい今さら何を心配するんです? それにユウトさんも一人より二人の方が心強いでしょう」
そういえばハイオークと戦った時も、リナは僕を馬に乗せて走ると言って一歩も引かなかったな……。
うーん、困った。
どう説得すれば、素直に帰ってくれる?
と、困る僕に、リナが不思議そうな顔をして質問した。
「――ところでユウトさん、さっきから気になっていたのですが、その手の中で光っているものは何なのでしょうか? その四角くてうすべったい板のことです」
……しまった。
リナの突然の出現に気を取られ、スマートホンをしまうのを忘れていた。
でも、今さら隠すわけにもいかない。
「こ、これはその――そう、魔導器という魔法の力が込められた、いわばマジックアイテムです」
僕は適当なことを言ってはぐらかす。
が、リナは興味しんしんだ。
「へえー、いったいどんなことに使うんですか?」
仕方ない。
ならばこの際、スマホの存在がばれたことを逆手に取って、一緒に行くのを諦めてもらおう。
「まあ、いろいろな用途に使えるんですが――例えば」
僕はそう言って、リナに向かって魔法を唱えた。
『スキャン!』
すぐさま、お馴染みのステータスがスマホの画面に表示された。
ネーム:リナ=クラウス
クラス:ノーブル
H P:490/515
M P:0/0
力 :455
知 力:2211
速 さ:752
守 備:222
運 :750
黒魔法:0
白魔法:0
スキル:馬術++ 弓+
状 態:正常
弱 点:ネズミ
決して低いとはえないステータスだが、それでもアリスの各能力値よりはかなり下だ。
「リナ様、ちょっとこれを見ていただけますか?」
と、僕はリナに声をかけた。
「え、なんです?」
リナは僕が差し出したスマホの画面を覗き込む。
リナは美しい金色に染まった髪をさわりながら言った。
「薬を調合した宮廷魔術師の話では、効果は十日十夜続くそうです。だから私にもどうしようもないんです」
「どうしようもないなら、なおさらお城に引き返してください!」
僕は強い口調で言った。
「一緒になんてとても行けません!」
「申し訳ありませんが、お断りします。ユウトさん、これまでにお互い何度も危険な目に合ってきたのに、いったい今さら何を心配するんです? それにユウトさんも一人より二人の方が心強いでしょう」
そういえばハイオークと戦った時も、リナは僕を馬に乗せて走ると言って一歩も引かなかったな……。
うーん、困った。
どう説得すれば、素直に帰ってくれる?
と、困る僕に、リナが不思議そうな顔をして質問した。
「――ところでユウトさん、さっきから気になっていたのですが、その手の中で光っているものは何なのでしょうか? その四角くてうすべったい板のことです」
……しまった。
リナの突然の出現に気を取られ、スマートホンをしまうのを忘れていた。
でも、今さら隠すわけにもいかない。
「こ、これはその――そう、魔導器という魔法の力が込められた、いわばマジックアイテムです」
僕は適当なことを言ってはぐらかす。
が、リナは興味しんしんだ。
「へえー、いったいどんなことに使うんですか?」
仕方ない。
ならばこの際、スマホの存在がばれたことを逆手に取って、一緒に行くのを諦めてもらおう。
「まあ、いろいろな用途に使えるんですが――例えば」
僕はそう言って、リナに向かって魔法を唱えた。
『スキャン!』
すぐさま、お馴染みのステータスがスマホの画面に表示された。
ネーム:リナ=クラウス
クラス:ノーブル
H P:490/515
M P:0/0
力 :455
知 力:2211
速 さ:752
守 備:222
運 :750
黒魔法:0
白魔法:0
スキル:馬術++ 弓+
状 態:正常
弱 点:ネズミ
決して低いとはえないステータスだが、それでもアリスの各能力値よりはかなり下だ。
「リナ様、ちょっとこれを見ていただけますか?」
と、僕はリナに声をかけた。
「え、なんです?」
リナは僕が差し出したスマホの画面を覗き込む。
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