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第八章 風の少女
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「さあ選んでよ。わたしはどっちでもいい、あなたの無様な死にざまを見られればそれで満足だから」
セフィーゼはそう言って、また右手の指先に虹色の風を作って見せた。
しかしアリスは特に怯える様子もない。
僕と同じぐらいの年齢のはずなのに、すごい度胸だ。
「ふん、話し合いの余地はないということか」
アリスの瞳が鋭く光り、腰に差した剣の柄に手を置いた。
「では、力には力で答えねばなるまい」
ええ、やばい――!
何の話し合いもなく、しかも僕が呼ばれることなくいきなり戦闘が始まるなんて、これまた想定外だ。
今のアリスでは、セフィーゼに絶対敵わないのに。
焦りまくった僕は、アリスを助太刀するため慌てて前へ飛び出そうとした。
ところが――
それより早く、思わぬ人がアリスのセフィーゼの間に割って入った。
すっかり癇癪を起こしたレーモンだ。
「小しゃくなガキめ!」
レーモンはアリスを守るように剣を構え、叫んだ。
「アリス様にはこのレーモンが指一本触れさせんわ!」
「レーモン、邪魔をするな!」
いきなりの乱入者に、アリスは怒鳴った。
「お前に交渉を任せたのは失敗だった。いいからもう引っ込んでいろ」
「アリス様! 何をおっしゃいます」
「黙れ! ここはお前の出る幕ではない!」
そんな二人を見てセフィーゼが、ケラケラ笑う。
「ハハハ、王女と爺さん、仲間割れしちゃってる。こっけいでバカみたい」
「セフィーゼ!」
ヘクターが苦々しげに言った。
「少し口を慎んでください。あなたはイーザの長なのですよ」
「はぁ、だから何?」
と、セフィーゼは不満そうにヘクターをにらむ。
「とにかくやっとアリス王女にお目にかかれたのだから、少し話しをしてみてはどうです」
「……わかったよ」
セフィーゼがため息をついて言った。
「でも、殺すかどうか決めんのはわたしだからね」
その様子を見て、僕はほっと胸を撫でをろした。
一応、ヘクターはセフィーゼのブレーキ役を果たしているのだ。
すぐにでも出て行こうと思ったが、ここはもう少し状況を見極めてみよう。
セフィーゼはそう言って、また右手の指先に虹色の風を作って見せた。
しかしアリスは特に怯える様子もない。
僕と同じぐらいの年齢のはずなのに、すごい度胸だ。
「ふん、話し合いの余地はないということか」
アリスの瞳が鋭く光り、腰に差した剣の柄に手を置いた。
「では、力には力で答えねばなるまい」
ええ、やばい――!
何の話し合いもなく、しかも僕が呼ばれることなくいきなり戦闘が始まるなんて、これまた想定外だ。
今のアリスでは、セフィーゼに絶対敵わないのに。
焦りまくった僕は、アリスを助太刀するため慌てて前へ飛び出そうとした。
ところが――
それより早く、思わぬ人がアリスのセフィーゼの間に割って入った。
すっかり癇癪を起こしたレーモンだ。
「小しゃくなガキめ!」
レーモンはアリスを守るように剣を構え、叫んだ。
「アリス様にはこのレーモンが指一本触れさせんわ!」
「レーモン、邪魔をするな!」
いきなりの乱入者に、アリスは怒鳴った。
「お前に交渉を任せたのは失敗だった。いいからもう引っ込んでいろ」
「アリス様! 何をおっしゃいます」
「黙れ! ここはお前の出る幕ではない!」
そんな二人を見てセフィーゼが、ケラケラ笑う。
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「セフィーゼ!」
ヘクターが苦々しげに言った。
「少し口を慎んでください。あなたはイーザの長なのですよ」
「はぁ、だから何?」
と、セフィーゼは不満そうにヘクターをにらむ。
「とにかくやっとアリス王女にお目にかかれたのだから、少し話しをしてみてはどうです」
「……わかったよ」
セフィーゼがため息をついて言った。
「でも、殺すかどうか決めんのはわたしだからね」
その様子を見て、僕はほっと胸を撫でをろした。
一応、ヘクターはセフィーゼのブレーキ役を果たしているのだ。
すぐにでも出て行こうと思ったが、ここはもう少し状況を見極めてみよう。
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