143 / 505
第九章 決闘《デュエル》
(5)
しおりを挟む
「アリス様、お待ちください!」
僕は痛みも忘れ立ち上がり、アリスに向けて魔法を唱えた。
今のアリスの力ではヘクターに太刀打ちできないから、バフをかけるのだ。
『アクセル!』
アリスの体が一瞬青く光った。
初めて使う魔法だけれど上手くいったようだ。
が、それで安心せず、すぐに次の魔法を詠唱する。
『フォース!』
アリスの体が赤く光る。
連続して成功。
魔法の重ね掛けというやつだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『アクセル』と『フォース』
それぞれ対象者の力および速さを引き上げる基本的な攻撃補助魔法。
術者が高レベルなほど、その効果も大きい。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
これでアリスの能力値はヘクターに近づいたはず。
多少卑怯な気もするが、この決闘はなんでもありだから、別にいいのだ。
「ユウト、感謝する!」
新たな力を得たアリスの顔は自信に満ちあふれていた。
やってやる、といった感じだ。
「ヘクター、今度はこちらからゆくぞ!」
アリスはそう言ってパッと大地を蹴った。
ヘクターとの間を一気に詰め、下段から神剣ルーディスを突きあげる。
魔法によって強化された、急襲ともいえるアリスの機敏な動きだ。
しかもアリスのリーチは意外に長い。
剣先がグッと伸びる。
ヘクターは上体を後ろに反らし、かろうじてその一撃をかわした。
アリスの剣が、ヘクターの鼻先をかすめ空を切る。
「よくも私の兵士を殺してくれたな!」
アリスは間髪入れず身を翻し、今度は上段から打ち込んだ。
いわゆる『ツバメ返し』だ。
「しかもユウトまで――!」
「なにを小癪な!」
ヘクターはそう叫びながら、偃月刀を両手で掲げた。
ちょうど柄の中間点でアリスの剣を受けたのだ。
ところが――
「ボコッ」と鈍い音がした。
ヘクターの顔に驚きが浮かぶ。
神剣ルーディスに宿る神秘の力なのか、それとも魔法によって強化されたアリスのパワーがなし得た技なのか。
いかにも堅そうな偃月刀の柄が、熱した飴のようにグニャリと曲がってしまったのだ。
僕は痛みも忘れ立ち上がり、アリスに向けて魔法を唱えた。
今のアリスの力ではヘクターに太刀打ちできないから、バフをかけるのだ。
『アクセル!』
アリスの体が一瞬青く光った。
初めて使う魔法だけれど上手くいったようだ。
が、それで安心せず、すぐに次の魔法を詠唱する。
『フォース!』
アリスの体が赤く光る。
連続して成功。
魔法の重ね掛けというやつだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『アクセル』と『フォース』
それぞれ対象者の力および速さを引き上げる基本的な攻撃補助魔法。
術者が高レベルなほど、その効果も大きい。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
これでアリスの能力値はヘクターに近づいたはず。
多少卑怯な気もするが、この決闘はなんでもありだから、別にいいのだ。
「ユウト、感謝する!」
新たな力を得たアリスの顔は自信に満ちあふれていた。
やってやる、といった感じだ。
「ヘクター、今度はこちらからゆくぞ!」
アリスはそう言ってパッと大地を蹴った。
ヘクターとの間を一気に詰め、下段から神剣ルーディスを突きあげる。
魔法によって強化された、急襲ともいえるアリスの機敏な動きだ。
しかもアリスのリーチは意外に長い。
剣先がグッと伸びる。
ヘクターは上体を後ろに反らし、かろうじてその一撃をかわした。
アリスの剣が、ヘクターの鼻先をかすめ空を切る。
「よくも私の兵士を殺してくれたな!」
アリスは間髪入れず身を翻し、今度は上段から打ち込んだ。
いわゆる『ツバメ返し』だ。
「しかもユウトまで――!」
「なにを小癪な!」
ヘクターはそう叫びながら、偃月刀を両手で掲げた。
ちょうど柄の中間点でアリスの剣を受けたのだ。
ところが――
「ボコッ」と鈍い音がした。
ヘクターの顔に驚きが浮かぶ。
神剣ルーディスに宿る神秘の力なのか、それとも魔法によって強化されたアリスのパワーがなし得た技なのか。
いかにも堅そうな偃月刀の柄が、熱した飴のようにグニャリと曲がってしまったのだ。
0
お気に入りに追加
219
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!
京衛武百十
ファンタジー
異世界で何で魔法がやたら発展してるのか、よく分かったわよ。
戦争の為?。違う違う、トイレよトイレ!。魔法があるから、地球の中世ヨーロッパみたいなトイレ事情にならずに済んだらしいのよ。
で、偶然現地で見付けた微生物とそれを操る魔法によって、私、宿角花梨(すくすみかりん)は、立身出世を計ることになったのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
外れスキル【転送】が最強だった件
名無し
ファンタジー
三十路になってようやくダンジョン入場試験に合格したケイス。
意気揚々と冒険者登録所に向かうが、そこで貰ったのは【転送】という外れスキル。
失意の中で故郷へ帰ろうとしていた彼のもとに、超有名ギルドのマスターが訪れる。
そこからケイスの人生は目覚ましく変わっていくのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる