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第十七章 交錯する世界
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保健の養護教諭、日向ルイ子。
生徒たちの間で広くフルネームが知れ渡るぐらい、彼女が学校内で有名な存在であることは後で知った。
確かに、普段からあの教師にあるまじき容姿と態度で生徒に接しているのだとしたら、どんなことを言われても仕方ないのかもしれない。
しかしだからといって、学校中で次のような奇妙な噂がまことしやかに囁かれているのは、ちょっと行き過ぎのような気もした。
・えこひいきがひどく気に入らない生徒にはとことん冷たいが、好みの生徒が保健室に一人で行くと誘惑してくる。
・老若男女問わず先生たち全員と体の関係を持っている。だから学校でどんな悪さをしても、誰も何も文句が言えない。
・夜は風俗で働いている。しかも複数の店で。
等々、単なる中傷としか思えない内容も多数あったのだ。
でもまあ噂は噂。
いくらなんでも極端過ぎるし、教師とあろう者がまさかそんなことするはずない。
と、僕はあくまでそう信じていたのだが……。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
それから半月ほど経ったある雨の日の午後。
僕は校舎の一階外れにある保健室を目指し、ふらふら走っていた。
その日は特にケガをしたわけではない。
数学の授業中、問題を解くよう先生に指名され黒板の前に立ったところで、強烈なめまいに襲われ教室を飛び出したのだ。
ところが――
やっとの思いで保健室の前まで来ると、またあのむせ返るような、甘酸っぱい香りがした。
しかも今日は一段とその香りが強い。保健室の外までぷんぷん漏れ出ている。
生徒たちの間で広くフルネームが知れ渡るぐらい、彼女が学校内で有名な存在であることは後で知った。
確かに、普段からあの教師にあるまじき容姿と態度で生徒に接しているのだとしたら、どんなことを言われても仕方ないのかもしれない。
しかしだからといって、学校中で次のような奇妙な噂がまことしやかに囁かれているのは、ちょっと行き過ぎのような気もした。
・えこひいきがひどく気に入らない生徒にはとことん冷たいが、好みの生徒が保健室に一人で行くと誘惑してくる。
・老若男女問わず先生たち全員と体の関係を持っている。だから学校でどんな悪さをしても、誰も何も文句が言えない。
・夜は風俗で働いている。しかも複数の店で。
等々、単なる中傷としか思えない内容も多数あったのだ。
でもまあ噂は噂。
いくらなんでも極端過ぎるし、教師とあろう者がまさかそんなことするはずない。
と、僕はあくまでそう信じていたのだが……。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
それから半月ほど経ったある雨の日の午後。
僕は校舎の一階外れにある保健室を目指し、ふらふら走っていた。
その日は特にケガをしたわけではない。
数学の授業中、問題を解くよう先生に指名され黒板の前に立ったところで、強烈なめまいに襲われ教室を飛び出したのだ。
ところが――
やっとの思いで保健室の前まで来ると、またあのむせ返るような、甘酸っぱい香りがした。
しかも今日は一段とその香りが強い。保健室の外までぷんぷん漏れ出ている。
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