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第十九章 再会

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 アリスは手に持っていた兜を勢いよく投げ捨てた。
 兜は地面に跳ね返り「カッコーン」と小気味良い音を立ててころ転がり、最後は堀の中にぽちゃんと落ちた。

「久しいな、グリモ!」

 アリスが叫ぶ。
 復活したその立ち姿は、目覚めたばかりとは思えないほどキリリと勇ましい。

 一方のグリモ男爵は、まるで偶然有名人に出会った女の子のようにはしゃぎ出した。

「あらヤダ! まあーどうしましょ! あらヤダ! まあーどうしましょ! 本当に本物のアリス様じゃない!!」」

「グリモ、変わらず元気そうでなによりだ」

「ありがとうございますですわ!」
 男爵はうやうやしくお辞儀をした。
「アリス様こそすっかり大人になられて――今、跳ね橋を下ろさせますからしばらくお待ちになってください」

「待て! その前に今の最後の質問、マティアスに代わってが答えてやろう」
 アリスは気取った口調で言った。
「グリモ、お前のこの世でもっとも嫌いな食べ物、それは……」

 一瞬、間《ま》を置き――

「“クロミスのソース焼き”だったな!」
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