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第十一章 決戦

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 アリスはどこだ?
 
 僕は激戦の最中に見失ってしまったアリスの姿を探し、周囲を見回す。

 ロードラント陣営は、新たなハイオークとコボルト兵の出現によって混乱具合が加速していた。
 その中で、僕はまず馬に乗ったリナの姿を探し当てた。

 ということはそばにアリスが――
 いた。

 アリスはちょうど自分の白馬に騎乗するところだった。
 このロードランド軍存亡の危機に、馬上から兵士たちを励まし勇気づけようというのだろう。
 が、その前に一つ、どうしてもアリスにやってもらいことがあった。

 僕は兵士の山をかき分けアリスの元へ行こうとした、その時――
 数本の流れ矢が頭上を飛び越えていくのが見えた。

「!!」

 それはあっという間の出来事だった。
 流れ矢のうちの一本が、リナの乗った馬の首の付け根を直撃してしまったのだ。

 射抜かれたリナの馬はぶるっと痙攣けいれんし、大きくよろめいた。
 このまま倒れたらリナが危ない!
 下手をすれば馬体の下敷きになってしまう!

「リナ、馬から飛び下りろ!」
 それに気付いたアリスが叫んだ。

 言われた通り、リナは持ち前の運動神経の良さを発揮し、とっさに鞍を蹴って高く飛んだ。
 その直後、馬はドスンと大きな音を立て横倒しになってしまった。

 アリスが慌てて地面に転がったリナを抱き起す。

「大丈夫か、リナ!」

「はい、なんとか……」

 リナはアリスに支えられ、ヨロリと立ち上がった。
 全身が泥で汚れ腕に大きなアザができている。

「リナ、体を見せてみろ」
 アリスはリナの体の泥をはたきながら、ケガの程度を確かめた。

「アリス様、おやめください。そんな恐れ多い……」

「いちいち気にするな。――よし、大した傷は負ってないようだな。まったく本当に肝が冷えたぞ。お前の身に何かあったら、私は永遠に立ち直れなくなる」

 それはアリスだけじゃない。僕だって同じだ。
 というかこの異世界アリスティアでもリナを失ったら、この地で生きていく意味がほぼなくなるような気がする。 

 僕は急いでリナの元へ駆け寄った。
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