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第九章 決闘《デュエル》
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「アリス様、お待ちください!」
僕は痛みも忘れ立ち上がり、アリスに向けて魔法を唱えた。
今のアリスの力ではヘクターに太刀打ちできないから、バフをかけるのだ。
『アクセル!』
アリスの体が一瞬青く光った。
初めて使う魔法だけれど上手くいったようだ。
が、それで安心せず、すぐに次の魔法を詠唱する。
『フォース!』
アリスの体が赤く光る。
連続して成功。
魔法の重ね掛けというやつだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『アクセル』と『フォース』
それぞれ対象者の力および速さを引き上げる基本的な攻撃補助魔法。
術者が高レベルなほど、その効果も大きい。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
これでアリスの能力値はヘクターに近づいたはず。
多少卑怯な気もするが、この決闘はなんでもありだから、別にいいのだ。
「ユウト、感謝する!」
新たな力を得たアリスの顔は自信に満ちあふれていた。
やってやる、といった感じだ。
「ヘクター、今度はこちらからゆくぞ!」
アリスはそう言ってパッと大地を蹴った。
ヘクターとの間を一気に詰め、下段から神剣ルーディスを突きあげる。
魔法によって強化された、急襲ともいえるアリスの機敏な動きだ。
しかもアリスのリーチは意外に長い。
剣先がグッと伸びる。
ヘクターは上体を後ろに反らし、かろうじてその一撃をかわした。
アリスの剣が、ヘクターの鼻先をかすめ空を切る。
「よくも私の兵士を殺してくれたな!」
アリスは間髪入れず身を翻し、今度は上段から打ち込んだ。
いわゆる『ツバメ返し』だ。
「しかもユウトまで――!」
「なにを小癪な!」
ヘクターはそう叫びながら、偃月刀を両手で掲げた。
ちょうど柄の中間点でアリスの剣を受けたのだ。
ところが――
「ボコッ」と鈍い音がした。
ヘクターの顔に驚きが浮かぶ。
神剣ルーディスに宿る神秘の力なのか、それとも魔法によって強化されたアリスのパワーがなし得た技なのか。
いかにも堅そうな偃月刀の柄が、熱した飴のようにグニャリと曲がってしまったのだ。
僕は痛みも忘れ立ち上がり、アリスに向けて魔法を唱えた。
今のアリスの力ではヘクターに太刀打ちできないから、バフをかけるのだ。
『アクセル!』
アリスの体が一瞬青く光った。
初めて使う魔法だけれど上手くいったようだ。
が、それで安心せず、すぐに次の魔法を詠唱する。
『フォース!』
アリスの体が赤く光る。
連続して成功。
魔法の重ね掛けというやつだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『アクセル』と『フォース』
それぞれ対象者の力および速さを引き上げる基本的な攻撃補助魔法。
術者が高レベルなほど、その効果も大きい。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
これでアリスの能力値はヘクターに近づいたはず。
多少卑怯な気もするが、この決闘はなんでもありだから、別にいいのだ。
「ユウト、感謝する!」
新たな力を得たアリスの顔は自信に満ちあふれていた。
やってやる、といった感じだ。
「ヘクター、今度はこちらからゆくぞ!」
アリスはそう言ってパッと大地を蹴った。
ヘクターとの間を一気に詰め、下段から神剣ルーディスを突きあげる。
魔法によって強化された、急襲ともいえるアリスの機敏な動きだ。
しかもアリスのリーチは意外に長い。
剣先がグッと伸びる。
ヘクターは上体を後ろに反らし、かろうじてその一撃をかわした。
アリスの剣が、ヘクターの鼻先をかすめ空を切る。
「よくも私の兵士を殺してくれたな!」
アリスは間髪入れず身を翻し、今度は上段から打ち込んだ。
いわゆる『ツバメ返し』だ。
「しかもユウトまで――!」
「なにを小癪な!」
ヘクターはそう叫びながら、偃月刀を両手で掲げた。
ちょうど柄の中間点でアリスの剣を受けたのだ。
ところが――
「ボコッ」と鈍い音がした。
ヘクターの顔に驚きが浮かぶ。
神剣ルーディスに宿る神秘の力なのか、それとも魔法によって強化されたアリスのパワーがなし得た技なのか。
いかにも堅そうな偃月刀の柄が、熱した飴のようにグニャリと曲がってしまったのだ。
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